ここちよさの話
雨の日の傘の中は、居心地がいい。
ビニール傘なら、もっといい。
傘の中から見る世界が
雨の粒で彩られてうつくしい。
夜ならばもっと、うつくしい。
傘の中なら
知らなくていい人の顔も見えないまま
多くの人と行き違える。
わたしの顔も見えず
わたしも誰かの 知らなくていい人 になる。
それが心地いい。
8月の朝、
医師に、寝ている時の
血中酸素濃度が92%と知らされた。
寝ている時、脳がほぼ覚醒している状況らしい。
つまり今まで
ずっと、起きているらしい。
生まれてこのかた、
よく普通に日常生活してたなー。と思う。
不安な気持ちになるのも束の間、
医師のテンションが高いことが気になり
あまり話が頭に入らない。
好きなんだろうなぁこの仕事。
医師という生涯。
そういえば前の診察も
夏の高気圧みたいな先生に
元気をもらっていたなぁ。と思い出す。
はたして
わたしに酸素濃度98%くらいで眠れる日は
来るのだろうか。
先日、はじめて北海道の地に足を踏み入れた。
宿からマウンテンバイクで
40キロ走った日の写真である。
道端になる野いちごや
見たことない草花にときめくのも束の間、
すっごい勢いででかい虫が突撃してくるし
止まれば蜂がくっつくし
進めばまたすごい勢いででかい虫が突撃してくるし
すごいペダル漕いでるのに
右膝にはよく大きなバッタが
しっかり掴まってくっついていた。
とにかくもう、虫。
虫を避けるのが
この世でいちばん難しい地域なのでは?と思うほど、
すごいぶつかってくる。聞くと田舎の日常らしいが、
もうこれが本当に痛い。
虫以外のこの日の思い出といえば
意味がわからないくらい透明な池と、
永遠に続く枝豆とじゃがいもととうもろこしの畑!
東京で生まれ育ったので、
こんなにも綺麗な水に触れたことがなかったし
その景色が美し過ぎて
感動しっぱなしだった。
広大な土地と豊かな自然に心が洗われた1日だった。
夏は北海道がいい。
毎年足を踏み入れたい。
そういえばコロナ禍に入る前はずっと
夏といえば台湾!だった。
それはそれはもう大好きな土地で、
弾丸で行ったりもしたし、
信じられないような人とのつながりも
たくさん経験させてもらって、
今でも大好きな国だ。
だけど、
この何年かでいろいろが変わり、
じぶんも変わった事を実感している。
ここちよい、がすこしずつ
すこしずつ確実に変わってきている。
その時々に似合うここちのよさを
見過ごさず、大切に
守っていきたいと思う今日この頃である。
わたしが作るフムスは、おいしい。
おいしい は、ここちよい。