物作り+ストーリー作り
日本に限らず、物作りというのは、いかに低コスト、短納期で物を作るかが問われるのが原則だ。
もちろん、日本のあらゆるモノ作りの現場でもそうだろう。
職人の相当な技術を持って作ったものであっても、当然ただ作っただけでは売れない。
例えば、日産の協力会社。
カルロス・ゴーンが高額報酬を得ていたことの裏側に、協力会社や自社社員への苛烈なコストカットの要請(という名の強要)に、物作りの現場で働く職人は疲弊していただろう。
このJB pressの記事を見るに、どんなに物作りに取り組む企業であったとしても、自動車産業という業界、日産と取引がある状態では、否応なくコストカットを要される。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54875
コストカットの行き着く先は、熟練の技術があるのに薄給ではたらく従業員、資金繰りにおびえる経営者、そしてだれも後を継ぎたがらず、経営者も従業員も高齢化し廃業に追い込まれたり、その前に経営破綻する。
一方で、カルロス・ゴーンは日産の部外者からは「カリスマ」として崇め立てられ、桁外れの高給を手にする。
ゴーン氏はカリスマ経営者として上り詰め、一気に担がれていた神輿をひっくり返された。
理由に関しては、司法当局の判断するものなので、結果としてどうなるかはわからない。
しかし、日産を去った職員や、コストカットで血のにじむ思いをした協力会社の職人、また物作りの現場で働く多くの人に、ここでは文字にできないような感覚を覚えさせただろう。
悲しいのが、いかに物作りを突き詰めようとしても、それがクライアント企業、エンドユーザーに響かなければ、評価されにくいということだ。
物作りが評価されるためには、物作りへのたゆまぬ努力と同様、その良さを伝える、顧客の心を動かすことが大切になってくる。
例えば、日本酒応援団とか磨き屋シンジケートのように、有志で集まり、物作りのこだわりやストーリーを伝えることで共感してもらう。
物事も、プロダクトの裏にある努力も、積極的に伝えようとしなければ伝わらないし、また、それがクライアント、ユーザーの心をつかみ、かつあえてそれを選ぶというくらい価値のあるものでなければ、顧客は安い方がいいやとなる。企業の部品調達部門ならなおさらだ。
日本は物作りで成長してきた。
しかし、近年の物作りの現場ではリコールや偽装など諸問題が発生。
物作りだけでなく、サービス、介護などの分野でも、職員の疲弊などによる歪みが頻繁に生じている。
今後日本はどの分野で生きていくか。
各自が考える、様々な方向性があるだろう。
しかし、物作りの現場であれば、従来の物作りではなく、大企業の下請けではなく、共感を呼ぶモノ作りにシフトしていけるか。
あるいはITなど一対多数を実現できるビジネスで、まだ入れるスキマはないか探すか。
様々な要素が限界に来ている日本の解決策、どこか小さな一つでも突破点を見つけたいと思う。
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