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犬の青年期(生後4ヶ月〜)が一番ややこしい


前回の記事で触れた青年期の「吠え」問題について言及する前に犬の成長過程の説明から始めさせてもらう。

1歳までが子犬ではない⁈

1歳までが子犬だと思っている人は多いだろう。残念ながらちょっと違う。
犬の成長は人間より遥かに早い。特に生まれてから新生児期、幼少期(社会化期)、そして青年期まではあっという間に来てしまう。その時期の特徴的な行動を理解し、限られた時間を有意義に過ごさせることがその後の彼らの行動に大きく影響するのだ。
そして「犬」という生き物はチワワのような1kg前後の極小犬からマスティフやウルフハウンドのように80kgを超える超大型犬まで幅があり、成長の進み方も寿命も異なってくる。小型犬は身体的にも精神的にも成長が早い。一方で大型犬はゆっくり成長し、そして寿命が短い。
これから説明する成長過程は日本の小型犬から中型犬程度の犬に当てはまると考え、より大きな犬はこれに数週間(数ヶ月)加算して欲しい。

生後8週間までの幼少期は生まれた場所で過ごす

生後2ヶ月までは母犬とキョウダイ犬と一緒に過ごす時期。優れた環境で母犬やその他の成犬から教育を受け、きょうだい犬と交わりコミュニケーションを取ることで子犬同士のボディランゲージも学ぶ。そしてブリーダーも多くのことを学ばせるだろう。人の手に慣らしたり、クレート練習やトイレトレーニングも知識のあるブリーダーであればスタートしているはずだ。

生後16週までの臨界期は人間の幼稚園や小学生時代

この時期を専門的には臨界期と呼び、子犬の脳の神経回路が経験などから成長をし作り上げられていく。この時期を過ぎると柔軟な吸収が難しくなると言われているため、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、を含めた多くの体感をさせていくことが重要となる。すべては「良い経験」であることが大前提だ。多くの経験を積ませることからそれらを「社会化」と呼び、この時期を社会化期と呼ぶこともある。

生後16週(4ヶ月)から12ヶ月頃までは中学生や高校生時代

この時期を青年期と呼び、いわゆる人間で言う10代のティーネージャー時代にあたる。
小型犬は成長が早いため、この時期は1歳で終わるだろう。レトリバーなどのもう少し大きな犬は1歳半から2歳頃まで続くこともある。半分コドモ、半分オトナな状態だ。身体は大きくなり筋肉もついてきて、多くの犬はこの時期に発情期を迎えオトナへと成長していくのである。

と言うことで本当の子犬の時期は生後4ヶ月ほどで終了すると言える。生後4ヶ月以降はすでにオトナになり始めているのである。

ティーネージャー(青年期)の犬は本当に大変

身体も心も半分コドモで半分オトナの青年期は人も犬も大変だ。(実際我が家には現在ティーネージャーの子供がいるが、本当にややこしい💦)
今まで小さくて丸くてただ可愛かった子犬は身体も力も大きくなり、手足やマズルが伸びて可愛らしさから凛々しさを感じるようにもなる。しかし中身はまだコドモの部分も残っているので大きくなった身体でやんちゃもしてくれる。この時までにトイレトレーニングが軌道に乗っていないと、増えた量の排泄物の度重なる失敗に「まったくもー!」とイライラしながら掃除をする羽目になる。

警戒心が大きくなる青年期

そして青年期の犬は警戒心という新たな気持ちを持ち始める。今までは好奇心と探究心がメインだった子犬の気持ちの中に新たな気持ちが成長するのだ。ブリーダー宅でどのような母犬から生まれどのように育てられたか、そしてその後の4ヶ月齢までの臨界期に家族が様々な社会化を施してきたかどうかでこの警戒心の様子も少し変化してくる。あえて書かせていただくが、社会化をすることは怖がらない犬を作ることではない。驚いたり不安を感じることはとても自然なことであるが、その後のリカバリーできる力が人も犬も大事なのだ。

学習から事態を予測するようになる

また数多くの経験により様々なことを学習していく。学習を通して事態の結果を予測できるようになり、その予測から吠えるようになるのだ。例えばお父さんの車の音や歩く音など犬は何度もその刺激と結果を結びつけ学習していく。お父さんと結びつく刺激が見えたり聞こえたりすると、予測から興奮し吠えるようになることもある。ご飯が大好きな子は「ご飯にする?」と言ったワードに反応し吠える犬もいる。毎朝同じ時間に起きてきて活動を始める飼い主のルーティンに慣れた犬は週末などという概念はなく、同じくらいの時間に飼い主が起きてこないと吠えることもあるだろう。

吠えている原因を探り、その原因を取り除くようにするのがトレーニングのポイントである。


対処方法についてはまた別の記事で紹介しよう。
お楽しみに。





 

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