‐浣腸液を積んだ馬車‐

エターナへの旅路……
深い森の道をミディアたちは行く。

「ねぇファム……まだ先……?
遠くない?エターナ……」

「そうだファム……、も……もう足が棒のようだよ。
……アークメイジってのは体力ないんだ」

「よく言うわ……、あんなに何回もするくせに……」

「あれは別だよぉ……」

「ま……仕方ないわね……、ここで野宿をしましょう」

森の中腹
広く開けた場所を見つけ、ファムがテントを組み立てていると……

ガラガラ!
ガッ……シャーン!
「ヒヒヒヒーン!」
「ブルルル……!」

なんと、先程歩いてきた細い道で馬車が転倒をしたようだ。

「あれは馬車の音ね……、助けに行きましょう!」
「ああ!」

転倒した馬車へ駆け付けると、中年の大男が気を失っており、
崩れた積み荷からは
見たこともない薬品のビンが何百本と転がっていた。

ミディアは散乱している薬瓶のひとつをを手に取る。
「グリセリン……?
……こっちは……ラベルにドナン液って書いてあるけど……
……なに……これ……」

!!

「ミディアとラユツは知らなくていいの!」

「あ!ファム……!さては知ってるな!なんだこれ!?」

ファムはラユツを無視し、ミディアに小声で囁く。

「これは浣腸に使う薬液よ……。
この馬車の行き先は……ま……
だいたい検討がつくわね」

「浣腸って……。あのお姉さまがされてたという……。
そう……これから肛魔城へ向かうところね」

(これが……浣腸……。)
ミディアが鈍く光るグリセリンを眺めていると

「う……うぅ……」
大男がのそりと起き上がる。

「気がついたみたいね」

「あ……あ……、お嬢さんたちが拾ってくれたのか……」

「ええ……」

「馬は無事・ああ何本か割れちまったようだが、仕方ないか」

「この瓶は、どこへ届けるの?」
ミディアがキッと男を睨む。

「あ……へへ……ゼリクの城だよ」

-やはり-

「この先の街、エターナは錬金術の街だったのだが、
ゼリクの王がグアヴェス代わるとこの薬で栄えてな……」

「ひひ……お嬢ちゃんこれがなにをする薬だか知ってるかい?」
大男にんまりとする。

「知っているわ……。女の口から言わせないで」
ファムもキっと睨んだ。

「おや……気丈なお嬢さんだ。そういえば……ゼリクのソフィア姫も
あんたみたいに気丈でよ……。
……これを使った拷問にも力がはいったと聞いているぜ」

「う……ひどい……ファム……」

「俺は浣腸液の届けが終わったら、
裏庭の浣腸室がある場所に
……こっそり拷問の様子を覗きに行くんだよ。……うへへ。
まぁ、覗きと言っても中の様子まではみえないんだけどな。
鉄格子の窓から悲鳴がきこえてきてな……」

「おお?これか!
これが……カンチョーに使う薬か……
そうか、カンチョーは薬をつかうのか?」
ラユツの目が輝いて、まじまじと瓶を見る。

「なるほど……浣腸室は外にあるのね。
鉄格子がある窓って大きいの?」

「ん?お嬢ちゃん女の拷問みて楽しいかい?
鉄格子の窓はすこし壁をのぼったところにあってな。
見ても、中は薄暗くて見えんぞ」

そのあと
男はニタァー……と綻んだ笑みを見せ。

「配達が終わってしばらくすると……
ソフィア姫がそこに連れてこられるんだよ。
んでよ、あの美しい姫がよ……
……苦しいだの、漏れちゃうだの……ひっひっひ……
この薬液を使われてやがんだぜ」

「も……もう聞きたくない!」
ミディアは耳をふさぐ。

「牛乳とハチミツを届けた日には、ブリブリって音がしたあと、甘ったるい匂いが立ち込めてよ、俺もたまらずオナニーこいちまったぜ」

「もういいわ……!さっさといきなさい!!」
ファムの怒りがはじけた。

「な……なんでぇ!」
男が馬を起こして去る。

男が去ると、今度はラユツが好奇な目をファムとミディアに向けてきた。
「な……なぁ……。
ファム……、ミディア……。
ブリブリ……って……ソフィア様がウ……ウンチ……?
カンチョーされると……女の子がウンチをするのか……?」

にわかに信じられないといった様子で二人に尋ねる。

「………………」

尋ねても二人は沈黙している。

ラユツは、最近まで女の子はウンチをしないものと思っていた妙に純情なふしもあり、変な興奮で股間がじんじんとしてどうしようもない様子である。

(あの美しいソフィア姫が・
脱糞をして、それを見て……?んん?)
グァヴェスが喜んでいる光景が頭に浮かんだのだ。

それはラユツの背徳的で怪しい性癖の芽生えであった。

ー次の日


「ラ……ラユツ……前歩いてよ」
「ラユツ……なんか目線……私達のお尻みていない?」

「あ……あはは……バレた?」

(ミディアもファムも……ウンチ……するんだよな……。
……まあ……見せてくれるわけ……ないか……)

程なくすると
グリセリンで栄えた街エターナ

ラユツの怪しい妄想は
意外にも早く
その街で実現をする。

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