【名娼明月ゆかりの地⑤長垂公園(福岡県福岡市西区)】
お秋(明月)の夫・伏岡金吾は、博多から西の方、肥前国(現在の佐賀県)唐津に向かうべく、唐津街道を藤崎宿から今宿へと歩んでいたのだが、その途中、怪しい馬子の親爺に遭い、馬に乗って、長垂山(ながたれやま)の上にあるという馬子の親爺の家に泊まることになった。
その「長垂山」は現在もあり、山の麓に「長垂公園」という、さびれた公園がある。
博多駅からこの公園を車で目指す場合、福岡都市高速・西九州道を通って来るのもいいのだが、ここはゆったりと、下道、「明治通り」を通ってくるのをおすすめする。ナビを使うと、ちょっと違う経路を指すかもしれないが、ここは是非、明治通りを通る経路をとってほしい。なぜなら、明治通りは、旧唐津街道に沿って走っていて、お秋や金吾の歩んだ足取りと、ほぼ同じ道をたどることができるからだ。
途中、西新、藤崎、愛宕、姪浜、生きの松原を抜けて、今宿、そして長垂海岸と、お秋や金吾のたどった旧宿場町を通って、長垂公園へと着く。
Googleのレビューに書かれているとおり、訪れる人はほとんどないと思われ、管理もあまり行き届いているとはいえず、かなりさびれた様子がうかがえる。
アクセスも、カーブのちょうど終わるぐらいのところに突如として現れるという感じで、相当気をつけていても、うっかり通り過ぎてしまうような場所だ。
車が2・3台停められるスペースが公園前に、あるにはあるので、そこに車を停めて、公園に入ってみる。
長垂山の岩脈は、国指定天然記念物に指定されているそうだ。
公園の案内図が登り口あたりに立っている。この図をたよりに散策してみる。
すこし左(東側)に行くと、展望台に上る階段がある。階段の材木が所どころ崩れているが、手入れもされず放置されている。
けっこうな階段を上っていくと、こんな展望スペースが設けてある。
そこからは、なるほど! 「名娼明月」の馬子の親爺の言っていた、玄海・能古島を一望できる絶景が広がる!
正面に見えるのは、能古島。「能古島アイランドパーク」という、年中花いっぱいの植物園がある島だ。
展望台から、さらに上に上っていく道があり、進んでいくと…
観音様とお地蔵様のおわす高台がある。
さらに長垂山の頂上に向かう道があるのだが、かなり荒れている様子だったので断念。馬子の親爺の家(山賊屋敷)は、麓から半里ほど登ったところと、「小説・名娼明月」には書いてある。金吾が仇・矢倉監物をみごと討ち果たし、山賊どもと斬り合った場所は、ここよりも、もう少し上だろうと思う。
下りは階段を通らず、階段のない下り道を降りていく。金吾は馬子の親爺の馬に乗って、こんな山道を登っていったのだろう。
細い山道を下っていって、麓に着くと、眼前に玄海の海が再度広がる。
道路を渡って海の写真を撮る。きれいに澄んだ水だ。海岸沿いには、こんな岩がたくさんあって、海岸線のドライブは、絶景が続く。
道路から福岡市中心部方面を望む。正面に福岡タワーが見える。
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「番外編」になるが、この日は、さらに西に進んで、糸島市志摩桜井の「つまんでご卵ケーキ工房」に立ち寄った。
「つまんでご卵」は、自社鶏舎を持っている。メンドリたちは、一般の養鶏場のような狭いケージに押し込められているのではなく、いわゆる「平飼い」、広い鶏舎の中で、地面の上で飼われている。そこの卵の黄身は、箸でつまめるという。その卵が使われているロールケーキを食べてみた。うむ!たしかにおいしい!
女性に人気があるようで、平日だというのに、けっこうお客さんが次から次へと立ち寄っていた。