『食品ロスの観点から環境問題を解決する』関根 奈央@栄東高等学校

2020年度のプロメテウス財団の選考通過者にインタビューをしました!

今回は栄東高等学校の関根 奈央さんです。

今回提案する研究内容を簡潔に教えてください

「はみだしやさいの食べる絵本食育キット」の制作と直送サービスのローンチに向けた、絵本による食育で食品ロスを削減する仕組みづくりの研究です。
直送サービスの競合比較調査や農家が抱える課題調査、ロングセラーと新規作家の絵本の比較調査を基に、今までにないキットの制作準備を重ねています。
加えて、物語の世界観を三次元で体験することによる、教育効果についても調査しています。

※作成中の絵本の表紙

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この研究が今まで世の中になかった理由は、何だと思いますか?

絵本が、どのように将来の行動指針や、活動に影響を与えるのかを具体的に調査することが困難だからだと思います。

人生を過ごす中で、家庭だけでなく、幼稚園や書店、図書館などで私達は様々な絵本に触れているので、特定の絵本による効果を測るのが難しいと言われています。そのため、先行研究では、短期的な測定にとどまり、長期的な効果の測定ができていないのが現状です。ですが、今回の食育キットのように、絵本に他の要素を組み合わせることで、特定の絵本の印象や学びを強め、絵本の教育効果の長期的な測定を容易にできると考えます。


また、絵本研究の多くは絵本の、親子のコミュニケーションの媒体としての役割を主題にしています。そのため研究の焦点は、”幼少期”の子供と絵本の関係に置かれており、”小学生以上”の子供と絵本の在り方にはあまり注目されていません。その点も、理由の一つだと考えられます。

※農家さんのお子さんに制作した絵本の読み聞かせを行った時の写真。

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なぜ、この研究が今のタイミングで必要なのでしょうか?

現代の社会には、食品ロス問題をはじめ、課題が山積しています。ですが、それらを自分ごとに捉え、解決しようと行動を起こせる人はそう多くはありません。例えば、学校の授業で取り上げられたり、テレビで見たことがあったとしても、どこか別世界の話のように感じられるし、たった一回しかその話題に触れないならばすぐに忘れてしまうでしょう。

私は自身が祖母に繰り返し読み聞かせて貰っていた絵本に影響された経験から、課題解決型の人材不足を打破できるのは、絵本教育であると確信しています。というのも、子供の関心を惹きつける魔法の力を持つ絵本は、子供をその世界観に惹きつけ、自分ごと化しやすい点、ストーリー記憶で印象に残りやすい点に他と異なる優位性があると考えるからです。

また、先行研究とは一味違った視点から研究を進めることで、絵本そのものの新たな可能性を発掘できるとも考えています。絵本の世界を三次元で体感するという体験の提供は、教科書を用いた座学とは一線を画した、小中高等教育の新規実践的教育手法として応用可能ではないかと考えています。

※大人気絵本『リサとガスパール』シリーズの世界観を三次元で再現した『リサとガスパールタウン』を訪問した時の写真。

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この研究があることによって、世の中にはどのようなインパクトがありますか?

これからこの研究結果に基づいて、「社会問題啓蒙」と「農家さんの魅力発信」の二本柱で絵本制作を進めていく事によって、社会問題解決に取り組む学生を増やすこと、農業に対するネガティブなイメージを払拭することが可能だと思います。

第一作目で作成した絵本では、規格外野菜の扱いに苦悩している農家さんをシェフ救うストーリーが描かれています。また、キットに同封した規格外野菜を材料に、シェフのレシピで実際に調理することが可能です。つまり、このキットの利用自体が、食品ロス削減活動の一つになるのです。その体験を通じて、社会問題の知識のみならず、その解決に寄与したという自信を子どもたちは得ることができ、子供達の社会課題への関心度を高めることができます。また、サブスク型の食育キットなので、既存のキットとは異なり、継続的な教育を提供でき、その分教育的影響力も高められます。

また、二点目についてですが、多くの人が・・・

・農家さんに対していわゆる3K(きつい・きたない・きけん)のイメージを持っている

・近くの農家さんの存在までも詳しく知らない

これが現状です。しかし、農家さんの農産物に込めた思いや、こだわりを色濃く描いた絵本を流通させることで、消費者の農業リテラシ―を高め、農業の-イメージを+へと転換できると考えています。

※絵本制作にご協力いただいている農家さんのもとで援農体験した際の記念写真。

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成果発表会に向けて、意気込みをお願いします!

あと1ヶ月弱で発表会となりますが、最後までより深い研究成果をあげられるように邁進したいと思います!他の皆さんの研究成果に負けじと、ご支援くださった皆さんにご満足いただけるような発表をお届けできるよう頑張ります!

Instagramも開設したので是非フォローをよろしくお願い致します!
➡️https://instagram.com/_taberu_ehon_?igshid=hn2jlhx0fu5l

※埼玉県のトマト農家さんから食べ比べトマトを購入した時の写真。

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【プロメテウス財団成果発表会を見にいこう!】

研究内容に興味を持ってくれた方は、ぜひ成果発表会を見に来てください!オンライン開催で年齢や場所等も不問で多くの方にご覧いただきたいと思っています。


『2020年度 一般財団法人プロメテウス財団 成果発表会(オンライン開催)』
 
開催日時:2021年3月30日(火) 10:30~ ※1時間半程度を予定
 
<出席者>

財団 代表理事   住谷 栄之資 
     理事   月尾 嘉男 (東京大学名誉教授)
     審査委員 坂村 健  (東洋大学 情報連携学部 部長/東京大学名誉教授)   
          村上 周三 (東京大学名誉教授) 
          廣瀬 通孝 (東京大学名誉教授)
 

<プログラム>
 
開会     10:30
主催者挨拶  10:33 ~10:40  代表理事 住谷 栄之資
成果発表   10:40~     発表時間 10分 質疑応答 5分

1. Tane Magic Project (Sustainable Farming)
プラスチックの再利用を通した環境問題改善計画

中井 健翔  吹田市立青山台中学校

2. 食品ロスの観点から環境問題を解決する
関根 奈央  栄東高等学校

3. ポリグルタミン酸を用いた水質浄化剤による流出重油回収システムの開発・研究
倉冨 星衣  追手門学院大手前高等学校

4. Sustainable Diversified Genetic₋farming
遺伝子組み換え農産物と在来種のより効果的なゾーンニングに向けて

山田 佳怜  都立白鷗高等学校

5. 家から世界とつながるプログラミング
山本 舞香  追手門学院大手前高等学校


<参加申し込み>

参加料 :なし
方法 :パソコンもしくはスマートフォンよりご参加ください。
応募締切:2021年3月22日(月)
以下 Google formで視聴予約をよろしくお願いいたします。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSet2-yfe_hVOCrgEKyQECOCLulgxHWmsra4sHL04_ZBtn2l-A/viewform

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