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鬼殺隊に見る現代の戦い方


3日間の興行収入が46億を超えたスーパーヒットになった『鬼滅の刃』

配給の東宝の株価も高値更新し、多くのライセンス商品やタイアップが展開され、コロナウィルス感染症の影響で低迷を余儀なくされた日本経済を支える経済効果を生み出した。

エンタテインメントの世界では「神風が吹く」という表現をする。
手立てが見えず、運を天に任せた状況下で吹き荒れる一陣の、いや度重なる幸運を指す。

特に週刊少年ジャンプに端を発して大型ムーヴメントを起こすケースは「キン肉マン」「キャプテン翼」「NARUTO-ナルト-」「ワンピース」などなどにも見られ、ジャンプの王道を成す。

漫画コンテンツを原作にTVアニメ化、映画、ビデオグラム、そしてキャラクター商品がその相乗を作り上げ得る。

しかし、今回の『鬼滅の刃』の成功は、これらのキャラクタームーヴメントの様相とは少し違った見え方をしていると言っても良い。

それは、とりもなおさず、人々が、今が新型コロナウィルス(covid19)による先の見えない環境に置かれているからだと言える。


現代において「鬼」を彷彿させるのは、コロナウィルス。
正体が見えず、密かに忍び寄ってくる恐怖、実際に社会に対してダメージをもたらしている存在に、人々は意識を持って対峙しながらも長期の状態に諦めの様相や、根拠のない楽観に走るといった形態が見え始めている。

戦う敵が見えない。
戦い方が見えない。
戦う意識が…、疲弊する。

しかし、鬼に打ち勝たなければ、平和は来ない。

少年ジャンプだったら、明確に悪を打ちのめす手立てが見えていていいはずなのに。

しかし、「鬼滅の刃」は単純に懲悪を行うだけではない。
鬼には鬼になった理由が、鬼になるまでのストーリーがある。
鬼が滅ぶ時に見せる自戒は、世の中にあるものが"勧善懲悪"の理屈だけではない現実を現代のコロナウィルスに見立てているようにさえ思われる。

炭治郎は言う。
「鬼は、虚しい生き物だ、悲しい生き物だ」

コロナウィルスに対する人間の立ち位置は、一遍通りではない奥行きのある対策で挑むべきであるはずである。

そのために試練を重ねていかなければならない。

炭治郎が水の呼吸を覚えたように、そしてその先にもある十一の型を得るためにも。


ソーシャルディスタンス

コロナウィルスが人間界に猛威を振るっている今の状態において、一番のダメージは「ソーシャルディスタンス」である。

人と人を近づけない、近づかないことによって、人間の信頼を分断する。
経済ダメージは、リーマンショックと比較されることが多いが、リーマンショックとは、経済ダメージとその補修がテーマであったが、今回のコロナウィルスは経済補修、補正では根本的解決にはならない。
ヒトとモノの補修、補正が大名目になっているのである。

それが、とりもなおさず「ソーシャルディスタンス」

スペインの思想家・哲学者のオルテガ・イ・ガセットは“Together and Alone”という言葉を残している。
みんなと一緒に何かをやりながら、そのなかで自分というものを失わずに、「和して同ぜず」、「みんなと一緒」にいながら「孤独」であるということである。

これからの時代は、転じて“Alone and Together ”になっている。
「個」がまず有りきで「組織」になる。
腕を組み合う連帯感ではなくて、個々にで、オンラインで繋がりながら通い合うものが生まれることが求められるのである。


鬼殺隊

意識を持って戦う。
人生を賭けて戦う。
平穏な時代ではない人間の心持ちを鬼殺隊に感じる。
しかしながら、無碍に戦いを挑んで、負けっぱなしでは芸がない。
鬼は強いのである。

そこで注目したいのが、「柱」である。

物語の冒頭で炭治郎と禰󠄀豆子を救う、水の呼吸を使用する水柱(みずばしら)富岡義勇(とみおか ぎゆう)
炭治郎の同期である栗花落カナヲを継子に持つ、蟲の呼吸を使用する蟲柱(むしばしら)胡蝶しのぶ(こちょう しのぶ)
映画のエピソードで活躍する炎の呼吸を使用する炎柱(えんばしら)煉獄杏寿郎(れんごく きょうじゅろう)
音の呼吸を使用する音柱(おとばしら)宇髄天元(うずい てんげん)
霞の呼吸を使用する霞柱(かすみばしら)時透無一郎(ときとう むいちろう)
恋の呼吸を使用する恋柱(こいばしら)甘露寺蜜璃(かんろじ みつり)
岩の呼吸を使用する岩柱(いわばしら)悲鳴嶼行冥(ひめじま ぎょうめい)
蛇の呼吸を使用する蛇柱(へびばしら)伊黒小芭内(いぐろ おばない)
風の呼吸を使用する風柱(かぜばしら)不死川実弥(しなずがわ さねみ)

大敵、鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)とその血を分けた十二鬼月(じゅうにきつき)を倒さんと技を磨く幹部級の隊士。


強い個

現代のソーシャルディスタンス化においては、連隊で一遍通りでは、有償無償にしかなりえない。

大切なのは「個」である。
必要なのは「強い個」である。

集めた中からしのぎを削り、鍛え抜いた組織を作るのでは時間のみならず環境に合わないのである。

一人ひとりが、自分の強みを認識した戦い方を習得し「強い個」となれば、その「強い個」が同じ目的で終結した組織こそ、現代を、いや未来を作り得る力となるであろう。

そして、その「強い個」を束ねる強い力がまた必要である。

「鬼滅の刃」にある産屋敷家お館様を見つけ、自らを「強い個」として磨きあげ精進する。

コロナ禍に見る日本の強さは、必ず未来を切り開き、そして世界に伝達されるだろうと勇気付けられる。


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