「指輪物語:中つ国の伝承」以降のUrzaThopterSword(ウルザソプター)について
全編無料です。
■指輪は最高
指輪はぼくのものだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
《一つの指輪》サイコー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
■はじめに
皆さんこんばんは、プロツアーに出たかったクォーツです。
ぼくは、主にMagicOnlineや関東近郊のモダンフォーマットで、「ウルザソプター/Urza Thoptersword」というデッキばかりを使って楽しくマジックザギャザリングしています。
さて今回は、「指輪物語:中つ国の伝承」の実装および《定業》解禁後のモダン環境における「ウルザソプター」についての記事を書きました。ついでにプロツアーの話や新セット「エルドレインの森」についての話もしています。
この記事は、「ウルザソプター」というデッキをある程度知っていることが前提になります。過去にウルザソプターのデッキガイドや、採用されたカードを掘り下げて解説した記事などをアップしています。良ければそちらもご覧ください。
■指輪以降の大会成績など
まずは、「指輪物語:中つ国の伝承」実装後の成績を振り返っていきます。
初戦Byeからのパーフェクトゲームで1位抜け。
コストが重かった《一つの指輪》を2枚に抑えて《巧妙な鍛冶》を3枚に増やした形。この時はまだ5C Creativityを意識してサイドボードに《万物の姿、オルヴァール》を入れていた(けど結局これ以降、このデッキの姿は見なくなるのであった…)
プロツアーの開催と同日に参加したので実質空き巣、惜しくも2位。
この前週に「青黒指輪」なる新デッキが急浮上してきたことや、《ロリアンの発見》を採用した「カスケードクラッシュ」が頭角を現してきたことからから、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》を採用、ついでに「リビングエンド」が憎かったので《魂標ランタン》をサイドに採用。《呪文滑り》はなんとなく余った枠に突っ込んだ、プロツアーに出場していたColombo氏のリストのリスペクト、ほんのり活躍した。
初戦ストレート負けからの残り全戦ストレート勝ち、2週連続で目新しさもなくなったのか、まつがん氏のピックアップなし。
この日は余った枠に《現実チップ》を突っ込んだ、ちなみに全然活躍はしていない。「サムワイズフード」がアツいということでサイドボードに《封じ込める僧侶》を2枚採用。サムワイズにはマッチしなかったが脇から出てきた「ヨーグモスコード」を完封。
今度は余った枠に《四肢切断》を採用。インスタントタイミングの除去って強いなーと当たり前のことを実感。サイドは特に変わり映えもなく感触がよかった《封じ込める僧侶》を続投。
こんだけ入賞しているのに優勝できないのは何故か、呪いの存在を疑い始めた。シルバーコレクターです、こんにちは。
前日参加したModern Challengeで赤黒想起にボッコボコにされたので、「もう怒ったかんなー!」とメインサイド合わせて《孤独》を4枚フル投入。ずーっとしっくり来ていなかった余りの枠に一定の満足感を得た。
■指輪物語で変わったメタゲーム
モダンは、変わった
「指輪物語:中つ国の伝承」というモダン以下で使えるセットが6月に発売しました。当初のプレビューでは「弱いなぁ…」とか嘆いていたんですけど、蓋を開けたらびっくり。モダンの環境は大きく変わってしまいました。
《オークの弓使い》の話
またしても、タフネス1の人権が脅かされる事態に…。
ハンマータイムが《エスパーの歩哨》を全抜きし、《スレイベンの検査官》を代わりに投入するという異常事態も発生。
《オークの弓使い》は、現環境においてヨーグモスコード、赤黒想起、黒単貴重品室等に採用され、《一つの指輪》と《サウロンの交換条件》、《ロリアンの発見》といった大量の新カードと共に青黒指輪という新しいデッキを成立させました。
《ロリアンの発見》の話
サイクリング島、カスケードクラッシュやコントロール、URマークタイドなど島を使うデッキで前半の安定性向上と後半のリソース確保を目的に採用されています。特にカスケードクラッシュにおいては構造上1マナの動きがないことや、《濁浪の執政》との相性からカッチリとハマり、課題だった安定性と継戦能力の問題を克服し、有力デッキに返り咲きました。
《一つの指輪》の話
一つの指輪は全てを統べ、 一つの指輪は全てを見つけ、 一つの指輪は全てを捕らえて、暗闇の中に繋ぎとめる。
もうなんか、あきらかにバグってるカード、プロテクションによる問答無用の延命とキャストしたターンと次のターンで計3枚も引けてしまいます。これによる対価は4マナとライフ1点ペイ。4マナというビッグアクションかつ《機能不全ダニ》(????)で割れるという理由からギリギリ許されている…らしい。
ウルザソプターにおいても延命とリソース確保を行う最強のコンボ補助カード。今の構築はこの最強カード《一つの指輪》をうまく使えるような調整を行っています。指輪はぼくのものだ!!!!
■現環境における構築
今のリスト(WOE実装前)
前環境からの変更点
1.対独創力対策の減量
《一つの指輪》や《オークの弓使い》に脆く、前環境から一転し姿を消したアーキタイプ。ほぼ専用サイドとなっていた《万物の姿、オルヴァール》を抜き、《オークの弓使い》対策の為にサイドアウトする《エスパーの歩哨》の入れ替え枠などサイドボードの選択肢を増やすことができました。
2.《孤独》の増量
特に赤黒想起などを見たカード。指輪環境末期にはメインサイド合わせて4枚採用するまでに至りました。これも《一つの指輪》と相性は抜群で膨大なドローからピッチコストを軽減し、指輪の対価であるライフも自身のクリーチャーを追放することで補うことができます。やっぱり指輪は最高。
3.《発展のタリスマン》の増量
2-4のマナジャンプを目的に増量、なぜか、もちろん《一つの指輪》のため。タリスマンを増やした関係でマナカーブも若干の調整を施し3マナ域を減らして2マナ域4マナ域を増やすということを行っています。
4.《時を解すもの、テフェリー》の首切り
求めている役割が《一つの指輪》と被る為、解雇。
《時を解すもの、テフェリー》は相手のインスタント呪文を止めることによるコンボの成立を安定させますが、一方《一つの指輪》は、物量によるコンボの安定化が可能です。《一つの指輪》のほうがビートダウンプランへのシフトも容易なことからバッサリと首を切りました。
■サイドボードガイド
特にサイドボードが大きく変わった「赤黒想起」と「4Cオムナス(4℃)」のサイドボードについてお話しします。
赤黒想起 / BR Scam
現環境の覇者とも言っても過言ではない赤黒想起。前環境から《オークの弓使い》が加入したことで、ミッドレンジ性能が格段に上がっています。
ウルザソプター目線では、特に《エスパーの歩哨》が損なく討ち取られることが大きな変化で、《敏捷なこそ泥、ラガバン》や《激情》といったクリーチャーに対するチャンプブロックとしての信頼度が著しく低下しました。
このことによりサイドボード時に《エスパーの歩哨》を全抜きする兼ね合いからサイドボードに赤黒想起に有効な除去を増やしています。
サイドボード例
IN(先手)
《孤独》3枚
《流刑への道》2枚
《封じ込める僧侶》2枚
《魂標ランタン》1枚
OUT(先手)
《エスパーの歩哨》4枚
《金属の叱責》2枚
《真髄の針》1枚
《大祖始の遺産》1枚
IN(後手)
《孤独》3枚
《流刑への道》2枚
《封じ込める僧侶》2枚
OUT(後手)
《エスパーの歩哨》4枚
《金属の叱責》1枚
《真髄の針》1枚
《彩色の星》1枚
このマッチでは、先手・後手とも《敏捷なこそ泥、ラガバン》と《悲嘆》や《激情》のブリンクによる高速ビートダウンを止めることが大きなポイントとなります。加えて《オークの弓使い》がマナカーブを埋め、ミッドレンジの動きが強化されたため、今は先手か後手かに応じて《金属の叱責》を複数枚残すアプローチを試しています。
またミッドレンジが強化されたことにより、《鏡割りの寓話》の変身により負けるというリスクが増大。最近では《封じ込める僧侶》をサイドインすることでこれを補おうとしています。《オークの弓使い》のアタックに合わせて瞬速で出してブロックできるのもGoodポイント。
先手の時は、《魂標ランタン》で想起生物のブリンクを止めることができる為、お守り程度の話がサイドインします。後手では間に合わないので《大祖始の遺産》を置きドローとして運用しましょう。例外のパターンとして、相手のデッキに《死の飢えのタイタン、クロクサ》が見えた場合は、先手であっても《大祖始の遺産》を残しておくのがベターでしょう。
4Cオムナス(4℃)/ 4c omnath
4Cオムナスは、最強のマナクリーチャー《喜ぶハーフリング》と、最強のドローソース《一つの指輪》を引っ提げての登場。前環境以上に物量(リソース)で押し切るデッキとなりました。
ウルザソプター目線でいうと、メインにおける打ち消しへの警戒を緩められたこと、《虹色の終焉》や《稲妻》といった軽量除去の枚数が減ったことと、《喜ぶハーフリング》という《ポータブル・ホール》を当てる先が増えたことにより、前環境より若干勝率が改善しました。
サイドボード例
IN
《摩耗/損耗》2枚
《孤独》3枚
《大祖始の遺産》1枚
OUT
《エスパーの歩哨》4枚
《巧妙な鍛冶》2枚
このマッチでは、カードの枚数によるアドバンテージは基本的に得られないと考えるべきでしょう。その前提に基づき、単体のカードパワーが足りていないカードやアドバンテージ源としていたカードをサイドアウトし、相手の動きや妨害に対抗するカードをサイドインしましょう。
《摩耗/損耗》は、主に《力戦の束縛》を破壊するために、《孤独》は、相手のメインフィニッシャーとなる《創造の座、オムナス》を潰すために、《大祖始の遺産》は、《レンと6番》を無力化するために入れましょう。
またこのマッチアップでは、《レンと6番》を無視してプレイヤーを攻撃し続ける、というプレイを頻繁に行います。これは前述した通り、優秀なインスタント、ソーサリーが少ないことから《レンと6番》の奥義が脅威でないところに起因します。そのため、《大祖始の遺産》による無力化や《,耐え抜くもの、母聖樹》の使い回しの脅威が少ない段階では積極的に相手のライフを詰めましょう。
■新カードの採用について
《一つの指輪》は採用するべきか
これの回答は”YES”です。強力なドローは、コンボとビートダウン双方を骨太し、プロテクションは、「リビングエンド」などの攻撃のインパクト大きなマッチアップにおいて、1ターンを稼ぎ、コンボによる逆転勝利を起こすことが可能です。
ただし、コストが”4”と重いこともある為、手放しで4枚採用というのは基本的に避けるべきだと思っています。また、指輪自体が打点を生むわけではなく、直接的な勝利に寄与するわけではないので、4マナ出るタイミングでは基本的に「最高工匠卿、ウルザ」を優先してキャストするべきです。
《一つの指輪》を採用しない場合、《現実チップ》や《時を解すもの、テフェリー》などを採用するのも良いでしょう。
《定業》を採用するべきか
試した結果、石鍛治型であれば入れるべきではないという結論に至りました。そもそも構築段階で状況に応じてビートダウンとコンボを使い分けることができる為、《定業》によって特定のカードを探しに行きたい場面が少なかったこと。またそれ自身がアーティファクトではないためアーティファクトカウントに寄与しないというところも大きな理由です。
加えて言えば、環境に《オークの弓使い》が存在している以上、そこそこの手放しで《定業》を採用することは避けるべきでしょう。
逆に、コンボ勝ちに重きを置いているリストの場合は、非常に強力なカードとなるので採用することを検討しましょう。下記で《定業》を積んだリストをサンプルとして貼っておきます。
《ロリアンの発見》を採用するべきか
島よりも平地が欲しいデッキであり、アーティファクトカウントにつながらないという《定業》で話したような理由、ドロー効果は指輪のほうが格段に強い、という理由から今の時点では採用するべきではないカードです。 ただ、今後《一つの指輪》が禁止になった場合は、優秀なドローソースとして採用を検討しても良いでしょう。
■『エルドレインの森』注目カード
ここでは、さっくり簡単に新セット「エルドレインの森」注目カードをご紹介します。もしかしたらウルザソプターに入るかも?
《食事を終わらせるもの、ジンジャー卿》
対プレインズウォーカー特攻性能を持つ2マナのアーティファクト・クリーチャーで、アーティファクトが墓地に行くと自身の強化と占術を行う強力な効果持ち。なんとトークンが墓地に行った場合にも誘発します。
親の仇である《大いなる創造者、カーン》を倒しやすかったり、占術がコンボデッキとして強力に働き、また《最高工匠卿、ウルザ》不在でソプターコンボが成立しているとき、とんでもないパワーに育つことも…
《アガサの魂の大釜》
《湖に潜む者、エムリー》や《ゴブリンの技師》と組み合わせると非常に強力。《アガサの魂の大釜》自体がアーティファクトであるため、自然にデッキに組み込みやすいのもポイント。
石鍛治方ではなく、ゴブリンの技師型で採用を検討できる一枚。
「プロツアー指輪物語」について
概要
7月末に行われたプロツアー指輪物語、合計269人のプレイヤーが世界最高峰の舞台で戦いました。フォーマットがモダンで行われるプロツアーということもあり、ぼくも非常に楽しく配信を見ていました。
そして優勝はご存じの通り「ラクドス想起」
前評判通り、52名が持ち込み2日目においてもメタゲーム上位に君臨しました。
メタゲームブレイクダウン ※外部リンク(晴れる屋に飛びます)
今回の大会は、リスト公開性でした。相手のデッキに応じて、メイン戦より有利なゲームプランを組み立てやすいラクドス想起が活躍したというのも納得です。
持ち込まれた二つの「Urza ThopterSword」
さて、「プロツアー・指輪物語」では、2人のプレイヤーが「ウルザソプター」を持ち込みました。ここではその二つのデッキを紹介しつつ簡単なコメントをしていきます。
1.ゴブリンの技師型(WUR+G)
デッキリスト(Melee)※外部リンク(Meleeに飛びます)
《ゴブリンの技師》を採用したジェスカイカラーに《機能不全ダニ》のための緑をタッチしたリスト。メインデッキから《時を解すもの、テフェリー》の複数枚採用や《一つの指輪》の4枚採用、このデッキにおいては時に《稲妻》を凌駕する《感電破》を採用していることで、総じて前評判にあった「ラクドス想起」に超が付くほどの有利デッキに仕上がっています。
実際、モダンラウンドにおいては1日目のうち4/5回(!)が、ラクドス想起とのマッチアップ、2日目も合わせると4勝1敗という戦績を叩き出しています。
また、このリストを語る上で外せないのが《ゴブリンの技師》と《弱者の剣》、それと《機能不全ダニ》のシナジーです。
《ゴブリンの技師》の役割はもちろん《弱者の剣》を墓地に落とすことですが、起動型能力で場のアーティファクトをサクリファイスすることで3マナ以下のアーティファクトを墓地から釣り上げることが可能です。
墓地に《機能不全ダニ》と《弱者の剣》がある場合、墓地の《機能不全ダニ》を釣るとおまけで《弱者の剣》が付いてきます。お得です。
戻した《弱者の剣》は、以降《ゴブリンの技師》のコストに充てることで絶大なアドバンテージを稼ぐでしょう。
2.石鍛治型(WU+R)
デッキリスト(Melee) ※外部リンク(Meleeに飛びます)
おなじみ《石鍛治の神秘家》を採用した型。
メインとサイド合わせて4枚採用されている《孤独》にラクドス想起への意識を感じる調整ですね。
このデッキで主に特筆すべきなのは、なんといっても1枚採用されている《金属の叱責》ではないでしょうか。ご存じ今回のプロツアーでは”リスト公開性”という方式が取られていました。このリスト公開性がメタゲームに与えた影響は大きいと推測されるのですが、それに加えて「ある特定のカードのケア」をさせるという特異性を少なからず生み出していたと考えています。
ビッグアクションを取る際、特にそれが”虎の子”であるとき、60枚のうちの1枚であっても打ち消しをケアしないわけにはいかないのです。ましてそれが「プロツアー」という強者が集まる場ならなおさらでしょう。
■最後に
本当はもっとさっくり簡単に終わらせるつもりがあれよあれよという間に7,000文字を超えてしまいました。
「指輪物語:中つ国の伝承」の実装以降、ウルザソプターというデッキの立ち位置は非常に良くなりました。事実7月8月は過去例を見ないほど大会での好成績をおさめることもできましたしね。
そうこう言っている間に「エルドレインの森」が実装され、新環境がスタートしました。それと同時に、チャンピオンズカップも念願のモダンで新シーズンが開幕しました。まだまだ楽しみっすね、モダン。
<Contact>
Twitter:gyyby_mtg297
Magic Online:gyyby297
<宣伝>
ウルザソプターのDiscordサーバを立ち上げました。
興味のある方は、ぜひ。
今日からあなたも集合知の一人です。
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