やる気が出ないんですがどうすればいいですか?

やる気って言ったら、心の中でグツッ、グツッと湧き上がってくるもの、そう想像するけれど、実際人生の一コマ一コマを振り返ってみると、そんなこともない。宿題をやるのは先生に「今日は僕宿題やりませんでした」と言う一押しの勇気がないからだし、学校に行くのも母親が怒るのを見たくないからだ。恐怖に吠え立てられて逃げていただけなのだ。単純に。

詰まる所に、やる気には恐怖が大事だ。だから、やる気を出すためには、そういう環境に行きなさい。

という言説は「やる気を出す」という面では芯から正しいが、幸福論的に考えれば、これほど不幸なことはない。君は幸福を求めて生まれてきたはずだろう。

話を訂正する。恐怖による動機は「やる気」ではない。消去法的に選択肢が狭まって本能的に選ばされているだけだ。やる気とはもっとこう、延長線上にある幸せを瞳に映し込んで、能動的に一直前進するものなのだ。動物ではなく、人間になる行為なのだ。最初に言ったとおりに、やる気とは心の中でぐつぐつと気配を忍ばせ、いっぺんに行動として爆発するようなものなのだ。

問題は、この感覚的な心の沸騰感に気付かないこと。この沸騰感は胸の奥底のほうでチラチラと輝くもので、それに気づくには感覚的な鋭さを保っていなければならない。更に噛み砕けば、「今私はこうあるべきだ」という呪縛を繊細に解いていき、自分の体内環境の変化を無視しないという姿勢である。

社会は君に"生産性"を求めるし、遺伝子は君に"生き残ること""繁殖すること"を求めるし、脳は君に"楽"を求める。
そして最後に君は"幸福"を求めている。

自分以外の命令は聞くな。自分以外の他者の全ての命令は、君の幸福の鞘の下に収まらなければならない。社会や遺伝子や脳、彼らのいいなりになることは、奴隷的屈服であり、君の生きる意味が迷子になる。

自分の心を明確に測り取る透き通った瞳を養うために、「自分の命令以外を無視すること」を挙げた。

具体的には以下である。

①目を瞑って、暗闇の迷彩から湧き上がってくる言葉を客観視する時間を毎日とる。自分の言葉に耳を傾ける訓練である。

②心の中での葛藤を見逃さず、できる限りパターンを記録する。恐怖や緊張を感じた時は心の中ですでに葛藤が起こっていると考えた方が良いだろう。声の正体を全て解き明かす。社会、遺伝子、脳、この中の誰の声なのか考察し、ノートに記録する。その場で恐怖や緊張を克服しなくてもいいから取り合えず記録して寝かせておく。

③その内、楽や恐怖の感情より、自分の「好き」という感情を優先できるようになる。それが君がやる気と呼ぶものだ。

読者の幸せを願う。

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