26 「覚えている名前」

 昨日まで実家にいました。
週末、母が旅行のため介護の手伝いに行きました。おばあちゃんはいつも通り笑顔で迎えてくれました。前日まで多少体調を崩したらしいけれど、それもだいぶ落ち着いて。

 私が手伝いに来る事が申し訳ないと思っているのか、母が出かけることになんだかんだと愚痴のような事を言っています。それでも薬の事、着替えの事、身の回りの事を一番分かっているのは母で、愚痴は言っていても母がいない事がふと心配になるのか
「ヨウコさんはまだ?いつ帰る?」
と、聞いてきます。
その言葉が、自分の生活を把握しているから、だとしても、やはりいつも居てくれる人、そして居てもらいたい人、という感じがしました。

 おばあちゃんの記憶力は驚くほど良かったはずなのに、最近は近所の事、家を出た子供たち世帯の事、ふっと名前が思い出せない事があります。私の名前も妹と言い間違えることも度々。

 それでも「絶対に家で介護をする」と言った父と、身の回りの事すべてを任せられる母の名前は、絶対に間違えたり忘れたりする事はないんだろうなぁと思います。
きっと。ずっと。

(2009.12.1の記事転載)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 読み返していたら、その後2010.3.2の記事に、母の事を「おばあちゃんは?」と言い間違えたという日がありました。3ヶ月後にはかっちり言い間違えをしていました。

 先生をつい「お母さん!」と言ってしまうのと同じ感覚なんだろうか? 今の職場の利用者さんでも「娘をついお母さんって呼んじゃう」という話も聞きましたし。安心できる人を想っての言い間違いだろうなんだろうとは思うけど、なぜ「おばあちゃん」なんだろう?とつい笑ってしまいました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?