見出し画像

Tタッチ:犬へのアプローチ方法を変えてみる

Tタッチという手法を聞いたことがある人もいるだろう。
日本でも認定プラクティショナーが増え、教わる場も増えている。

私が出会ったのは27年ほど前になる。
アメリカのAPDTカンファレンスに日本人初めてのスピーカーとして参加したときにまだ初来日前のデビー・ポッツ先生の講義を受けた。
その時はまだぼんやりとしか理解できず、Tタッチを使いこなすまでに至らなかった。その後、デビー先生の頻繁な来日に通訳として随行することとなりトレーナーとしても多くを学ばせてもらった

聞いたことがあるがよくわかならい、という方のためにTタッチを少しだけ紹介しよう。

Tタッチの専門家

Tタッチは正式にはテリントンタッチと言い、発案者の名前がついている。その名前がつけられたリンダ・テリントン・ジョーンズ先生は大御所で、多くの生き物をその手で救ってきた。彼女の書籍も日本語訳されている。
多くの生き物とは、亀やら蛇やら生まれたてのネズミから巨大な象まで神経がある生き物であれば全てに使える手法なのである。元々は馬への施術から始まったのだか、今はあらゆる生き物に活用されている。もちろんその中には人も含まれる。

リンダ先生の教えをしっかり身につけたトレーナーと呼ばれる認定Tタッチのスペシャリストが数名いて、その中の一人が日本でも有名なデビー・ポッツ先生というわけだ。トレーナーの下にはプラクティショナーと呼ばれる認定の専門家がいる。日本でも認定制度のコースが開催されるようになって久しいため、多くの日本人プラクティショナーが誕生している。私もその中のひとりとして仲間に入れてもらっている。

大切なバランス

名前にタッチと付くので、犬に触って何かをするのだろう、とよく思われる。
ボディワークと呼ばれる身体全体にアプローチをする手法もTタッチの中の一つだ。
しかしその他にグランドワークと呼ばれる犬を動かしながら行うワークもたくさんある。

一番大切なポイントにバランスがある。
身体と精神はリンクし合っている。感情が犬にあるとしたら、その感情面も影響し合っているだろう。
人と同じように犬だって身体が不調なときには精神状態にも影響する。
頭が痛いときには機嫌が悪くなることもあるだろう。どこかが不調であることが行動に影響するのだ。
逆に精神状態が身体に影響することも多々ある。緊張するとお腹が痛くなったりトイレが近くなったり。精神的に辛いときには身体が痛くなることだってある。

それらをバランスと考える。身体や精神のバランスが崩れていると見るのだ。
つまり一方のバランスが崩れるともう一方のバランスにも影響する。

身体のバランスは痛みや不快だけではなく、身体そのもののバランスも意味する。
例えば、精神的にイライラしている人が眉間にシワを寄せたり、肩に力が入るなど精神のバランスの崩れが通常の身体のバランスを崩すことがある。
逆にいつも背中を丸め顔を下げて過ごしていれば、なんだか気持ちも暗くなってくる。
犬も同じように頻繁に恐怖を感じている犬は身体がバランスを崩した状態をキープしてしまっている可能性がある。また吠える場合も身体のどこかに力が入っていたり、バランスを崩していると見る。

生き物の持っている最高の状態へ導く

Tタッチは行動修正はもちろん健康状態の向上まで助けてくれる。
行動を直すとか、病気を治す、という表現は本当は相応しくない。
その犬のその時に持っている最高の状態へ導いてあげるのだ。
病気を治すわけではないが、今その犬が持っている治癒力を高めることは可能だ。行動を180度変えて「直す」わけではないが、犬が持ち得ている可能な動きを導き出して楽に生きることを教えてあげることができる。

それらを繰り返すことで気がつくと犬の行動が変わっていたり、健康状態が改善されていることだってある。

身体へのアプローチ

行動治療をする際、犬の行動だけに注目し、その行動を変えようとする。
対してTタッチは身体へアプローチしていく。

身体のバランスを整えることで精神面のバランスも整えられ、その結果行動が変わってくるのである。

バランスは立っている状態、座っている状態などの全体のバランスから、尻尾の根元のテンション、耳の状態、毛や皮膚全体などの状態を触りながらチェックし、そしてボディーワークでアプローチしていくのだ。
ちょっとコツがいる。
ただ触るのではなく施術者のバランスも影響するので注意しなければならない。そしてグランドワークと呼ばれる動きを使った中で身体全体のバランスを整えていく。

身体のバランスを整えるだけで劇的に変化してくるから面白い。

1発で劇的な変化がある場合も

通常トレーニングとは一瞬でできることなどない。
犬ができるレベルを探し、成功を積み重ねて学習させていくのがトレーニングである。
Tタッチも同じようにアプローチを繰り返すことが必要だが、実は1回だけで大きな変化が生じることもある。
神経にアプローチをするこの手法は犬の身体がそれを身につけ、変化をすることがあるのだ。

失敗しても害がない

どんなトレーニングでもアプローチ方法でも間違えて行ったことで犬に害が出ることだけは避けたい。
初めは誰しもうまくできない。しかし間違えた方法でアプローチをしたとしても犬に害は出ないのがTタッチの良いところの一つだろう。
間違えたやり方をして最悪の状態はただ一つだけ。

『効果が全くない』

でもTタッチとしての効果が全くなかったとしても、きっとその優れたアプローチ方法から飼い主と犬との間に素敵なコミュニケーションが生まれ、またアプローチしている時間は双方の関係に良い影響を与えると私は思っている。

アプローチを変えてみることに挑戦

動物の行動や健康状態に不安がある時には、あらゆる方面からアプローチをして欲しい。
行動ばかりに注視するのではなく、愛犬の身体の外観のバランスや身体の状態を考え、アプローチしてみることもやって欲しい。

上記の写真はワンズを使っている様子。
緊張しやすいワンちゃんへの最初のアプローチとしてこの時には取り入れた。
これもたくさんあるTタッチの手法の一つである。

是非体験してみては。
新たな世界で犬との素敵な時間を共有することができるはず。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

パップスフレンズでも認定プラクティショナーの金子がTタッチの指導をしています。
ご希望の方はご連絡ください。
      パップスフレンズしつけ教室
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?