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ASMRもサムネイル重視か?

皆さんは"ASMR"という言葉をご存知でしょうか💭?

ASMRとは・・・

「Autonomous Sensory Meridian Response(自律感覚絶頂反応)」の略。ある刺激がトリガー(引き金)になって起こる、頭皮や首、肩にかけてのゾクゾクする感じや心地よい現象のことです。 見て(視覚)・触れて(触覚)・聞いて(聴覚)感じる、刺激に対する生理的反応がASMRです💁🏼‍♀️

説明を受けてもなんだかピンとこないと思うので参考動画を。

この他にも人がASMRを感じる動画はたくさんありますが見た人全員が心地いいと思うものでもなく全くもって心地よくないと思う人も、もちろんいます。一種のフェチのようなものだと思ってください。

好き嫌いは別れる中、私は生粋のASMR好きなのですがYouTubeでもここ数年の間でASMRいわゆる音フェチ動画の投稿が急増しています。

○ASMR動画との出会い

*この章では私とASMRの出会いをつらつらと書いています。本題にすぐ入りたい方、既にASMRを知っている方からすると長げーよ!って感じだと思うので次の章からお読みください。ASMRを知らない方、興味を持ってくださった方はこの章もぜひ読んで下さったら嬉しいです☺️では…

そもそも私がASMR好きだと判明したのは中学1年生の頃、暇つぶしにYouTubeを見ているとなんかこの人の声毎回心地よくて眠くなるんよなぁ~というチャンネルが。

それは小さい頃おばあちゃんが寝る前に小声で読み聞かせてくれた絵本の時間のような、静かな教室に響く黒板とチョークのあの時間のような、そんな感覚。

この心地いい感覚に名前があるなんてその時は知らなくて、ただ私は人の小声とか生活の中の小さな音が好きなんだな。でもそれってちょっと変かな?同じ人がいるのかな、この感覚をどう説明したらいいんだろう…。という状態。
でもその動画のコメント欄に、"○○さんの声って音フェチにはたまらん!"というコメントを見つけて…。
音フェチってなんや?と思い動画を検索するとまさに!私の心地いい感覚が広がる動画たちが…🥺

自分の感覚に名前がついたことがまず嬉しくて、そして自分以外にもこれが好きな人がいるんだ!ということにも嬉しくて。もう大きくなったから寝る前に小声で絵本は読んでもらわないし、でもあの感覚がすごく心地よくて、リラックスできて好きだったんだよなぁって思い出した。それから毎日寝る前はYouTubeで音フェチ動画を見ながら寝落ちていました🛌🌜

毎日毎日見ていたから、そのうち見る動画も尽きてきてしまって。(その頃は今ほど音フェチが浸透しておらずまだまだニッチな世界だったのです)またこの動画か〜。もうセリフまで覚えてしまったわ🤔って感じだった中、関連動画で海外にもこのような動画があることに気づいた。その動画たちの共通点はタイトルに"ASMR"と入っていること。そしてASMRとはなにかを知り、私の好きなこの感覚は世界共通であることを知った。

そんなASMR/音フェチ動画を寝る前にかかさず見続けること、かれこれ5年。私が高校二年生になる頃には見るものを悩まなくても毎日どこかで新しい動画があがる世界になっていた。友達の中にも音フェチだという子は一定数いる感じで、ASMR界はニッチな世界ではなく、マスになりつつある状態だった。

○急増するASMR動画

そして昨年の2018年にはYouTubeRewindで取り上げられるほど、ASMRはYouTube上で世界的に注目されている人気のコンテンツになった。

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※ YouTubeRewind(ユーチューブリワインド)・・・1年間の内に世界中で投稿された動画を振り返るYouTubeが毎年行っている企画。その年にアップロードされた動画の中から様々な要素を元にランキング形式で並べ、複数のカテゴリで紹介している。

“ASMR”とひとくくりにいっても囁き声、小声での雑談動画や、ロールプレイ系の動画、咀嚼音、いま子どもに大人気のおもちゃスクイーズの音や、キーボードタイピングの音、雨の音や焚き火の音などなどパターンは様々である。

○スライム動画が世界に火をつけた

なかでも昨年、爆発的に流行ったものといえばスライムの音や固形石鹸を削る動画。


これはASMR好きでなくとも一度は見たことがあるのではないだろうか?これらの動画は日本でもYouTubeを超えてInstagram、Twitter、Tiktokなど様々なSNSで世界中で注目を浴びた。

上の2点の動画を好きという理由は決して音だけではないと思う。すごく綺麗なグラデーションカラーのスライムや、固形石鹸がスムーズに小さなサイコロ状に削られていく様子は視覚的にもすっきり、心地いいようなそんな動画だった。
今までアップロードされていたASMR動画は聴覚の心地よさをメインとするものがほとんどだった中、聴覚はもちろん、視覚的にも訴えかける2つの要素があるものはとても革命的で、ASMRをマスなジャンルにした大きな要因であるといえる。

○変わるASMR投稿者

マスなジャンルになったことで、動画投稿をする側にも変化があった。今までASMR動画を投稿していたチャンネルはASMRに特化し、ASMRのみの動画をアップロードしていたいわゆる"ASMR職人チャンネル"ばかりだった。

しかし、登録者100万人超えのYouTuberや、10代に圧倒的な支持を持つモデル、クリエイターがこぞってASMR動画をアップロードしだした。

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⬆️10代〜20代のカリスマ的存在"けみお"や、YouTuberでありながら雑誌popteenの人気モデルを務める"ねお"、奇抜な世界観で幅広く活躍するクリエイター"あさぎーにょ"と、モノマネ動画が話題の芸人"丸山礼"のコラボ。また、ティーンのトレンドを発信しているメディア型チャンネル"MelTV"がASMR動画を投稿したり、モデルやクリエイターなど、様々なゲストを毎回呼びASMR動画を投稿している"PreTV"が登場するなど。

このように一つのカルチャーが急激に大きくなり、そして入口が浅く、入りやすくなった。

○クオリティVSインパクト

そうなったことで見られる動画にも変化が。ASMR動画が日本で徐々にUPされ出した2013年〜2016年の人気のASMR動画はこんな感じ。

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この頃の動画の特徴は、サムネイルは特に作り込まれておらず、投稿者は顔出しをせず、口元だけや声だけで動画(というか音声)を投稿していた。投稿者がどんな顔なのか、どんな人なのか、パーソナルなことははっきりとはわからないものの、高性能な耳型マイクで作り出す音のクオリティの高さが日々癒しを求めに見にくる視聴者の心を掴んでいた。

しかしスライム動画を皮切りに、マスなジャンルとして確立されてきた今年人気のASMR動画はどうだろうか?

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投稿者はがっつり顔出しで、世界的に有名なラッパーやセレブまでもがASMR動画に登場。今までのASMR界では考えられなかったインパクトのあるサムネイル。そして公開したばかりの動画もある中、動画の再生数は圧倒的に多い。

今まで音のクオリティがメインとして重視されてきていた動画ジャンルが、高性能なマイクを使っていなくても、音フェチに特化したような癒しボイスでなくても動画が沢山見られるようになり、昔から動画を作り続けているASMR職人たちの動画が埋もれてしまうようになった。

○登録者171万人ASMRYouTuberの転機はサムネイル

その要因は何なのか。私はサムネイルだと考えている。

今年の人気のASMR動画でトップに入っているこのチャンネルを見てほしい。

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【Jae Yeol ASMR 】という韓国のYouTuberのチャンネルで、登録者は171万人。最も人気な動画の再生数は1500万再生と驚異の数字を叩き出している。
(2019年10月現在)彼の動画で特徴的なのがこのインパクトのありすぎるサムネイルだ。

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奇妙な色の食べ物や、タコまるごと、中にはスティックのりを食べている画まで。

内容としては咀嚼音の動画を主にアップしているようだが、この動画がASMRなのかなんなのかそんなことを知らなくても思わず見てみたくなるようなサムネイルばかりだ。

今、大人気の彼のチャンネルだが実は歴史は長く最初のアップロードは2016年。今のように急激に人気に火がついたのは2018年からだった。

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こうして比べても、最近の動画の方がインパクトのあるサムネイルで再生数もご覧の通りである。面白いのが動画の内容としては今と昔では大差がないということ。アングルや編集、機材の変化はあったものの主に咀嚼音のASMRをアップするという根本的な企画の変更はないというところだ。

○ASMRもサムネイル重視か

ここに私はYouTubeの真理を感じる。
動画にとっていかにサムネイルが大事か。
無限に動画が投稿される中、視聴者が見たい動画を選ぶのは0.05秒。素早いスクロールの目に留まるインパクトのあるサムネイルが動画を多くの人に見てもらう1番の鍵だ。

たとえ、高い機材やマイクをつかっていようと
防音室で録音し、最上級の音のクオリティを求めても、中身は動画を見てみないとわからない。もっというと、見られないとそのこだわりは誰にも伝わらない。 YouTubeで最もこだわらなければならないのは見るまでにどのようにして選ばれるかということ。これはASMRに限らず全てのYouTube動画に言えることで、動画の内容が面白かったり、クオリティが高いチャンネルなのに再生数が伴っていないことはよくあることでそこには総じてサムネイルに問題があることが私がコンサルティングをしていても1番良くある問題のパターンだ。

もちろんこれは“多くの人に動画を見てもらう”というところにフォーカスした考えなわけでクオリティーの高い動画を作って、一定のファンだけに届けられたらいい。という人もいると思う。でもせっかくなら良い動画はたくさんの人に見られて欲しいと私は思う。YouTubeはそれができる場だから。

○YouTubeはサムネイル勝負

ASMRのようにニッチなジャンルからメジャーになるカルチャーもまだまだ潜んでいることと思う。数年前までニッチなカルチャーだったASMRも今となっては企業タイアップの対象になる程大きな市場になっている。

YouTubeで勝ち上がっていくためには動画のクオリティより、まずサムネイルでどう勝つかを戦略的に考えていくことが無限にある動画の地での必勝法だといえるのではないだろうか。





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