28 「がまん」
福祉サービスにショートステイ(短期入所)というサービスがあります。家族が介護できない用事などある時に、数日預かってくれるお泊りサービスです。
おばあちゃんはこのサービスが苦手でなかなか利用できません。自宅が気楽なのは当たり前だし、最初に行った時にヘルパーさんの対応があまり良く感じなかったようで。父も嫌な思いをさせてまで利用はしないので、自分の用事をやめてどちらかが家にいたり、出かけても短時間で済ませたりしています。
でもどうしてもやらないといけない事は出来るし、父母も体力的に休める時間が必要です。何度か話をしてみても頑なに嫌がるおばあちゃん。一人で家にいられるからいい、と言い張ります。
その時は、私の引っ越しがあって月末には二人で新居を見に行きたい。日帰りは出来ないからなんとかサービスを使いたい。でも嫌がるだろう。なかなか言い出せずに困っていました。
父が、雑談の流れで
「ぷにこの家に手伝いに行かなければいけないんだよ。その時は、泊りに行ってくれるか?」
嫌ならば仕方がない、と思いながらダメでもともとの相談。
嫌な顔をしながら、しばらく間をおいておばあちゃんが頷いてくれたそうです。当日、気持ちは変わるかもしれないけれど、今、自分の気持ちを抑えて、精一杯がまんをして頷いてくれました。子供が自分の子供の新居を見に行きたいという気持ちは、やっぱり親として分かるのでしょう。
(2010.5.7の記事転載)
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職場でもやはりショートステイの利用はご本人が拒否されることが多くて家族が困っています、という話を良く聞きます。大体が「身内に急な不幸があり家族がみんなでかけないといけない」が多いのでちゃんと説明する間もなく、気ばかり焦って感情的になってどんどん空気が悪くなってしまう状態。家族も慌てているし本人には気持ちの準備が出来ないし。
施設にいた側としては、精一杯落ち着いて過ごせるように迎えているつもりですが、やっぱり自宅とは違いますし、追い出された!!と感じてしまう方も少なくないです。自分に置き換えても嫌ですし。
ぷにこさんからもデイ利用中におばあちゃんに話してもらえませんか?と言われるのですが、説得する方法が難しいです。「家に誰もいなくなると日常生活が困る」「なにかあった時に一人ぼっちじゃ不安」「介護者が倒れちゃったら大変」たぶんせーんぶ解った上での拒否でしょうから。どこの対応を直せばいい、施設をもっと充実させればいい、という問題でもないのでなお難しいですね。
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