イエスタデイをうたって 愛について

これは、ツイッターに書いたイエスタデイをうたってのアニメの12話の感想から、このアニメのテーマではないが重要な要素である「愛とはなんぞや?」についての考察である。

あくまで、アニメではそうですが原作だともう少し意味が深いかと思うがここでは載せていない。

■12話についての晴と浪の恋とは?


確かに、愛とはなんぞや?という話だけど。

アニメだとその辺り分かりにくいような気がする。

でも3話で晴が恋は叶わなければ裏切られた気分になる自分勝手だと言っている。

最終回の浪や晴を見ていて彼らの恋は本当に自分勝手なだけだろうか。と考えるとどうだろうか。

■晴と浪の叶わなかった恋の変化の結果

恋が叶わなかったとしても、浪や晴は裏切られたように言ったか。

浪は、「榀子が相手が誰であっても幸せなら良かった、時間をかけて納得したさ。気づかなかった自分がマヌケだったんだ。」といい、晴は、榀子にずるいと言ったが、陸生には「そういう事か」といい、後に称賛の言葉をかけた。

仮にこれらが嘘だとしても、浪や晴は好きな人に嘘を言うような人だったか。

これらから、彼らの恋は最終回でどう変わったのかと考えると、見返りを求め、それが叶わなかったら裏切られたように思うとする自分勝手な恋とは、表面上は少なくとも異なると思われる。

■難題の答えはすぐには分からない。

「愛とは、なんぞや?」


難題の答えはすぐには分からない。
それは隠されているからと思う。

少なくとも、浪とそして晴の恋は自分勝手な恋で終わらない、恋だけではない別の感情になったと思う。

その感情は何か相手が幸せであれば受け入れられる。
どこか許しに近いようなそんな納得のように思う。

そういう事かと晴は、受け入れた。
浪も榀子が幸せならと受け入れようとした。

■最終回での陸生の行動。

陸生は自問自答の中で自らを自分勝手だと言った。

他人を好きなのではなくて、かまってくれるやつが好きなんだろうという事は、見返りだとも取れる。

でも自分の気持ちに正直に行きたいとも言う。
つまり逃げ場を無くしたように見える

そして、晴の前で今までの事は勘違いだといい、
でも、晴への思いも勘違いかもしれんと言う。
これは、同じように逃げ場をなくし、錯覚(勘違い)により
陸生を好きになった晴。
でも嘘はつきたくない、見返りを求め、逃げ場をなくした晴の恋と重なる思いである。

■恋の証明

晴に会う陸生。

陸生は、榀子に振られたと言う。
でも実際は、陸生が榀子を振ったとも取れる。

○言葉とプライド

これは、おそらく自問自答の中で言った。
言葉を尽くしても誠意は伝わらないという問いと重なる部分がある。

傍から見ても情けないが、この点もお前にプライドはないのかという自問自答と重なる。

プライドがあっても、言葉を尽くしても誠意は伝わらないと分かっての行動であると思う。

○疑念と言い訳

晴もその事を聞き、榀子に振られたから自分の所に来たと言う。 
2話で晴は、仮に陸生を晴の方に振り向かせてもそれは妥協だと言っているのでこの疑念は当然である。

傍から見てもその通りだし、何を言っても言い訳というか。

自問自答の中で、相手にされなかったら?
迷惑だと思わないのか?
お前にそんな資格があるのか?

という問もあり、これらが思い出され、ここも分かっての行動だろう。

○言い訳しなよ 告白

「言い訳しなよ、聞くから」

でも晴は許してくれる。
言い訳でも聞いてくれる。
陸生の自らの気持ちの証明を聞いてくれる。
晴の気持ちが陸生を許しているのである。

たどたどしく、人に優しくされると嬉しいもんで、その関係がずっと続けば最高だよなというのが恋だと思っていたと語る陸生。

それでも、明らかに面倒くさいやつがいて、不覚にもそいつの事が可愛いと気づいてしまったから、俺はここにいるんだと思うと語る陸生は、終始ぎこちない。

その言葉にはっと呼吸をする晴。

晴の顔を少し見て視線を下にする。
晴の顔を見ていられない。 これは前からそうである。

そして、つまり今までの事は俺の勘違いだという。

そして、今も勘違いかもしれんともいう。

「それで、何が言いたいの?」と聞き入る晴。

「だから、たぶん俺はお前の事が好きだ!!」と勢いのままに叫ぶ陸生。

嬉しい表情と、驚きの表情からすぐに塞ぎ込んで表情を隠す晴。

■許されない事、許される事。

表情を隠す晴。 黙ってそれを見守る陸生。
陸生の言った事は、本当なのか。
傍から見ても榀子の妥協で選ばれたようにも思える。
信用してもらう事ができる要素などおそらくない。

都合の良い自分勝手な告白だ。
しかも勘違いかもしれないとかたぶんとか言われる。

考えてみれば、この告白シーン。
陸生のコミカルな態度や晴の態度を見ると楽しく見ていられるが、当人らからすれば修羅場である。

陸生は自問自答などから考えて、許されないと思っているし、言い訳するしかない。

プライドも、言葉も、他人の迷惑も、見返りも全て突っ込んで、許されるかどうかという話だ。

でも晴には、許され、受け入れられた。

■恋から。

相手に見返りを求め、それが叶わないと勝手に裏切られた
気分になる。恋とは自分勝手。

では、そんな恋はただ一緒にいるだけでもいいという思いになり、陸生の就職を喜ぶなどの見返りだけではなくなっていく。

好意のある人と友達関係を続けるのは、おかしいのか。
感情に損得なんてあるのか。
何が大事かを決めるのはその人自身。

それらを考えるとゆっくり本当にゆっくりと少しずつであるが変化していく心。

最後には、好きな人を祝福し、称賛し、許し、受け入れられるまでになった。

■愛とはなんぞや?

晴だけの話で考えると、こういう事が言える。

好きな人を許す事。 別に許さなくてもいいが。
好きな人を受け入れる事。それが辛くても
好きな人の幸せを心から願う事。

サウンドドラマの滝下君の話を見る限り、
付き合うってことは、好きな人の側にいる事を許されるということだというので、許されるというのはそうなのだろう。

■思いを持ち続けた人の大逆転劇

12話は、思いを持ち続けた晴と浪の大逆転劇だと思う。

この逆転劇は、榀子よりも晴が選ばれたという意味での逆転劇だけではなく、浪と晴が彼らに向き合わなかった陸生と榀子よりも大人であるという年上と年下の逆転でもある。

そして、今まで向き合わなかった者を失う事で、感覚的も愛されていたと感じ、その喪失に苦しむ事になる様が描かれている。

結局な所、いくらカップルを装っても、最後に愛には勝てなかったということだと思う。

■陸生と晴

最後に、晴と同じように逃げ場をなくし、勘違いでも好きだといい陸生とそれを受け入れる晴。

陸生もかつての晴と同じように、いつか恋が愛になっていくのかもしれない。

原作と異なるエンディングであるが、個人的にはそういう流れを感じてしまう。

終わり。

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