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【10分で要約】お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方

界隈では結構有名な本である「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」を10分で読める分量にまとめてみました.


まとめ

・サラリーマンでは厚生年金や所得税などの実質的な税負担が収入の約30%近くを占めており,かつこれらを自らで調整することはできないため,そもそもお金持ちになることは難しい.

・自営業もしくは中小企業の経営者となれば,税や社会保険料制度の歪みから生じる様々な優遇(黄金の羽根)を受けることができるため,サラリーマンよりも大幅に税負担が減り,お金持ちになりやすくなる.


以降は本書に従って要点をまとめていきたいと思います.

0. 「黄金の羽根」とは

制度の歪みから構造的に発生する幸運で,手に入れた者に大きな利益をもたらすもの,と本書では定義されており,この黄金の羽根を拾うことでお金持ちになれると本書では述べられています.まだよくわからないと思うので,2002年に開催された日韓ワールドカップでのチケット争奪戦を例に説明したいと思います.

当時は試合の観戦チケットを手に入れるために,スポンサーの商品を大量に購入し大量の抽選券を手に入れ,苦労して1枚のチケットを手に入れた人が大勢いる一方で,ほぼ全試合のチケットを苦労なく手に入れ,試合を楽しめた人々もいたことがわかっています.

では,両者の違いはどこにあったのか.実は,FIFAがチケットの需要を見誤り,大量のチケットを確保していたのですが,これらのチケットを日本国内で販売するルートが無く,海外販売用のチケットとして大量に余っていました.後者の人々はこのチケットを海外経由で購入していたのです.海外販売用のチケットは,海外に住んでいる知人に頼んだり,本人名義の住所を提供してくれるサービスを使うことで,日本にいながらでも比較的簡単に入手することができます.海外販売用のチケットは余っているのですから,所望のチケットを買うことは前者に比べて圧倒的に簡単でした.

当時,海外販売分のチケットが余っている情報は万人に公開されていたため,上述したような少しの努力や考えを巡らすだけで,海外経由で好きなだけチケットを購入できるという「黄金の羽根」を拾うことができたわけです.

これと似たような現象が日本社会,特に税制や社会保険料の制度に生じており,それらを正確に把握し,最大限利用することで大きな利益を得ることが可能であることが本書では述べられています.そして,その利益を得るためには,自営業もしくは中小企業の経営者になる必要があります.

1. 「個人」と「法人」,2つの人格を使いこなすことで人生が変わる

例えば,年収600万円のサラリーマンの所得税・住民税・社会保険料(厚生年金など)に会社負担分の社会保険料を加えた実質税負担は約29.29%もあります.つまり,収入の約30%は税と社会保険料によって引かれています.この実質税負担30%というのは衝撃的な数字で,一般のサラリーマンが得る生涯賃金は約3億〜4億円といわれているので,サラリーマンが生涯納める税負担はおよそ1億円になります.

しかも,普通にサラリーマンをしている限り,決められたルールで一律に税や社会保険料が決められてしまうので,この重すぎる税負担から逃れることは困難です.では,どのすれば良いのでしょうか.

そこで,本書で述べられている解決策の一つが「個人」と「法人」を使い分けることで,合法的に税コストを下げることです.

ここでいう法人は,資本の50%以上を本人または本人の関係者が保有する同族会社のことを指します(日本の法人の約95%がこれに該当).今では1円から会社を作ることができますし,会社の作り方もWebや書籍を調べればいくらでも情報は得られるため,法人を設立するのはそこまで大変ではありません.

なぜ個人と法人を使い分けることで税コストを下げることができるかというと,個人と法人とでは税制が異なるため,同じ経済活動をしても納税額が変わるからです.

例えば,個人と法人の所得税率を同じ30%とし,100万円の所得に対して50万円を消費したケースを考えてみましょう.個人の場合は,所得税を払ったあとのお金で消費が行われます.一方,法人の場合は税引き前のお金で消費が行われ,そのあとに残ったお金に対して法人税が課せられます.結果として,個人の場合の残額は20万円,法人の場合は残額が35万円になります.このように,同じ経済活動でも個人と法人とでは納税額が異なります.

具体的に,個人が法人を利用して合法的に税コストを下げる方法が,以下の4つであると本書では提案されています.

1. 所得税の発生しない範囲で給与を決定する

2. 所得税の発生しない範囲で家族を雇用する

3. 生活費を法人の経費に振替える

4. 個人資産を法人名義で運用する


所得税の発生しない範囲で給与を決定する

たった1人の会社とはいえ立派な社長なので,自分自身への給与を自由に決めることができます.そのため,収入を所得控除の範囲に抑えることで,税負担を最小化することができます.例えば,東京都在住で専業主婦と子供2人の家庭を例にとれば,所得税のかからない最適年収は約500万円と計算することができます(計算方法は本書でも紹介されていますが,ここでは割愛します).このように,現在の状況から算出される最適な年収を自分自身で調整し,税負担をコントロール(最小化)できる点がサラリーマンとの大きな違いになります.

所得税の発生しない範囲で家族を雇用する

例えば,妻が専業主婦の場合,自分の会社に雇用することができます.そして,所得税の発生する上限の103万円以内に妻の年収を設定すれば,夫の給与500万円と合わせて,合計約603万円を無税で法人所得から個人に移転できます.さらに,妻を従業員として雇うことで,中小企業退職金共済や小規模企業共済などの加入資格も得られるため,非課税で積立貯蓄(資産運用)できる枠が通常の2倍になります.このように,本人と家族をあわせて所得を最適分配し,税制の恩恵を受けることで,サラリーマンに比べて急速に富を築いていくことが可能です.

生活費を法人の経費に振替える

例えば,自宅の一部を会社の事務所として使用すると,電気・ガス・水道料金の半額が法人の経費とすることができます.そのほか,電話代,インターネット代,業務に関する飲食費や国内・海外旅行費も経費として計上できます.それどころか,車やパソコンはもちろん,応接間の絵や置物,パーティー用のスーツもそれが仕事に必要なものだと説明できれば経費となります.所得税は,給与の総額から必要経費と所得控除を差し引いた額に対して税率を掛けることで決まるため,生活費の多くを経費として計上することで,家計が楽になると同時に,税負担も下げることができます.

個人資産を法人名義で運用する

上記の方法で生活費を経費として計上することで,家計に余裕を作ることができるのですが,このお金を使ってさらに資産を増やすことが可能です.その方法が,「自分の法人に貸し付ける」です.法人を持っていると,個人資産の自分の法人に貸す,ということができます.これは立派な融資に値するので,金利を取ることができます.例えば,100万円を出資法の上限である年利20%で貸すと,1年後には20万円の利子を得ることができます.

ただし,法人から利息を受け取ると,それが個人の所得に合算されて課税されてしまうので,普通は自分の会社へは無利子で貸し付けます.無利子でお金を貸し付けても,その法人が赤字である場合は,資産運用に大きなメリットがあります.なぜなら,赤字法人は,利子や配当,有価証券の売却益に税金を支払う必要がないからです.

仮に銀行預金の金利が年1%で,1000万円の預金額があった場合,1年間の利息は10万円になります.そのうち20%が源泉徴収されて,実際に受け取ることができるのは8万円になります.ところが,1000万円をそのまま法人に貸付け,同じ銀行に預金したとすると,同様に利子の20%が法人所得から源泉徴収されますが,法人税は総合課税なので,決算が赤字だとこの利息が戻ってくるのです.同様に,別の方法で資産運用をした際の利益も無税で全額受け取ることができるのです.


以上のように,個人と法人では税制が異なるため,2つの人格を使い分けることで,両方のメリットを最大限に活かし,資産を効率良く構築することができるわけです.

ほかにも本書には様々な情報が載っていますが,さいごに,本書で紹介されていた資産運用する上での最低限の知識を簡潔に紹介したいと思います.

2. 人生を最適設計する資産運用の知識

お金持ちの方程式:資産形成 =(収入-支出)+ (資産×運用利回り)
つまり,1.収入を増やす,2.支出を減らす,3.運用利回りを上げる,の3つの方法でお金持ちになることができます.以下に,この式から導かれるお金持ちになるためのいくつかのルールを紹介します.


ルール1:純利益(収入ー支出)の確保こそが重要
どんなに素晴らしい資産運用をしていても,収入がなくなれば投資の元本を切り崩して生活せざるを得ない.安定的な純利益が確保できてこその資産形成のスタート地点.
ルール2:福利の資産運用では,わずかな利回りの違いが大きな差を生む
ルール3:十分な元金がなければ運用しても意味がない
上述した式にあるように,ある程度の資産がないと運用しても利益は大きくならない.しかし,定年退職後は資産の運用益からお金を手に入れる必要があるため(年金制度が崩壊しているため),金融市場についての知識は必須となる.そのため,資産が少なくても資産運用をする価値は十分にある.
ルール4:収入を増やす確実な方法は働き手を増やすこと(共働きとか)
ルール5:他人への投資と自分への投資を天秤にかける
自身の年収が500万円かつ年利1%とすると,自身の価値は5億円相当.この人的資本を10億,20億と増やすことが資産運用の初期段階では合理的な戦力になる(つまり自己投資).
ルール6:サラリーマンが金持ちになる方法は3つある
年収あげる,ベンチャー企業で自社株購入やストックオプションの取得,キックバックをもらうこと.そもそもサラリーマンがお金持ちになるのが難しいのは,税・社会保険料コストが大きいため.年収1000万円の場合,約250万円が税負担となってしまう.
ルール7:確実に金持ちになる方法は支出を減らすこと
ルール8:家計のリストラは住宅コストと生命保険から(生命保険は効率の悪い金融商品にほかならない)
ルール9:投資のコスト(手数料など)に気づかない人は金持ちになれない
ルール10:最速の資産形成法は税金を支払わないこと
上述したように,自営業もしくは中小企業の経営者になって,所得に対して税金を支払わないことが確実にお金持ちになれる方法.
サラリーマン:1000万円の収入に対して,手取りが約700万円.毎年300万円を年3%で運用しても1億の資産形成に25年かかる.
自営業:ほぼ全額を可処分所得にすることが可能(国民年金と健康保険に若干支出するが).1億の資産形成に14年.


また,本書で述べられている不動産投資に関する資産運用の常識についても下記に紹介したいと思います.


誰も知らない資産運用の常識


マイホーム(不動産)を買ったら,資産運用はそこで終わりと等価である.マイホームの購入は不動産投資で,住宅ローンを組むのは不動産投資にレバレッジをかけることに等しい.なぜなら,マイホームの地価が下がれば,それだけ損失が出るということと同じであるため(これはマンションなどへの不動産投資でも全く一緒).事実,地震などの災害時にこのようなマイホーム以外に資産を持たない一般的な人々が一番被害を被ったようです.

実は,賃貸も銀行からお金を借りても(住宅ローン)大きな違いはないです.人間の生物的な性質から,マイホームに対して安心感や満足感を得て,特別な価値を見出しているだけです.以下に,不動産の呪縛を解き放つ法則を紹介します.
法則1.家を買うのは株式に投資するのと同じである
3000万円でマイホームを買うより,それを用いて資産運用した方が良いケースもあります.マイホームはお金をうまない(地価が上がるならば別).
法則2.家の値段は,家賃から合理的に決まる
法則3.持ち家とは賃料の発生しない不動産投資
ただし,賃貸の場合の賃料には貸主が払うべき課税分も多く含まれていると考えられるため,マイホームの方が安く済むということもあります.
法則4.不動産はリスク商品である(土地の価格は誰も予想できないし,価格が下がった分だけ損失になる)
法則5.住宅ローンは株式の信用取引と同じである
法則6,住宅ローンの返済は「貯金」ではない
住宅ローンの金利分と建物部分の減価を考慮すると,賃貸と持ち家の損得は同じです.ゆえに,地価が右肩あがりのときにのみ,住宅ローンは有効な戦略となります.地価が下落すれば賃料は下がるが,住宅ローンの負担は変わりません.
法則7.永住を前提に家を買っても,持ち家は有利にはならない
法則8.家賃よりも安く家が買えることはない
法則9.30年後に手に入った「我が家」に価値はない
30年後の古い物件にそもそも価値はあるのか,という問いと同じになります.そのため,地価の大幅な上昇を前提にしなれければ,不動産投資は割に合わないのです.


ちなみに,生命保険の本質は「不幸な出来事が起きたときに当選金が支払われる宝くじ」.確率の低いリスクに多額の保険金を払うより,その資産を運用したり貯金したほうがましなことが多いです.実際,保険は扶養家族の多い低所得者層向けの金融商品なのです.

まとめ

サラリーマンのままでは,税負担が重く,さらにそれらの税負担を自らコントロールすることができないので,そもそもお金持ちになるのが難しい.しかし,自営業や中小企業の経営者となることで,重い税負担を自らコントロールすることができるため,サラリーマンよりも効率良く資産を形成することができる.

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