『ポリグルタミン酸を用いた水質浄化剤による流出重油回収システムの開発・研究』倉冨 星衣@追手門学院大手前高等学校
2020年度のプロメテウス財団の選考通過者にインタビューをしました!
今回は追手門学院大手前高等学校の倉冨 星衣さんです。
今回提案する研究内容を簡潔に教えてください
2020年7月、モーリシャスで船の座礁事故が発生し、重油が発生するという事故が発生しました。流出した重油は、環境や生態系、人間、産業にまで悪影響を及ぼします。そこで私たちは「ポリグルタミン酸」というものに注目しました。ポリグルタミン酸は、納豆のネバネバ成分にも含まれており、水質浄化剤として実際に使用されています。そこで私たちは、その「浄水作用」と、私たちのチームが持つ「ロボット技術」を組み合わせて、「流出重油回収システム」の開発を始めました。
この研究が今まで世の中になかった理由は、何だと思いますか?
「流出重油」の問題は、「身近なものだけれどあるきっかけがないと気づかない」というテーマの一つだったのかもしれません。私自身、このことについて詳しく知ったのは、今回の研究がきっかけでした。またモーリシャスでの事故は、この問題を世界中多くの人たちに知らせるきっかけになったとも思います。
他に考えられるのは、重油を個人で入手することが難しいということかもしれません。私たちも初めは、実際に重油を使用して実験を行おうと考えていましたが、購入が難しいこと、また、厳重な管理が必要であることから、私たち高校生ではすぐに扱えるものではないということが分かりました。
そのため今回の実験は、わたしたちでも購入・管理の行いやすい「ごま油」を代用して実験を行いました。
なぜ、この研究が今のタイミングで必要なのでしょうか?
皆さんは「重油の流出事故」と聞けば、モーリシャスで発生したような大規模な事故を想像されると思います。ですが実際には、船舶からの油の流出事故は年間約160件も発生しています。
現在、この問題の解決方法として、人の手で回収や、重油を吸収する布の使用などがあります。ですが、これらの方法は多くの人の手が必要であること、また重油は人に害を及ぼすものであることから、長時間の作業は健康へ大きな影響を及ぼす危険性があるといった問題があります。
そこで私たちは、人に害を与えずまたどんな国や地域でも解決できる新たな方法として、「流出重油回収ロボット」の開発・研究を行っています。発生してしまった事故を最小限の被害に抑え、海洋汚染の問題を防ぐためにも私たちの実験は必要なものだと考えています。
この研究があることによって、世の中にはどのようなインパクトがありますか?
この研究は、高校生である私たちがクラブ活動で集まったメンバーと共に行ってきたものです。「実際に環境や社会のために研究を行いたい!」という信念を持つ小・中・高生が、私たちの研究に「背中を押してもらえた!」といったことにつながれば、同じ高校生研究者として、とても嬉しく思います。
また、重油の流出は実際に世界各地で発生しており、海洋汚染につながる大きな問題です。この研究をもっと深く追及し続ければ、被害を最小限に抑えられ、重油が及ぼす人への健康被害がない解決策になると考えています。
成果発表会に向けて、意気込みをお願いします!
今年度はコロナの影響などもあり、発表を行える機会が少なくなってしまいました。そんな中、今回このように発表できる機会をいただけてとても嬉しく思います。多くの方々に、流出した重油による問題の現状や私たちの提案や研究成果を知っていただけるよう精一杯発表いたしますので、感想や質問などよろしくお願いいたします。
【プロメテウス財団成果発表会を見にいこう!】
研究内容に興味を持ってくれた方は、ぜひ成果発表会を見に来てください!オンライン開催で年齢や場所等も不問で多くの方にご覧いただきたいと思っています。
『2020年度 一般財団法人プロメテウス財団 成果発表会(オンライン開催)』
開催日時:2021年3月30日(火) 10:30~ ※1時間半程度を予定
<出席者>
財団 代表理事 住谷 栄之資
理事 月尾 嘉男 (東京大学名誉教授)
審査委員 坂村 健 (東洋大学 情報連携学部 部長/東京大学名誉教授)
村上 周三 (東京大学名誉教授)
廣瀬 通孝 (東京大学名誉教授)
<プログラム>
開会 10:30
主催者挨拶 10:33 ~10:40 代表理事 住谷 栄之資
成果発表 10:40~ 発表時間 10分 質疑応答 5分
1. Tane Magic Project (Sustainable Farming)
プラスチックの再利用を通した環境問題改善計画
中井 健翔 吹田市立青山台中学校
2. 食品ロスの観点から環境問題を解決する
関根 奈央 栄東高等学校
3. ポリグルタミン酸を用いた水質浄化剤による流出重油回収システムの開発・研究
倉冨 星衣 追手門学院大手前高等学校
4. Sustainable Diversified Genetic₋farming
遺伝子組み換え農産物と在来種のより効果的なゾーンニングに向けて
山田 佳怜 都立白鷗高等学校
5. 家から世界とつながるプログラミング
山本 舞香 追手門学院大手前高等学校
<参加申し込み>
参加料 :なし
方法 :パソコンもしくはスマートフォンよりご参加ください。
応募締切:2021年3月22日(月)
以下 Google formで視聴予約をよろしくお願いいたします。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSet2-yfe_hVOCrgEKyQECOCLulgxHWmsra4sHL04_ZBtn2l-A/viewform
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