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PSJ Focus powered by Predator #3 「ENTER FORCE.36」 前編

「PSJ Focus powered by Predator」は、PUBG SCRIM JAPANによるnoteの連載企画です。PC版PUBGの競技シーンにおいて、現在活躍しているチームや新進気鋭の若手チームなど、活躍に期待がかかるチームをより知ってもらえるようにインタビューを行っていきます。
第3回は、海外から世界トップレベルのコーチを引き入れ、日本代表として最前線で活動するENTER FORCE.36の皆様にインタビューをお受けいただきました。今回はロングインタビューとして、前編では世界のレベルを肌で感じ、努力する選手やコーチの率直な気持ちを、後編ではチームを形作るオーナーの方のチームに懸ける想いを伺いました。

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チーム紹介

ーー本日はよろしくお願いします。ENTER FORCE.36(E36)は、昨年末より様々な国際大会に日本代表として出場されているため、ご存じの方も多いとは思いますが、まず簡単に自己紹介をお願いします。

Amon: あもんです。PGI.Sから役割が変わり、アタッカーになりました。お母さんと一緒に頑張ります。

Satou: さとうです。PGI.Sからオーダーを務めています。最近は昔に比べて頭を使ってプレイができるように心がけています。

Sylphia: しるふぃあです。役割は、序盤は斥候(先頭で状況の把握)を行い、チームで固まるフェーズになるとバックラインの管理を行っています。20歳になったので、大人になれるように頑張りたいです。

Pureboy: ぴゅあぼーいです。役割はオールラウンダーで、アタッカーやバックアップ、角度を取る役割など、状況に応じて変わります。今年の目標は韓国語を話せるようになることです。

Toumei: とうめいです。アナリスト兼翻訳担当をしています。韓国人で、みんなと遊ぶうちに日本語は覚えました。以前はJUPITER NOVAの選手でした。E36の加入ツイートに掲載された宣材写真では長髪でしたが、最近切りました。

Giken: ギケンです。以前はDTN KRやOP.GGに所属していました。プレイ面の指導を主に行うプレイングコーチを務めています。世界でも国内でも1位を取るために最大限のサポートをしていきます。

E36のメンバー。左から、Sylphia, amon, satou, Pureboy。

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PGI.S を終えて - Giken コーチの加入

ーーありがとうございます。まず、今年に入ってPUBG WEEKLY SERIES (PWS) Pre-Season、そして PUBG Global Invitational.S (PGI.S)と、長丁場の国際大会、お疲れ様でした。出場しての率直な感想をまず教えていただけますか?

Amon: ありがとうございます。まず、これまでにない長丁場の実戦経験だったので大変でしたが、トップレベルのチームと戦い続けられたため、得られるものは本当にたくさんありました。

Satou: プレー面の感想で言うと、世界大会なので全体のプレイレベルが高いことはもちろんですが、相手が上手すぎて手が出ない、というよりはむしろ自分たちに弱い点があって、そこを突かれて負けている場面のほうが多いです。マクロ面でもミクロ面でも、自分たちに足りない部分がこの大会で浮き彫りになったと思います。コーチが入って改善のスピードが変わったので、そういった点を一つずつ改善していけば、少しずつでも世界レベルに辿り着けそうな余地はあるように感じました。

Amon: そうですね。Satouの言う通り、特にこれまでの大会と違ったのが、コーチが入ったことによってフィードバックの質が圧倒的に向上したことです。出場している4人だけでのフィードバックでなく、豊富な知識を持った、第三者視点からのアドバイスをもらえたことで、1試合1試合から得られる経験値はより大きくなりました。実際、前日の大会後のフィードバックが次の日に活かせたり、大会中にも成長できている感覚がありました。

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ーーそうだったんですね。コーチとしてGikenさんが加入したことは多くの人にとってサプライズだったと思います。個人的にも驚いたのですが、加入に至った経緯を可能な範囲で教えていただけますか?

Sylphia: 昨年12月末頃、更にレベルアップするにはコーチがほしいねという話を僕がして、そこからメンバーからも同意が取れたのでコーチを探すことになりました。もともと自分はToumeiと仲がよく、韓国側のコミュニティともつながりがあったんですよね。なので、Toumeiに協力してもらって、今フリーの人で一番コーチをお願いしたいと思ったGiken先生にアタックしました。実際Giken先生とは実は何度か昔Toumeiとともに一緒にゲームをしたこともあったので、全てはToumeiのおかげです(笑)
Giken先生が加入するにあたって、やはり言語の壁が課題だったので、日本語と韓国語の両方を使いこなし、かつ選手経験もあってゲーム理解度も高いToumeiにも一緒にアナリストとして入ってもらいました。実際に合流したのは1月の頭くらいからでしたね。

コーチ陣。左: TouMei, 右: Giken。

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やらなきゃ勝てないし、やっても勝てないからもっとやらなきゃ

ーーなるほど、Sylphia選手とToumeiさんとのつながりがあってこそだったんですね...! 実際、コーチやアナリストの方が加入して、練習内容の面でも意識の面でも、チームとしてどう変化がありましたか?

Amon: 練習内容でどう変わったって言うのは結構難しいですけど、とにかく練習量が増えてかつ質の高いフィードバックをもらえるようになったことですかね。Gikenさんの加入前、お試しでPUBG Winter Invitational (PWI)の動きについてフィードバックをしてもらったことがありました。一通り説明してもらってなるほど、とみんながなった内容に対し、「この考え方は韓国では2年前から当たり前にあるよ」と言われたことがあって(笑)。自分たちは4人で考えてこれがいいと思った動きだったんですけど、知識や戦術面は遠く及んでいないので、一から叩き込んでもらっています。

Pureboy: 練習量については今の練習メニュー伝えたほうがよりピンと来ると思うので説明します。まず13時に集合し、各自トレーニングモードやチームデスマッチ(TDM)でウォーミングアップを行います。14時から昼のスクリムに出ます。17時頃終わって、フィードバックをして17:30。ここから少し休憩でご飯を食べたりシャワーを浴びたりします。19時から夜のスクリム。22時に終了後、長めにフィードバックを行いいます。23:30頃まで少し休憩して、スクリム後はランクマッチをチームで行い、連携面などの練習をします。25時〜26時にチーム練は終了し、そこからは次の日の集合に遅れないよう各自個人練をしたり自分の時間を作ったりしてます。

Amon: 遅刻したらGikenコーチから「You want to die(笑)?」って言われるので絶対遅刻しないようにしてます。

E36の練習メニューをグラフ化したものです。

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Satou: 精神面というか練習への取り組みの姿勢で言うと、コーチが入ったおかげで「何をやれば勝てるようになるのか」が自分たちの中で明確になったのが一番大きいと思います。
正直、今までは海外とは環境が違うし世界で勝てないのはしょうがないと思う部分はありました。でも、経験を積んだコーチのアドバイスは理に適っているし、自分たちも納得できるような解答を提示してくれて。他のことに使ってる時間があるなら、練習時間を増やして一つでも改善していかなければいけないと思うようになりました。やらなきゃ勝てないし、やっても勝てないからもっとやらなきゃいけないんだろうなあって。練習してるのは僕達だけじゃなくて、他の格上の海外チームもやってるので。大会に出て勝てるようになるには、それだけやるのは当たり前だと思います。

ーーありがとうございます。チームとしてのあり方・考え方が根本から変わったんですね。実際そうやって新体制で取り組みはじめて、日本チームと世界のチームとの違いで改めて感じる部分を率直に教えてもらえますか?

Satou: さっき言った通り、間違いなく練習量です。それも、個人としてだけではなく、チームとしての練習量が圧倒的に足りないと思います。瞬間的な判断が日本チームと海外チームでは段違いで、海外チームは詰めのタイミングやフォーカスの当て方などの最適解をより早く出してきます。結果的に自分たちは後手を取って不利な状況になってしまうことが多いのですが、これらはチームメンバーとの連携を高めないとできません。

Sylphia: 連携と言っても高度なものだけでなく、基本的なチームプレイをどんな状況でも高精度に行える点が違いだと思います。例えば、ダメージを受けないように囮になりつつ、他のメンバーが攻撃することで有利なダメージ交換をすることや、1人で離れてダウンしたり、起こせない位置で必ずダウンしないこと。また、4 vs 4 のファイトになったときは、フォーカスを合わせて投げ物を4人で使ったり、複数の攻撃的な投げ物(フラググレネードや火炎瓶など)を使用すること。移動は全員できれいに隊列を組んで、チームで移動すること。
バトルロイヤルゲームでは、人数差が決定的な力の差に繋がるので、できる限り4人生存になるようなプレイングをし、可能なら全てのことを全員で意思統一して行うべきです。言葉で言えばみんなわかっているよ、というように聞こえると思いますが、これを徹底するのは連携が取れていないとできません。何らかの事情で十分な練習時間を取れないならば、集中力を高めたり、頭を使って効率的な練習をしたりなど、かけている時間の質をなんとか上げるしかないと思います。

Amon: また、チームプレイである以上雰囲気を保つことも重要で、雰囲気が悪いと細かい連携面にどうしてもズレが出てきてしまって勝てなくなってしまいます。よくGikenさんにも「喧嘩しないで」って言われるんですけど、試合間に選手だけでフィードバックをすると、どうしてもヒートアップして言い合いになってしまう場合もあると思うんですよ。海外のチームはどのチームも大体コーチやアナリストがいると思うんですけど、第三者視点でフラットに話を進める人を置くことで雰囲気の歪みも防いでいる点もあると思います。

日本のプレイヤーはポテンシャルを秘めている

ーーありがとうございます。次に、Gikenさんにお伺いしたいのですが、正直に日本チームの印象をお聞きしてもいいですか?

Giken: 自分が選手をしていたときと、今とで印象は変わっていますね。正直に言うと、選手時代は日本チームはどのチームもそんなに強くないと思っていました。しかし、SylphiaやToumeiと知り合って、日本の選手の環境が韓国のプロチームの選手とはかけ離れていることを初めて知り、選手たちが力を発揮できていないのは環境面による制約が大きいんだと思い始めました。給与面やチームからの待遇の面でもそうですし、プレー面ではコーチが付いていないから分析ができなかったり、合宿を行うこともなかったり。海外のトップチームがサポートを受けてどんどん成長する反面、日本ではフィードバックさえ選手同士でしかできない状態なら、同じように成長していくのは厳しいと思います。
実際E36のコーチとして入って改めて思いましたが、日本の選手は才能や実力がないわけでは決してなく、韓国のように腰を据えて練習ができる環境があれば世界で戦っていける伸びしろがあると思います。今の4人を見ても思いますが、彼らはフィジカルの面では海外チームに引けを取りません。同じように、日本にはまだまだ強くなれる選手が埋もれているはずです。ただ、チームスポーツである以上、サポートをもらえずにそれが埋もれてしまうのが残念だと思います。
E36のコーチに誘われたとき、今までの事情を聞いていたし、彼らがしっかりと強くなれる環境を作りたいという気持ちもあったから引き受けました。現在だとV3FOXのAmericano選手をはじめ、韓国にも日本チームに入りたいと思っている選手はいるので、この機会をうまく活用してもっと日本のPUBG esports シーンが発展するところを見たいとも思います。

ーーそうだったんですね...!日本のPUBG esportsシーンを応援している身としてとてもうれしく思える言葉です。また、これから一層の進化を見せるE36に期待が高まります。最後に、現在の目標と、応援しているファンの皆様へ一言ずつお願いします。

Pureboy: いつも応援ありがとうございます。やっとコーチも入って、環境が世界に追いつきつつあるので、後は実力が届くよう尽力していきたいと思います。まずはPredator League や PUBG WEEKLY SERIES (PWS)など、一つ一つの大会にしっかり取り組み、PJC Phase2 でも1位を取りたいと思います。

Satou:
まだまだ世界との差は大きいことを実感しているので、すぐに勝てる用になるかと言えば難しい話だと思いますが、諦めずに努力し続けてその先に結果を残せるように頑張ります。

Sylphia:
もともと知っていてくれた方も、PGI.Sやこの記事で新しく知ってくれる方など色々いると思いますが、チームとしてどんどん強くなって、大会も優勝を狙っていきます。応援よろしくお願いします。

Amon:
 いつもありがとうございます。大会で結果を残すことはもちろんのこと、メンバーや運営と一緒にチームを作り上げてチームを大きくできるようにがんばります。まずはPredator League と PWSですね。

Giken: 成績で応えます。君たちがうまくならんとね(笑)。

一同: 頑張ります(笑)

ありがとうございました!

これまでPUBG JAPAN SERIESを始め、日本のPUBG競技シーンの最前線で戦い続けてきたENTER FORCE.36の選手達。次のステップは世界だと、チーム一丸となってより一層本気で取り組む彼らの言葉は心に響くものがありました。
これからの彼らの躍進を応援しましょう!

後編では、彼らが本気で活動できる環境を形作るE36のオーナーの方に、選手たちの同席のもとお話を伺いました。選手への愛情とも言える想いを聞かせていただきました。

後編は4/2(金)に公開予定です。乞うご期待!

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また、追加で紹介したいのが、PGI.S Week5でドン勝を獲得した時のPUBG Esports Brasilの実況。ぜひ最後まで見てみてください👐

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インタビュアー・文責: Nicky Twitter

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