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手から繋がるものづくり

伝統を継承する

皆さんにとって伝統とは身近なものですか?
"よそ者"として、心の中に伝統文化を守っていきたい思いは少なからずあると思います。

伝統は変化することによって受け継がれる

そうおっしゃる方もいらっしゃいますが、伝統文化に新しい風をふかす人と先代を受け継ぎ守り抜く人の強い思いを紹介したいと思います。

町家通りを歩いていると一軒のいかにも京都らしい、昔ながらの町家に出会いました。

中を覗かせて頂くと、お父さんがチラリ。
第一印象からとても温厚な雰囲気の漂う方でインタビューも快く引き受けていただきました。

明るくなった部屋には何十もの金具と厳かな神具が置かれていました。

牧信幸さん。100年間「指物」と呼ばれる代々受け継がれてきた手法で神と人とを繋ぐ神具に向かう名工です。私たちが出会った町家は牧神祭具店。訪れた際には三方と呼ばれる食台作りや祇園祭で使われるお神輿の修理が行われていました。

神具は全て手作業とこのこと。壁一面に立て掛けられた道具を巧みに使い分け、緻密な計算や長年の経験から大胆で非常に繊細な作業が行われています。

名工たちの今とこれから

インタビューをさせていただく中で、牧さんの温厚ながら指物に対する強い思いや「今」について少しずつ教えていただきました。

指物師は材料を成形する職業。神さまのものを扱う職業なので職を無くすことはないが、若い人たちの伝統に新しい風をふかせる取り組みによって引退せざる得ない名工を何十人もみてきた。

さらに、多くの人が興味を持つのは装飾が施された煌びやかな状態になってから。私たちのような基礎となる部分に興味を持ってくれる人は少ない。

神具作りは材料にも神聖なものでしか作られないため、材料は非常に限られ、数も少なくなっているそうです。

私は偶然にも最近お話を聞いた藍師さんのことを思い出しました。

その方は徳島から世界に新しくもありながら古き良き藍染を伝えている方です。

牧さんのような伝統を守り抜く人とは対照的な立場の方ですが、現在の悩みを聞いた際、

いつでもスポットがあたるのは色になってから。藍染の中で要となる材料の蒅藍の作り手がいない。

とおっしゃっていました。

伝統を守り抜く人と新しい変化を求める人。立場も変われば考え方も違うけれど、悩んでいる状況は非常に似ていました。

そして、どちらの方のお話を聞いても日本文化を守りたい、みんなに文化を愛してもらいたい、という根底にある強い思いがひしひしと伝わってきました。

今を伝える人と次世代を創る人と私

"よそ者"としてできることは、私たちはどちらかに優劣をつけるかではなく、お互いが違うプロセスで輝けるような環境をつくることだと思います。

一見、難しく感じるけれど、
伊勢神宮で手を合わせたとき作った人のことをチラリと思い浮かべてみる。
カフェでそっと佇む展示会のチラシを手にとってみる。

たったそれだけのことですが、私たちの生活もより豊かで、誰かと繋がっているように思えてきませんか。

私たちの地域愛が未来の日本をより彩りのある思わぬ大きなものに進化させていれるかもしれません。

#meetslocal
#地域とつながるライティング講座