わいの平成詩史19

「おぼこ板」にはいろんな人が来てた気がする。時々誰かが来て「お〜元気か〜そこそこ元気なら何よりだな」「やーやー先生お元気ですか〜いやいや先生ほんとに」みたいな、なんか達人どうしのやりとりをみながら、達人はもうなんか言わなくても通じ合うものなのだなと思っていた。
あとはそこには「原口さん」も時々来て、朗読の音声を置いて行ったりしていた。
原口さんというのはわたしはたぶん詩会というpoenique上の電子合評会のようなところに投稿されていた「殺戮の時代」という詩で知って、なんか真面目な大学生、それこそ鈴木志郎康さんとか天沢退二郎さんとかが同人誌を作ってくような雰囲気を感じてた。
原口さんは「痙攣」というWEB同人に参加してて、そこには洛陽さん、ななひとさんはいたのかな、boogieさん(樋浦なんとか名義もあった気がするが憶えてない)、縞田みやぎさん、などがいて、端正な雰囲気で、10号ぐらい続いてた記憶がある。

原口さんの「殺戮の時代」は最近リプライズ的なやつ(再び殺戮の時代)が本人によって書かれている雰囲気があるが、そこまでもう人の動向には詳しくない。昔から疎いけど今も疎い。というかネットの動向なんか発表しない限り動向じゃないのだから、動向とはよべないのかもしれない。

それで当時詩会に投稿されたこの詩には、ちょりさんがめちゃくちゃ長い分析?批評?文を書いて、Monkさんが「すごいいいんだけど、『青写真』のとこだけちょっと無理があるような気がする」、ともちゃん9さいさんこと田中智子さんが「すごい、水のように流れるんだ! 映写機かたかたかた…」的なコメントを残していた記憶がある。

なので、わたしもがんばって読んでたけどあんまりわからなかった。
最後の名詞が「する」っていうやつを読んで、そういうのがすごいなと思ったり、「のよ。と、」とかを憶えたりしてた。今は今で思うこと(正確には今よりもう少し前)があるけど、あまりこういう系の詩は何も言わないほうがいい気がして言わない。ぜひ読んでみてほしい。

どっちで読んでもいいと思うけど、個人的には詩学の友で読んでほしいような気もする。なんかフォントが画像で本っぽい感じになってるから。

それにしても思ったのは、こうやって本人が作品としてずっとだしてるのって、ネット上の詩ではかなりというかほとんどないよなと思った。特質系というか、珍しい気がした。

ネット詩といって自分が想定する範囲というのは1999〜2004ぐらいまでで、そのへんから忙しくなったからで、その頃の紙の雑誌の中でなんかネット寄りというか、親和性ある気がしたのが詩学とmidnightpressであり、ただわたしはひきこもっていたから、その雑誌をてにすることはなかった。

今書いていて、「忙しくなった」と「ひきこもっていたから」が矛盾してる気がしたけど、正確にいうと、自分がそういう詩に関するものを買ったり持ったりすることに違和感があったからまあ別に外に出れても、Amazonでぽちれても、当時そうすることは決してなかっただろう。

わたしはネットにあるものだけで満足したかったし、自然エンカウント信仰とでもいうべきものもあって、自分から人工的に詩と会いにいくような感じでいきたくなかった。詩とはたまたま出会わなければならなかった。そんな気分だった。

詩学の友というサイトがある。そこの詩楽というコーナー、vol.5で止まってる気がするけれども、これのvol.3に原口さんの詩が紹介されていて、そこにも「殺戮の時代」はある。

原口さんのいくつかの詩が読める。アンソロジーである。
ある意味、この詩楽コーナーは、奇しくも当時のネット詩のいい感じの(今現在も機能している)アンソロジーとして成立しているように思う。
わたしは詳しくなくあまりわからないが、詩学は途中からインターネットに舵を切り部数を減らしてしまった、というようなことをどっかで読んだ気がする。
数年前、図書館で先田督裕さんの「ぼくはインターネットでこんな詩を読んだ」を読むために、詩学のバックナンバーを見てたら、表紙の雰囲気がすごい古くてびっくりしてて、確か終刊するときの号とかってめっちゃポップというか黄色かった印象があったから、え、数年でこんなに雰囲気違ってたのと驚いたことがあった。

若いときはお金がなくて支えられなかったり、自然エンカウント信仰によって出会わなかったり応援できなかったものがたくさんあったと思う。

詩楽にある原口さんの詩。殺戮の時代以外にもある。今はまた長いのが読めないからあれだけど「すべて届いてしまう場所へ」という詩もいいですね。
もう最初っからかっこいい。

生活が洗濯機を回している

そういや原口さんは午睡機械とか、なんか午睡、昼寝かな、なんか昼寝にこだわってたな。シエスタが何語かはまだわからないけど、ラルクの曲名とかにありそうですね。フランス語? いや、でもなつかしいですね。

(つづく)

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