おばあちゃんのはなし 13

「階段」

 小学生の頃、風邪で学校を休みました。
熱はあるんだけど、平日の休み。
特別な気分でちょっと嬉しくて、治ってきて体が楽になっても
だらっと布団にくるまっていました。
私の部屋は2階の日当たりが良い場所。気持ちがいい。
家にいるのは自分、とおばあちゃんだけ。

 お昼になって
「熱は下がったかい?卵うどん食べられるかい?」
おばあちゃんがうどんを持ってきてくれました。
「食べるよー。そこの台の上置いといてー。」

 夕方になって
「熱を測るかい?水枕換えようかね?」
「あ~大丈夫大丈夫。もうちょっと寝てるー。」

 私がぬくぬくと布団にくるまっている間に
おばあちゃんは部屋に続く狭くて急な階段を何度も何度も往復して、

ちゃんと眠れているか、ご飯は食べれているか、熱が下がったか。
おでこを触り、布団を直し、なんにもなくてもちょこっと顔を見に来て。

本当に何度も何度も
一段一段、手で壁を支えにしながら
上がってきては顔を見て、安心しては降りていく。
一日それを繰り返していました。

ありがとうね。

(2009.3.17の記事転載)


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 私がまだ乳児のころ、やはり熱があったのだけれど母がどうしても出かけなくてはいけないことがあっておばあちゃんにお願いをしていったそうです。
おばあちゃんはしっかりと腕に抱いてあやしながら母を見送り、母が数時間して帰宅すると、すっかり寝ている私をしっかりと腕に抱いて、自分もソファーでうとうとしていたそうです。母は「眠ったら布団に寝かせておけばよかったのにねぇ」と笑い話にしていましたが、きっと離せなかったんでしょう。

  今たぶん、自分に子供がいてひどい風邪をひいたら、やっぱり同じように心配しているでしょう。それが小さい孫ならなおさら。親は普通に頑張ってしまうから、ちょっと体の調子が良くなったら心配させないように起きてしまえば良かったとこれを書いた年齢で気づく。まぁこれも年を重ねないと気づかない事ですけど。



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