おばあちゃんのはなし 7

「眉毛」

実は今回も私のおばあちゃんの話ではありません。タイトルがウソってどうなの?おなじお年寄りという括りでなんとかひとつ よろしくお願いします。

過去に介護施設で働いていたので、自分の身内以外にもたくさんのお年寄りと出会ってきました。初めての仕事。初めての触れ合い。ガッチガチに緊張して、日々のスケジュールをこなすのがやっとです。

名前は覚えた、よし!  顔も覚えた、よし! 生活習慣もなんとなく覚えてきた!よしよし。時間に沿っておむつを替え食事介助や入浴介助をする。勉強した通り会話を心掛け「信頼関係」というものを築こうと頑張る毎日。

ある日、あるおじいさんのおむつ交換の時、突然言われました。

「あんた、いい眉毛をしとるなぁーー」

へ?マユゲ?

びっくりした。へへへ、と笑って仕事を済ませました。

顔も覚えた。よし!(でも私はみんなの顔のいいところ、なんて気がつきませんでした)話もたくさんした。よし!(でも会話をしていたようで、実は言葉を口から滑らせていただけかもしれない)

満面の笑顔を振りまきながら、仲良くしてねーと訴えながら、全然人のいいところを見つけられなかった私と、ベッドの上で黙っておむつ交換をされながら、ちゃんと私のいいところを見つけたおじいさん。

どちらがより相手を解ろうとしていたのでしょうね。

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