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ホームレス的EV考ーはたして在豪ホームレスはEVを買えるのか

マイクロファイナンスのグッドシェパードが、車購入のため4年間の無利息ローンを承認してくれました。感謝感謝です。

南オーストラリア経済弱者のための唯一の車購入ローン

このローンはケースワーカーさんが見つけてくれました。

障碍者年金で無職の私のような経済弱者が利用できて、車購入を目的にできる唯一のローンです。

月曜日にインタビューに行って家計を申告。タバコもお酒もドラッグもしてない上、今年はケースワーカーさんに助けてもらって収入ごとにきっちり予算を組み始めたのでファイナンス先としては優良エンティティである自信がありました。

街中に住めるなら車ナシで生きたい気持ちが大きいのですがまだしばらく子供の支援をするために車が必要で、この事情を理解してくれて、ホームレスシェルターのキャサリンハウスが支援してくれています。

次は30日で新しい車を探さなければなりません。

EVが気になる

最近、ドッグシッターをしたデイブの家にはEVがあって、5日間でガソリン代が一切かからなかったので、EVに興味がわきました。

現在わたしが予算に組み入れなければならないガソリン代は週100ドルです。EVに乗れて、これが浮くならグッドシェパードへの返済をしてもかなりのおつりが来ます。

南オーストラリアでは数年前から政府をあげて太陽光システム導入を推奨し相当の割合で普及してきました。太陽光システムのある物件で、車の燃料費実質ゼロを実現している家も現れ始めています。

わたしの状態、ホームレスであっても、ハウジングサポート団体向けにコーポラティブなどのコミュニティハウジングから募集がかかることがあり、これらの物件ではソーラーが導入されていることもあるようです。

こういった背景から、オーストラリアでどれくらいEVを買いやすくなっているのか調べてみました。

国や政府の購入支援の状況

☆州によっては政府の支援があります。クイーンズランド州はEV購入目的であれば15000ドルまで無利子ローンを提供するそうです。

☆ただしオーストラリア連邦としての明確な消費者支援の方針が打ち出されてないのでメーカーからは無視されてる状態で、部品や品薄で価格が下がらない状態が続いてる

☆ビクトリア州ではなんと世界の流れにさからいEVでの電気代に課税する動きがでているらしい

☆電力会社が普及を目指す消費者支援の一環でサブスクリプション(リースのようなもの)サービスを行っている。


EVのサブスクリプション

電力会社が主催する、リースのようなシステムです。3か月、6か月、12か月の期間で車を借りて試用できるサービスでした。電力会社をAGLにするとさらに10ドル割引。現在利用可能なのは週335ドルからでした。

AGLのEVサブスクリプション

2021年の低価格帯の新車価格

3月の時点で一番安いのが$43,990の中国製MG GS EV。

ここに$35,000以下のラインナップを輸入し始める、とシドニーの企業TrueGreenが発表したそうです。

ネタ元はガーディアン紙です。余裕のある方はできればご支援をお願いします。↓

EV Battle Heats Up in Australia with Plan to Sell Affordable Chinese Import for $35,000 - The Guardian


EV中古車価格

Gumtreeというフリマサイトの広告では10年前のプリウスが5000ドル程度からありました。

今みて一番安かったのはToyota Camery Hybrid 2010 で$4600相談可。次がやはりCamery2012 Hybrid で提示価格$7000。

10年もので提示価格100万円~150万円からいくつか出回っています。

10年ものは電池交換がおそらく必要になります。

メカニックのケンによれば、最近交換したプリウスの電池は2つ合計で3000ドルだったとのこと。

こういった状況で、障碍者年金ではまだちょっと手が届かないようですが、今後、連邦政府がEV導入方針を固めてくれて品薄が解消されれば私のような低所得層でも手が届く世界が実現する感触があります。

電気自動車の低価格化、庶民にも手が届くようになるにはどのくらいかかるのか?英語で記事検索するには「Parity Point EV」をキーワードにするとよさげです。


EVのPrice Parity 関連記事プチリンク集

EVs Are Already At Price Parity, But The Electric CARS Act Would Make Them Irresistible - Clean Technica

Hyperdrive Daily: The EV Price Gap Narrows ‐ ブルームバーグ

Volkswagen foresees EV price parity with ICE by 2025, 50% EV sales by 2030 ‐ Road Show

2022 Leaf and Kona EV price cuts: A taste of what’s to come? - Electric Autonomy Canada


ホームレス的EV考ーはたしてホームレスはEVを買えるのか

質素生活者としてEVの魅力はなんといっても維持費の安さです。

現状でのProとConをまとめます。


Pro

維持費が安いです。

稼働機器が少ないので故障頻度もガソリン車と比較して圧倒的に少ないといわれています。

排気ガスを出さずに生活できます。



Con

まだまだ高いです。

サブスクリプションであっても現状のガソリン代の役2.5倍が必要です。

中古車の最安値を購入したとしても電池交換で今回承認されたローンプラス3000ドルは必要となるでしょう。



というわけで、やはりというか、現状では無理っぽいですが、あと3年ぐらい先、次の買い替えが必要になるまで運転できていれば、いわゆるベーシックインカム的な生活をしている私にとってもEVが選択肢として出現してくる可能性がある感覚がつかめました。



で、オーストラリアってエコなの?そうじゃないの?EVは普及するの?

オーストラリアは、一般庶民の間ではエコが浸透し、エコ商品が普及し売れています。特に若い世代は学校教育もあって環境にたいする感度が鋭いです。当然ですが、誰もがきれいな空気が好きです。

ところが、国家の屋台骨ともいえる石炭、ガソリン産業の反発が強すぎる印象です。

庶民派のケリーが原発推進を表明しているので、巨大エネルギー産業にとっての決着点は原発推進に動くしかないのかもしれません。


世界の自動車産業では2025年までに30%を少なくともハイブリッドにすると宣言しているようです。

Half of Australian Drivers expect to be in an EV by 2030 - MTA Queensland 2021年10月

All the things carmakers say they will accomplish with their future electric vehicles between now and 2030 ‐ Business Insider Austrtalia 2020年1月


こういった状況から想像されるオーストラリアのEVは二通りが考えられそうです。ひとつは、原発が導入されてEV普及も進む道。もうひとつは、原発は導入せず、EV車は高騰したままでお金持ちしか乗れない車であり続ける道。

ちょっとネガティブになっちゃう考えですが、これ以外のいい道が見えてこないか、少し注目していようと思います。



おまけ~既存のガソリン車をEVに仕様変更する産業がうまれつつあるらしい


A guide to converting your old car to electric ‐ CarsGuide 2020年8月によると、「自宅でガソリン車をEVに作り替えられるのか」という質問には、一言で答えるなら「イエス」とのことです。ただし、勉強しなければならないこと、それから費用は車代を別にして$15,000ドルから、ということで、新車の価格が下がってきている現状としては、趣味で中古カスタム愛車にこだわって資産投入する覚悟のある人向けといえるでしょう。


Electric Car Conversion Kits ‐ EVolution AustraliaによるDIYでのガソリン車→EV車への転換キット。必ず自分でよく勉強してから使ってくださいという大きな注意書きがあります。

Things You Need to Know to Convert Your Petrol or Diesel Cars into an Electric Vehicle ‐ インドの保険会社Ackoによる記事 2021年7月

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