見出し画像

鳥居れなさん ファーストフルアルバム「なきむしと魔法つかい」(2023年7月23日)


鳥居れなさん ファーストフルアルバム
「なきむしと魔法つかい」

2023年6月30日、鳥居れなさんのファーストフルアルバム「なきむしと魔法つかい」がリリースされました。
このアルバムは、クラファンをベースに制作され、自分も微力ながら支援することができました

アルバムを聴いて感じたことを綴ります。

[ アルバム収録内容 ]
01. Blue゜
02. #01 キーホルダー
03. ふたり暮らし
04. かなしい怪獣
05. #02 屋根裏のヲルゲル
06. オパリオス
07. #03 砂漠の薔薇
08. メーデーメーデー
09. くるみのパン
10. #04 最期のてがみ
11. エイミー
12. 酔いどれタクシー
13. 指切りげんまん、針千本
14. コントラスト
15. #05 Deep Blue
(#01-#05はSE)
All songs written by 鳥居れな

初めて「なきむしと魔法つかい」を聴いた時、まるで豪華なオペラハウスで上質なオペラを見ている(聴いている)ような錯覚に陥りました。(実際にオペラハウスでオペラを見た経験は無いですが…

物語は、「01.Blue゜」から始まる。Blue゜を自分が初めて聴いたのは2023年3月26日に GRAPES KITASANDOで開催された、鳥居れなBDワンマン「海底の石」。(この日は現場には仕事の都合で行けなかったので配信で視聴)
このライブのテーマとなる海のまさに青さを連想させるとても綺麗な曲。れなさんの声、特に透き通るような高音の美しさがアルバムでも見事に伝わる一曲。

「03.ふたり暮らし」は、自分の一番好きな曲の一つ。サビの歌詞「だってもう干したシーツに隠れてキスをする日など二度と来ないから…」を初めて聞いた時、その心情の表現力に れなさんは本当にソングライティングの天才だと思った。
この曲が、音源化されたことはとても嬉しい!
前半は、普段聴く弾き語りな感じで淡々と歌われるが…サビに入っていくとユニゾンで歌声が重なり萌え~。ドラム、ベース、ピアノ、エレキギターと一気に楽器が加わりクライマックスまで盛り上げるのは圧巻。

「04. かなしい怪獣」もライブハウスで初めて聴いた時から好きな曲。
優しい心を持ちながらも醜い怪獣として産まれてしまったことを、ひたすら悲しむところから始まる。アコギ1本の弾き語りでは最後まで悲しみを表現する曲となるも・・
アルバムバージョンでは、途中からそれがまるで怒りを表すかのようにバンド演奏と歌が一変する。このコントラストの強さがより悲しみを深く表現しているように感じた。

「06. オパリオス」「05. #02 屋根裏のヲルゲル」のSEを巧みに絡めてオルゴールの響きで曲が始まる。そこに弦の響きが加わり、まるで舞踏会を思わせるような豪華な演奏の中で響く れなさんの歌声。
屋根裏 = オペラハウスの2階席から妖艶な舞踊を垣間見るかのような感覚が、アルバム全体を通じてオペラを連想させる大きなファクターになっているのは間違いない。

「08. メーデーメーデー」アコギのリードから始まりシンプルに展開していく演奏。切々と「あなた」に気持ちを訴えかける歌声がとても切なく心に響く曲。
YouTubeで公開されている弾き語りバージョンとの比較も面白い。

「09. くるみのパン」自分はこのアルバムで初めて聴いた曲。
たとえ恋人と一緒にいても、その人との間に心の距離感を感じてしまう・・ そんな心境を秀逸に表現した曲。
比較的シンプルな演奏の中で際立っているのがパーカッション。まるで歌い手である れなさんの心臓の鼓動を映すように脈打ち、心の内をさらけだすような歌が切ない。

「11. エイミー」EP「8丁目のポルシェ」にも収録されている曲。
冒頭には、ライブでお馴染みのエイミーへの語り掛けが「10. #04 最期のてがみ」として付加されたのが大きな違い。
演奏はEP版がシンプルにアコギの弾き語りに対して、アルバム版では弦も加わり、より彩りが鮮明でPOPに。歌声もより明るく軽快さを増した感じ。
ところでエイミーとは誰(何)ぞや… 幼なじみ、友達など考えられるけど、自分はいつも何か架空で謎の小動物を連想してしまう。それ故に周りの大人たちからは関わることをよく思われない。その正体は明らかにされていない笑

「12. 酔いどれタクシー」普段のライブではアコギ弾き語りなので、曲の真髄はPOPなのにどこかシュールな感じを纏っていたが…
このアルバムのアレンジでは度肝を抜かれた。なんとアップテンポなブラスでスカに大変身。歌舞伎町の酔っぱらい女性客がタクシーを捕まえ道連れに…する事件を壮大に表現した。
サビでは、れなさん得意の語り口調を交えた歌の展開がキュート。間違いなくアルバムのエポックメイキング的な1曲だと思う。

「13. 指切りげんまん、針千本 」この曲も自分はアルバムで初めて聴いた曲。「指切り」という単純な約束の証に対して深い分析を行ってできた曲。そもそも約束は守れないことが前提で、針千本なんて用意するのも面倒… と切り捨てる潔さ。割と短くシンプルな楽曲ながらもメロディラインがとても鮮明で綺麗。

「14. コントラスト」YouTubeではシンプルにピアノ演奏でワンコーラスのみ公開されている曲で、フルコーラスの音源化を切望していた。
東京で夢に向かい、光の刺す方へ一歩ずつ歩みを止めない決意表明のような曲。地方から東京に出てきて夢を叶えるために努力する れなさんの芯の強さを感じる曲である。

そして最後は「15. #05 Deep Blue」のSEで物語は終わりへ・・

アルバム「なきむしと魔法つかい」は、間違いなくすべての曲を一体としてストーリーに閉じ込めたアルバムだと思う。
そこには、ライブハウスで歌う普段着のシンガーソングライター「鳥居れな」とは違い、特別な舞台で目一杯着飾って歌う「鳥居れな」を感じた。
その纏った衣装は、卓越したバンドメンバーによる魅惑のサウンドであるとともに、まさにアルバム制作を通じて何倍も成長した歌声や、広くさらに深くなった表現力だと思う。
この素晴らしいアルバムは、既存の 鳥居れなさんのファン(れなりすと)のみならず、一人でも多くの音楽ファンに聴いて欲しい名盤だと思う。そして聴いた人は れなさんの歌の魅力に気付くはず。
決してサブスクで気に入った曲だけを聴くというのでなく、アルバムを最初から最後まで通して聴いて欲しい。必ず感じ得るものがあるはずだと思う。

まだまだ成長を続ける 鳥居れなさん。飛躍への1枚になることは間違いない。

(歌唱写真は「鳥居れな ワンマンライブ〝Sound of the Sun〟」の配信映像のスクショにて)

「なきむしと魔法つかい」アルバム情報

鳥居れなさん公式YouTubeチャンネル


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?