マガジンのカバー画像

Prismaton - オーディオと周辺分野の技術関連

12
記事のうちオーディオと周辺分野の技術関連のものをまとめました
運営しているクリエイター

#オーディオエフェクト

真のラウドネス値 追い求めて - 海苔とK-weightingと私 -

近年では、多くのプラットフォームで「ラウドネス規準」や「ラウドネスノーマライゼーション」の運用が行われるようになり、オーディオ制作時に意識する必要のあるものとしての認識が広がっています。 一方で、ラウドネス関連に対する取り組みや考え方に関してはオーディオ制作者の中でもバラつきが大きく、不要な摩擦の要因となっている面すらあります……。 本稿はそんなラウドネス関連に対して「真のラウドネス値とは何か?」というテーマを元に掘り下げることで、より本質的なラウドネス値との向き合い方を

エイリアシングとは何者なのか?

近年、普通(?)の人の感覚ではありとあらゆるものがデジタル化されていて、アナログというのは懐古として楽しむものというようなイメージになっているのではないかと思います。 しかし一方でオーディオ関連の世界を見ていると、意外と普通にアナログ機材が現役なことに気が付きます。使用する理由に関しても懐古的なものではなく、「アナログのほうが音が良いから」といったような現実的なものです。 (かくいう私も最近まで「オーディオ処理ならアナログのほうが絶対いい!」という認識でした、笑) では

EQ を IR で知る

EQ(equalizer) は音の質感を調整する上でほぼ必須のものになっていますが、それでいてとても奥が深く、しっかり理解するのは難しいものだと思います。 EQ の作用の捉え方としては、「周波数(振幅)特性を調整するのが主作用で、副作用として位相ずれや群遅延が起こる」のように考えている人が多いかと思います。もちろんこれは間違いと言うわけではないです。 ですが、EQ の作用には重要な別の捉え方があります。それは、「EQ は IR(Impulse Response) の適用で

機構でみる!ディレイ/リバーブの歴史

エフェクトとしてのディレイ/リバーブの機構について解説する機会がちょっとありまして、一通りまとまったものどこかに無いかな?と探してみたのですが、あまり網羅的なものは見つかりませんでした。 仕方なく (?) 自分で各所の情報を引っ張ってきつつ適当にまとめていたところ、とてもテンションが上がってきたので、勢いで note にも書くことにしました。 そんなその場ノリで作られた本稿ですが、機構面での網羅性に関しては随一に仕上がっているのではないかと思います。エフェクターマニアな方

スペクトラムアナライザのまめ知識 - FFT とフィルタバンクの方式の違いについて -

オーディオ関係の人にとってスペクトラムアナライザ(以下スペアナ)は重要なツールの 1 つだと思いますが、その特性や種類についての解説はあまりされてきていないと感じました。 特に表題にもある FFT とフィルタバンクの方式の違いについてですが、出力結果への影響が非常に大きい違いであるのにも関わらず、あまり前面には出てこない情報となってしまっています。 個人的にはスペアナには譲れない思い入れがあり、自分で使いたいものを何度か作っているうちにそれなりに精度が高い知見が得られてき