わいの平成詩史14

前回(さっき)ラジオのことを書いたから、そのまま音声の話をしよう。

当時はmp3が出たか出なかったかの時期であった。
mp3というのはmpeg1のレイヤー3みたいなことだったかと思う。
動画の圧縮形式であるmpegの音声部分用に開発してたやつが圧縮効率がめっちゃいいみたいなノリが発生し、その音声の圧縮形式によって、CDの人間の耳に聞こえない領域を削って5メガとかにするみたいなノリができた。

LAME(なんかよくわかんないけどコンソール画面で頑張ってCDとかの音源を高品質なmp3にしてくれるやつ)でみんなCDをmp3にして聞いていた時代があった。

5メガぐらいにするとさすがに「なんかしゃりしゃりすんなあ」みたいな雰囲気だったけど、5メガぐらいにすることで、なんか得をするみんなが存在したのかもしれない。
当時は、今で言えば漫画村の管理人が顔出しで「漫画村の管理人だよー」とか言ってるぐらいのノリだったので、いろんな意味でゆるかったし若かった。

mp3は朗読にも使える。まあ当時はRealPlayerかWindows Media Playerか真空波動拳かゴムプレイヤーかみたいな時代だったので、もう少し遡ればもう実質RealPlayerで240*180ぐらいのサイズのざらっざらのただのブロックノイズ見てるんじゃないかみたいな感じの動画を動画として見ていたわけである。
AVのサンプルを3つにわけたやつとかだともう少しファイルサイズがでかくて画質ももうちょっとよかったけど、それでもしれていた。
Windowsの雑誌についている動画とかは画質はよかったけどMPEG1で、これは差分方式で、なんか時々差分がおいついてないところに前の画像のおっぱいとか顔が残って悪夢みたいな動画になったり、その差分のおっつかない箇所がグレーアウトしたりするのがつねであった。
いいたいのはまだ動画は無理っていうコンセンサスがみんなに体験として共有されていた。

そしてAVサンプルサイトではrm形式とwmv形式が覇権をめぐってしのぎをけずっていた。

まあそんななかmp3が出てきたので「とりあえず音声はぎりぎりネットに通せるか…」ってなってきて、まあふつうに録ってみてアップしてみようという気にはなってきた。

これも当時どこにアップしてたのか記憶にないけど、たぶんBBSの画像とかアップしてたところにZIPか剥き出しで載せてたんじゃなかろうか。

記憶にあるのはミキさんの朗読と原口昇平さんの朗読で、それぞれ別の場所にアップされてたものだと思う。

ミキさんのは「世界に保存」と「何を信じないって信じてるのか」という声を覚えてる気がする。
原口さんのは「ぼうずのあそびをみましたか」っていう一節のみをおぼえている(これは確か岡さんの詩だったはず)。

朗読してる写真とキャプションのついたHTMLによって、どこかの世界で朗読が行われてることは知っていた(あとは上田假奈代さんの便所連れ込み朗読とかがあるのもなんか知ってた)けど、音声がアップされる時代になったというのは、なんかぞわぞわする経験だった。

それはおもしろかったし珍しかったけど、自分は結局そこに興味を惹かれなかった。

(つづく)



【本文で使わなかったところ】

当時は動ナビ(いや、たぶん今もある…! たぶん今も残ってる感がすごいする! なんかこういう系はしぶとい気がする)があって、なんか動画をアップしてるサイトに点数をつけてずっと更新し続けてるめちゃくちゃ重いサイトがあって、そこの95点とかだとわたしは全然興味が持てなくて、75点あたりからがわたしにとっては凄くよかった。




当時はrm、あるいはwmvでしか配布していないサイトもあったから、両方とも持っておく必要があった。



忘れるところだったが、このmp3と「携帯オーディオプレーヤー」というジャンルは密接に関わってるかもしれない。いや、関わってる。
iPodが出て、当時ひきこもっていたわたしはMacがほしくて2chの新Mac板とかで情報だけを得ていた。あとは当時携帯オーディオプレーヤーの板もあったのかもしれないし、そこも見ていたのかもしれない。

当時はケイタイオーデオプレーヤーの覇権をめぐってAppleとSonyが争ってた。Sonyは紫色の石鹸みたいなやつを出したりしてた。
あとはCCCDとかいって、CDの前のCCはコピーコントロールという意味だが、つまり、CDから音声をデジタルコピーできないようにガードしたCDという意味で、こんなんするとCDプレーヤーに負荷がかかってぶっ壊れるのでやめてほしいし音質も落ちるからマジやめてほしいという勢がいて、そういう流れに津田大介さんとかがいたような気がする。

当時はSonyはAppleのiTunesには絶対曲を出さないみたいな空気があった。

そういやiTunesで曲が買えるようになったのっていつだろう。
あの頃はなんか毎週一曲無料でもらえるみたいなサービスがあった。

1曲が200円とか150円とかしてた。

まあ、そういう、ネットで買った曲と、CDからリッピングした曲をiPod等に入れて聞く、という習慣が当時はあった。

今のサブスクみたいなのがなかった時代の話である。

まあ昔はマネタイズというのかスケールというのか知らないが、みんな若かったから金払うのがマジで無理だった。
わたしなんかはひきこもりなのでノーインカムでフィニッシュですという人生を送るんかと思ったら働くんかいみたいな人生なので人生よくわかんないもんであるが、まあお金なかった。
それはそれとて、若い人は基本金ない。
けどFlashとか、Flashというのは主にベクター画像をアニメートさせるようなソフトで、なぜかそういう金のない若者が明らかに若すぎる発想でFlashの動画を作って、Flash動画は他の(mpegやAVIなどと違い)一枚一枚絵を繰り出していくタイプと違ってまだ比較的軽いから見やすいし、若い人が若さでアホみたいなやつを量産するので同じような若い人が見て笑ってミームっぽくなってたりしたけどこんなアホな動画作る人がFlashを買う4万とか6万とか覚えてないけどそんな金あるわけないやろという問題があった。

MacromediaはDirectorとかFlashとかで一斉を風靡してたというか、「マルチメディア」感が一番出てたソフトの会社だと思う。
なんか当時はShockwaveとかいうやつを入れろ入れろとうるさいやつだと思ってたし、なんかCD-ROMをいれたらなかのオートランインフ?的な、Autorun.inf?なんかそれで自動再生されて激重いソフトが急に立ち上がってたりとかしていた。
昔Macの雑誌とかでMacromediaのDirectorがあればインタラクティブなムービー(クリックしたら反応があったり、結果が変わるムービー)が作れる!でも18万とかなんかそんなんだった記憶があり、当時はPhotoshopが16万ぐらいとかだった気がする。

まあだから詩という選択はある意味妥当だった。
だって金ないしひきこもりだしやることないし精神的に長い文章も読めないし、発信できることといったらテキストしかないやん。
だからある意味必然的に選び取らざるを得なかったのかもしれない。

(つづく)

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