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林家つる子師匠による「芝浜」のアダプテーション

今日国立演芸場紀尾井町ホールに行って来ました。

林家つる子さんの真打昇進披露公演です。今日が彼女の楽日です。

彼女は、女性落語家初の抜擢真打です。 彼女の活躍は色々なところで見ていましたが、実際に生で見るのは初めて。真打披露口上の時に真ん中で涙目になっている彼女にエンパシー(洞察的理解力)を感じてしまい、ぽくも涙目に。今日は楽日ということもあり、師匠の林家正蔵さんがひとこと申し上げなさいということで、開口一番ギャン泣き状態。師匠からお通夜じゃないんだから、未亡人のようなまねはやめて、と言われていました。

そしてトリとして出て来た彼女、また泣いていました。泣きながら少しまくらをし、「芝浜」をやらせていただきます、女性にしかできない落語をやって行きなさいとの師匠の言葉もあって、女性視点、女房おみつの目から見た魚屋勝五郎の物語をやらせて頂きますと宣言しました。 初っ端から、アレンジで、夫婦の馴れ初めから語り出し、おみつ目線で話は流れ、今までの噺では勝五郎が芝浜で拾った大金を何気に大家に預けるだけなのですが、今回はそこに焦点を絞り迫真の身体表現(所作)で、おみつと大家さんとのやり取りでおみつの葛藤を表現して、うそということばが、キーワードになりました。ここからは芝浜の普通の流れに。全体の流れの中に女性は、男性のどういう点に惹かれるのかという語りも含めて小気味よく噺が流れて行きます。

この「芝浜」、林家つる子による完璧なアダプテーション(再創造)でした。予想を大きく上回る大作でした❗️大感動です❗️女性真打は、今や何人もいますが、実力で言ったらナンバーワンではないでしょうか❗️人気も実力も抜群だと思います。だからこそ抜擢されたのでしょう。

本人は、テレビ取材で「芝浜」のスピンオフ、と言っていますが、これは後日談や、脇役目線から物語を作り変えただけのものではなく、新しい「芝浜」を創造したもので、世の中ではスピンオフほどは名前が知られていないですが、スピンオフより格が高いアダプテーションだと言えるでしょう。素晴らしいです。

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