マグロ

 内省することを忘れるとこう真夜中に思い立って筆を取ってみても、ただただ空っぽな自分に驚くだけである。身につけた知識もこぼれ落ち、仕事の枠を出ない仕事に大半を費やし、気づけば身体だけを磨耗して、傷だらけの外套のみの存在となっている。
 日々時間の経つ速度が速くなっていくように感じる。それは充実しているからだろうか。それともただ馴れてしまっていて虚空に生きているからだろうか。どちらとも言える。毎日が楽しい。気の合う仲間、趣味に彼女との同棲、色々なところからエネルギーをもらい、幸せ者だと実感する。それと同時に、楽しい時間を享受しきっていて次第にその満ちる幸福に慣れてしまっているのかもしれない。考えることをやめてしまえば、それはただの置物と変わりない。その置物に私はなりつつある。それがとても怖い。死ぬことと変わりないじゃないか。僕にとって生きる活力は想像力、すなわち考える力と直結している。未来に何も思い描くことができず、日々停滞を繰り返しているこの状況がこれほどまでにも辛いとは。
 生き急いでる実感はある。生き続けなければ死んでしまうと知っている。生き急がねば、成長しなければ、心が死んでしまう。

 キリキリと痛む胸を抱えながら、付け焼き刃と分かってはいるが、文を書いて死を遠ざけるために抗ってみる。

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