えびだしで作るインスタントラーメンは美味いぞ

 タイトルで全て語ってしまった感はあるが、まあちょっと付き合ってほしい。

 きっかけは「おせち料理」だ。毎年おせちには海老の旨煮を入れるので、有頭えびを買う。しかしこの時期のもろもろの食材は、おせち料理を仕込む時期にありがちな、安い方のではない特別な価格で売られている。それはまあいい。この国の商売はそうやって成り立っているのだ。季節を先取りし、季節感を出し、安いものを高く売る。

 ところが。正月休みが明けたある日。普段通りの晩ご飯の材料を買いに出かけたスーパーで、10尾入りの有頭えびを見かけたのだ。ふだんは見向きもしないコーナーなのだが、年末に比べるとえらく安くえびが売られている。ははーん、おせち用に仕入れたえびが余ったのだな。

 普通の焼き魚用の魚を買うにはちょっと高いが、年末のえびを買うのに比べれば年明けのえびはお得感が大きい。

 早速えびを買って塩焼きにすれば、何とも豪華な晩ご飯だ。普段のさばだの、ほっけだの、名も知らぬ白身魚フライに比べたら、それはもうごちそうである。

 ところがだ。食べ終わったあとのえびの殻を見ると、ただ捨てるのはもったいない気がしてきた。

 煮よう。

 煮出してだしを取ろう。

 片手鍋に殻を入れて、適当に水を入れて、沸騰したら15分ほどくつくつと煮る。あとはザルでこせば、ほんのり朱に染まったなんとも美味しそうな香りのする液体のでき上がりだ。

 もちろん、えびだしは何に使ってもよい。味噌汁にするのも美味しいだろう。炊き込みご飯のだしに使ってもいいかもしれない。あまり主張しない具に、塩だけちょっと足して、澄まし汁にしてもおいしいかもしれない。いや、かもしれないではない、だろう、だ。確実においしい、だ。

 でも我が家では、このえびだしでインスタントラーメンを作って食べるのが定番なのだ。
 えびだしは200mLずつ密閉容器に入れて、冷凍しておく。

 そして週末土曜日は、適当な料理やお菓子をつまみに酒を飲むのがいつもの習慣なのだが、その締めに持ってくるのが、えびだしで作ったインスタントラーメンだ。

 インスタントラーメンは安いもので構わない。いやむしろ、安い袋めんがいい。味は醤油でも、味噌でも、塩でも何でも構わない。えびだしを解凍し、えびだし200mLに、熱湯300mLを加えて(大抵のインスタントラーメンは500mLの熱湯で3分だ。違うレシピならそのとおり作ってほしい)、ラーメンを作る。

 これがもう至福のひとときだ。いつもの定番インスタントラーメンが、豪華なえび醤油ラーメン、えび味噌ラーメン、えび塩ラーメンになる。500mLの熱湯のうち200mLをえびだしに変えるだけで、えびが香り、全く違った味わいになる。

 安くておいしい庶民の味方インスタントラーメンがあり、8尾500円そこらの有頭えびがある幸せ。そしてこれを「幸せだ」と思える感覚を大事にしていきたい。その感覚こそが、変哲のない暮らしを豊かなものにするのだから。


※甲殻類アレルギーの皆さんには申し訳ないが、どうかそれぞれの幸せを見つけてほしい。

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