イマジナリーおじさん

「最近、アニメとかに出てくる『男の子の股間にこぼれたアイスを女の子が拭う』みたいな萌えシチュエーションがめっちゃ不快なんだよね……。子どもの頃は気にならなかったのに。うるさいPTAみたいなのがギャーギャー騒いでても『好きにさせればいいのに』としか思わなかったの。なのに今は、作ってるおじさんやそれを見て喜んでるおじさんの像が透けて見えて不愉快になってしまう」

「わかる……。イマジナリーおじさんが見えちゃうよね」

「女子をシモい目で見る誰かがいるっていう事実がもう気持ち悪いからさぁ……。意識させないでほしいんだよね、そういう嫌な現実を。子どもの頃はそういうのがいるって知らなかったから気にならなかったけど、大人になってしまうと……」

「イマジナリーおじさんを頭から追い払えればいいのにね。そしたらもっといろんな作品が楽しめるのに」

「いや〜無理でしょ。だってイマジナリーおじさんは、私たちの実体験や実際に触れた実像に基づいて作られてるもん。Twitter開けばそういう人はたくさん目に入るし、実際に会う周りの人だってシモい目を向ける対象が違うだけ(2次元とか3次元とか)で、結局は同根だし。日常的に触れてる汚物をないものとして扱うのは無理。それこそ想像力が現実を凌駕するくらい無限大じゃないと」

「そうだよね……イマジナリーおじさんは『嫌な現実』の凝縮だもんね。でもそれを無視できれば、もっといろいろなことを自由に楽しめる気がするんだけどね」

「ね。本当に、コンテンツを見て吐き気がする回数が増えた……。嫌な経験をたくさん積んでしまって、不快センサーが敏感になってるから、イマジナリーおじさんを消去するには、それこそ脳をぶっ壊して今までの記憶を消すしかないんじゃないかと思う」

「でも実際にはそんなことできないから、嫌な気持ちにならないためには、ただ私たちが好きだったアニメ鑑賞をやめるしかないという……。結局『嫌なら見るな』が正論ヅラしてまかり通ってる世の中だから、もう何も相手にしたくねぇ」

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