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DTM初心者必見!コンプレッサーの種類と使い方徹底解説

音楽制作において、コンプレッサーは必要不可欠なツールです。

一言でコンプレッサーと言っても、真空管、光学式、FET、VCAなど、さまざまな動作タイプがあります。これらの動作タイプの違いや特徴を理解し、用途に応じて使い分けることで、トラックの特性に合った最適なコンプレッションが得られます。

この記事では、各動作タイプのコンプレッサーの特徴とその使用場面について詳しく解説し、私が実際に使用しているコンプレッサーも紹介していきます。


コンプレッサーとは?

コンプレッサーは音のダイナミクス(音の強弱)を調整するためのエフェクターです。音量が大きすぎる部分を抑え、全体の音量バランスを整えることで、ミックスの中で音がよりクリアに聞こえるようになります。

FETコンプレッサー

特徴

FETコンプレッサーの最大の特徴は、アタックとリリースが非常に速いことです。この特性により、スネアドラムの打点感を強調するなど、音の立ち上がりをしっかりと捉えることができます。

アタックとリリースが非常に速い

まずは、「アタック最遅、リリース最速」の基本設定で試してください。どの程度リダクションさせるかを考えながら、INPUTを上げるだけでも十分に効果を感じられます。

基本設定

アタックが速いため効果が分かりやすく、初心者でも使いやすいコンプレッサーだと言えます。

おすすめの使い方

  • スネアドラムやキックドラムの打点を強調する: 速いアタックとリリースが打点感を際立たせます。

  • ギターやパーカッションのリズムを際立たせる: 音の立ち上がりが速く、リズミカルなトラックでも適切にコンプレッション可能です。

  • パンチを与える: 効果が分かりやすく、音にパンチを与えるのに適しています。

おすすめしない使い方

  • ナチュラルなコンプレッションを求める場合: FETタイプのコンプレッサーはコンプ感が強いため、自然な音に仕上げたい場合には不向きです。

私が使っているFETコンプレッサー

Waves CLA-76を好んで使用しています。

Waves CLA-76

リビジョンを変更することで異なるキャラクターを得ることができます。

"Bluey"と"Blacky"両バージョンを使い分けよう

あまり馴染みのない青パネルの「BLUEY」タイプは、馴染み深い黒パネルの「BLACKY」タイプよりもパンチ感があり、ザラザラとした質感があります。そのため、「BLUEY」タイプの方が荒れたコンプ感が得られ、よりロック向きだと思います。

Optical(光学式)コンプレッサー

特徴

Opticalコンプレッサーの特徴は、反応速度が遅く、ぬるく柔らかいかかり方をすることです。他の動作タイプにはないナチュラルなコンプ感が得られます。

ナチュラルなコンプ感が得られる

アタックとリリースが固定されているので、私たちがやるべきことはリダクション量を決めて、アウトプットでリダクションされた分の音量を取り戻すだけです。

アタックやリリースといった初心者が苦手とするポイントを意識せずに使えるため、とても扱いやすいコンプレッサーだと思います。

おすすめの使い方

  • ボーカルの滑らかなコンプレッション: 自然なサウンドでボーカルをまとめます。

  • シンセパッドやストリングスのサステインを活かす: 持続音に対して滑らかにかかります。

  • ナチュラルな音のまとめ上げ: 音楽全体を自然にまとめたい場合に最適です。

おすすめしない使い方

  • アタック感のあるトラック: 反応速度が遅いため、ドラムやパーカッションなどのトラックには不向きです。

私が使っているOptical(光学式)コンプレッサー

私が使用しているWaves CLA-2ACLA-3Aは、いずれも光学式コンプレッサーですが、それぞれ異なるキャラクターを持っています。

Waves CLA-2AとCLA-3A

CLA-2Aは柔らかく自然なかかり方で、ボーカルに最適です。

一方、CLA-3ACLA-2Aよりもアタックとリリースが速く、Opticalコンプレッサーでは難しいタイト感やパンチ感を出すことができます。つまり、CLA-2Aの苦手な部分を補完するようなイメージです。

Variable-Mu(真空管)コンプレッサー

特徴

Variable-Muコンプレッサーの特徴は、真空管ならではの温かみと太さを持つサウンドです。

真空管ならではの温かみと太さ

Fairchild 670などの代表的な機種は、スレッショルドをゼロに設定し、リダクションさせずに真空管回路を通すだけというプリアンプ的な使い方も可能です。コンプレッションが滑らかで、ナチュラルなサウンドを求める場合に最適です。

おすすめの使い方

  • バストラックやマスタートラックの一体感を出す: トラック全体を自然にまとめます。

  • ナチュラルなサウンドの維持: コンプレッションを感じさせずに音を整える場合に適しています。

  • 温かみのある音色を付加: 真空管の特性を活かして、サウンドに温かみを加えます。

おすすめしない使い方

  • 速いアタックが必要なトラック: トランジェントを正確に捉える用途には不向きです。

僕が使っているVariable-Mu(真空管)コンプレッサー

IK Multimedia Dyna-Muを好んで使っています。

IK Multimedia Dyna-Mu

レシオを切り替える(Soft または Hard)ことで、コンプレッションの効き方を調整可能です。マスターに使う場合はレシオを小さくして緩やかに、バストラックなどではレシオを大きくして強めにかけることで、トラックに合ったコンプ感を得ることができます。

また、サイドチェインハイパスフィルターが付いているため、特にマスターやドラムのバストラックで問題になりがちな低域を回避しながらコンプレッション処理できるのも大きな利点です。

VCAコンプレッサー

特徴

VCAコンプレッサーは、反応速度が速く、色付けのないクリアなサウンドが特徴です。

反応速度が速く、色付けのないクリアなサウンド

SSLバスコンプなどが代表的で、全体をまとめ上げながら、安定感と躍動感を生み出します。トラックのイメージを崩すことなく、厳密なレベル管理が可能です。

おすすめの使い方

  • バストラックやマスタートラックのコンプレッション: 全体をまとめ、安定感を与えます。

  • クリアなサウンドの維持: 色付けのないサウンドが求められる場面に最適です。

  • 厳密なレベル管理: ミックス全体のバランスを正確に調整できます。

おすすめしない使い方

  • アナログ感を求める場面: アナログ特有の色や温かみを付加したい場合には不向きです。

私が使っているVCAコンプレッサー

Waves SSL G-Master Buss Compressorを好んで使用しています。

Waves SSL G-Master Buss Compressor

特有のパンチ感を与えながらトラックをまとめることができます。特に、GLUEコンプとして使用することで、各パートを接着し、まとまり感を出すのに最適です。

ドラムバスに使用すると、個々のドラムヒットを強調しつつ、全体の一体感を保つことができます。さらに、マスターバスにかけることで、ミックス全体に統一感とプロフェッショナルな仕上がりをもたらします。

デジタル系コンプレッサー

特徴

デジタル系コンプレッサーは、アナログモデリングでは不可能な大胆で柔軟な設定が可能です。その代表例が、オーディオの先読み(lookahead)機能です。

アナログモデリングでは不可能な大胆で柔軟な設定が可能

オーディオの先読み(lookahead)機能により、アナログモデリングでは不可能な最速のアタックタイムを設定できます。マキシマイザーと呼ばれる音圧補正に特化したエフェクトでは、この最速のアタックタイムが重要であり、デジタル系コンプレッサーならではの機能と言えます。

さらに、レシオをはじめとするコンプレッサーのあらゆるパラメータを非常に細かく設定できるのもデジタル系コンプレッサーの特徴です。

おすすめの使い方

  • 精密な音圧補正: 細かな設定が必要な場合に最適です。

  • 汎用性の高い補正用途: 多種多様なトラックに対応できます。

  • 特定のトラックに特化したコンプレッション: 各トラックの特性に合わせた設定が可能です。

おすすめしない使い方

  • アナログのキャラクターを求める場合: デジタル特有のクリアさが逆効果になる場合もあります。

私が使っているデジタル系コンプレッサー

Waves Renaissance Compressorは、私が毎回必ず使うコンプレッサーの一つです。

Waves Renaissance Compressor

光学式(Opto)と電子式(Electro)の2つのタイプを選択でき、デジタルならではのオートリリース機能(ARC)によって安定したコンプレッションが得られます。

Renaissanceシリーズには、ボーカル専用のRenaissance Voxやギター専用のRenaissance Axxなど、特化型のコンプも揃っています。特にRenaissance Axxをギターに使用すると、簡単に切れのある素晴らしいギターサウンドが手に入ります。

また、Waves H-Compも使用頻度が高いです。

Waves H-Comp

バスコンプとして非常に優秀で、ドラムのバスコンプとして使うことで簡単に一体感を出すことができます。

また、デジタルならではの機能として、テンポに同期したリリースタイムが設定できるのも大きな利点です。

まとめ

コンプレッサーの選び方や使い方は、そのトラックや目的によって大きく変わります。

FETコンプレッサーの速いアタック、Opticalコンプレッサーのナチュラルなかかり方、Variable-Muコンプレッサーの温かみ、VCAコンプレッサーのクリアなサウンド、そしてデジタル系コンプレッサーの柔軟な設定。これらの特徴を理解し、適切な場面で使い分けることで、よりプロフェッショナルなサウンドを実現することができます。

コンプレッサーの選び方や使い方に迷ったときは、このガイドを参考にしてみてください。

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