(6)情報リテラシー論レポート〜キュレーションについて〜
ご機嫌よう。
朝と夜は慣れない寒さに震え、衣替えの余地を与えない気温変化に怒りで震えています。とはいえ本格的な紅葉はもう少し先でしょうか。
本題と上手いこと絡める話題転換が見つからなかったので突然ですが、キュレーションという単語をご存知でしょうか。
キュレーションとは、インターネット上の大量な情報を収集・選別し、新たな価値を加えて共有することを指します。
元々は美術館や博物館などの学芸員や、展示品の企画・運営を請け負う職種である「キュレーター」が語源です。
近年、情報の増加により必要な情報を効率的に得るのが難しくなったため、キュレーションメディアの需要が高まりました。これにより、グルメやファッションなど様々な分野で手軽に情報を得られるようになりましたが、情報の信頼性や著作権の問題が課題となっています。
簡単に言えばブログやまとめ記事、あるいはコスメを紹介している美容系インフルエンサーなどのSNSアカウントもキュレーション媒体の一例になります。
個人が自由に発信しまくっているこの大インターネット時代にこそ、キュレーションにはより一層の質が求められる気がします。
私たちはどのような情報を取捨選択し、更には発展させる必要があるのでしょうか。
キュレーションサイト、つまり「まとめサイト」は、あちこちの情報をいい感じにまとめて便利に見せてくれるサイトです。たとえば、レシピサイトのまとめや旅行のおすすめ、ペット情報のまとめなど、特定のテーマに沿って情報が集まっていて、ユーザーがわざわざ検索せずに知りたいことがすぐ分かるようになっています。なんだか自動で整理されたデジタルの「司書さん」みたいな存在です。
また、キュレーションサイトにはいろんな「お金の稼ぎ方」もあり、これが色々面白くしています。
広告収益
サイトに広告を載せて収益を得るパターン。とにかくたくさんの人にサイトを見てもらって、クリックしてもらえれば収益UP!つまり、「ちょっと覗きたくなる」ようなコンテンツが肝心です。
マッチングや仲介手数料
ユーザーと企業を引き合わせて、「いい出会い」を作る方法です。例えば「このサービスが欲しいんです〜」というユーザーと「うち、こんなサービスありますよ」という企業をつなぐお仕事です。
有料コンテンツへの課金
最初は「いい情報いっぱいですよ〜」と無料で引きつけて、次第に「この先を知りたければちょっと払ってね!」とお金をもらう方法です。これも、人の「知りたい欲」を上手にくすぐるため、内容のクオリティが勝負です。
一昔前まではマスメディアが覇権を取っていた時代。
しかし、家族揃ってテレビを囲んで団欒、新聞やテレビで情報収拾をしていた時代は最早過去の遺物となり、私たち、特に若者のキュレーションはインターネットやソーシャルメディアに切り替わりました。
その中でも特に個人レベルでのキュレーションが盛んな場、TwitterやInstagramなどのSNSは、Z世代の情報源となっています。
SNSが人気を集めた理由の一つは、情報の「即時性」にあります。
SNSでは、災害や事件が発生すると現場にいる人が瞬時に状況を投稿できるため、テレビや新聞などのマスメディアよりも早く現場の様子を知ることができます。
地震が起きたときにはSNSの投稿で「揺れた!」という声が一瞬で広まり、ニュースが報道されるよりも早く被害の状況を確認することができるんです。
このリアルタイム性が、SNSの大きな魅力の一つです。(例えばTwitterのユーザーからの地震感知ツイートは、国の地震速報より早いとされています)
SNSの大きな特徴の一つ、「多様な視点」からの情報が得られる点も挙げられます。
マスメディアが提供するニュースは、プロの記者や編集者がチェックし、信頼性が確保されていますが、情報はどうしても一つの視点に偏りがちです。
しかしSNSでは、多くのユーザーが自由に意見や体験を発信しているため、同じ出来事に対してさまざまな角度から意見や考え方を知ることができます。ある出来事についての賛否両論の意見が並んだり、一般市民や現地の人々の視点での投稿を見ることで、ニュースの表面的な内容だけでなく、個人の体験や感じ方まで知ることができるのです。
さらに、SNSでは「自分に合った情報を収集」できる点も人気の要因です。たとえば、興味のある分野のアカウントやインフルエンサーをフォローすることで、好きな話題や関心のあるニュースだけをフィードに集められるのはSNSならではの便利さです。これにより、自分が知りたい情報をピンポイントで探しやすくなり、情報収集の時間を短縮できる利点があります。
キュレーションサイトのいいところは、「知りたい情報が一か所で見つかる」「最新情報が常に更新されている」という点です。
つまり、どこかに出かける間のちょっとした時間や寝る前のスマホタイムで、効率よく情報をチェックできるわけです。常にタイパを重視するZ世代に刺さるわけです。
特にキュレーション媒体の一つ、SNSの登場によって情報の発信が誰にでも可能になり、身近な出来事から世界のニュースまで、リアルタイムで手軽に知ることができるようになりました。
しかしそんな新しい情報収集にはやはり新しい課題も多く、便利さの裏にはいくつかの問題も潜んでいます。
1. フェイクニュースなど誤情報のリスク
キュレーションサイトはさまざまな情報源からコンテンツを集めるため、誤った情報やフェイクニュースが混ざってしまうことがあります。
特に、根拠が曖昧な情報をまとめてしまうと、誤解を招くリスクが高まります。
有名な例として、2016年に起こったDeNAの医療情報サイト「WELQ」問題があります。このサイトでは、医療に関する不正確な情報が多数掲載され、利用者に誤った情報を提供していると指摘され、大きな批判を受けて閉鎖に至りました。
2. 無断転載による著作権侵害
キュレーションサイトには、他のサイトから写真や文章を無断転載して掲載するケースも見られます。
情報を効率よく集めて利用者に提供するために他のサイトの情報を「引用」や「参考」として載せることがありますが、著作権法では正しく引用が守られていないと違法となる可能性があります。
過去にはこの無断転載が原因でキュレーションサイトが閉鎖されたケースもあり、コンテンツ制作側は著作権を意識した運営が求められています。
3. コンテンツの信頼性不足
多くのキュレーションサイトでは、情報の正確さよりも話題性やアクセス数が重視されがちです。
特に、専門的な知識が求められる医療や法律に関する分野では、知識や経験が不足しているライターがまとめた記事が多く掲載されることがあります。
これにより、信頼性の低い情報が広がり、ユーザーが誤解を招くリスクもあるのです。
これはSNSでも同等の事が言えるでしょう。
SNSには「情報の信頼性」や「情報の偏り」といった課題も多く、特に注意が必要です。SNSでは誰でも気軽に投稿できるため、情報の中には根拠が曖昧なものや、意図的に誤情報が広められることも少なくありません。
例えば、ある事件について実際には関係のない写真や動画が「現場の様子」として拡散されることがあり、特に不安を煽るような投稿が注目されると、一気にデマが広がるケースも見られます。
また、SNSのアルゴリズムが「自分が関心のある情報ばかり」を優先的に表示するため、情報の偏りが強まり、知らず知らずのうちに一方向の考えに影響されやすくなることも問題です。
キュレーションサイトは、便利で効率的に情報を集められる反面、こうしたリスクや課題もあることを理解して利用することが大切です。
情報を受け取る際には、必要に応じて複数の情報源を確認し、信頼できる情報かどうかを自分で判断することが求められます。
たとえば、一つの情報源だけでなく複数の投稿やニュースサイトも併用し、異なる視点からの情報を確認することで、より正確な情報を得ることができます。
また、SNSで得た情報については、必ず他の信頼できるニュースサイトなどで裏付けを取るようにすることが大切です。
さらに、自分が「どのような情報に触れているか」を意識し、SNSでの偏った情報に流されないように気をつけることも必要です。
SNSなどを通じて情報収集することは手軽で便利ですが、同時にその情報の信頼性や偏りにも注意を払い、自分自身で確かめる姿勢が重要です。
SNSとマスメディアをうまく使い分け、多角的に情報を得ることで、より正確で広い視野を持って日々の出来事に接することができるでしょう。
参考記事
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