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【随筆】人生は苦難から学びを得る

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ようやく手に入れた心穏やかに暮らせる日々。それまでにはいくつかの苦難があった。現在の私はそれを乗り越えてきたことで存在する。ありふれた話かもしれないが、何処かにいる、誰かに届けば…
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#人生

【随筆】線香花火

樹々の間から海を見下ろす展望台に一人立つ。 隣には誰もいない。 中学生の時に家を飛び出し、半ば強引に住み着いたのがとある友人の家。 友人の部屋は母屋から離れた場所にあり、しばらく匿ってもらおうと考えていた。 ご両親にも可愛がっていただいていたため、上手くいけばなし崩し的にそのまま暮らしていければなどと、子供の甘い考えでの行動であった。 今でこそ有り得ない状況であるし、即捜索願案件なのだとは思うのだが、当時のまだ穏やかさが残る時代の風潮と、両親同士の話合い、父の内弁慶、そして

【随筆】やりたいことが見つからないままおっさんになった

夢や目標。 私が一切持つことが出来ないもの。 記憶の中で最後に夢を語ったのは幼稚園の頃だったか。 当時は警察官になりたいと言っていた。 その後私が夢や目標を語ることが極めて少なくなった。 私の小学生、中学生時代は常に虐げられる毎日であった。 そんな毎日の中で、私の自尊心は徹底的にへし折られた。 全てを否定され続け、私は自分の考えを語る際に頭が真っ白になるようになった。 正確に言えば頭には語りたいことが浮かぶのだが、胸の中にある何かがそれを打ち消してしまい、声として、音として

【随筆】母からもらった命 母に繋いでもらった命

現在の私を知る方にはいつも驚かれるのだが、学生時代は大小あれど常にいじめを受けてきた。 無視はもちろん、理不尽な扱い、明らかな侮蔑。 肉体的にも、精神的にも追い詰められていたと思う。 「思う」というのは、その頃の感情の記憶が曖昧なのだ。 小学四年生までは穏やかな日々を過ごしていたのだが、宮城県に転居、転校してから私の生活は一変する。 転校生というだけで物を隠されることから始まり、歩いているだけで後ろから飛び蹴りを喰らったり。 私の机が窓から投げ捨てられていたり、ありがちな話