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成人式スピーチ文(全文)

 平成23年度、新成人1383名を代表いたしまして、お礼の言葉を申し上げます。本日はお忙しい中、市長様をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、このように盛大な成人式を開催していただきありがとうございます。また、多くの皆様から私たちのためにお祝いと激励の言葉をいただき、新成人一同心からお礼申し上げます。

 私たちが生を受けてから、早20年が経ち、本日より大人の仲間入りをいたしました。
先日大学である先生が「大人ってどういう人なのか」という質問に、「稼ぎがあり両親に食いっぷちを助けてもらわなくても大丈夫な人」「自分のしたこと・話したことに責任を持てる人」と教えてくださいました。
 わたしは、この言葉を受けて、「今までは親を始めとする多くの方々に助けて貰いながら今日まで生きてきた」ということにあらためて気づかされました。
 しかし私には、どのような存在が「大人」というのかが、まだよく分かりません。
そこで、この度「二十歳(ハタチ)の抱負」を述べる機会をいただいたので、私は「こういう大人になりたい」という目標を3つ考えました。

 一つめは「共感性」を持った大人になるということです。この言葉は私が通っている大学の「教育理念」でもあり、この理念を意識しながら学業に励むようにと教えられています。
例えば、昨年起こった東日本大震災を例にあげてみます。関西圏に住んでいる私達は幸いなことに直接的な被害をこうむりませんでした。でも、同じ日本の中で起こった事を私達は見過ごしてはいけません。私達も同じように悲しみや恐怖を分かち合い助け合わなければなりません。そのためには「共感性」がなくては心から助け合うことが出来ないと思うのです。
では、どうすれば共感できるのか。それは「学び、知る」という事です。地震の詳細を始め、原発問題や地震によって起っている問題を、様々な角度から詳しく知る。それを知った上で悲しみを共感することができる。何も知らなければ、気持ちのこもっていない「大変ですね」という言葉しかかけられないと思います。今の学びを活かし「共感性」を持った大人になることを目標にしたいと願うのです。

 二つめは「自分の声で気持ちをこめて言葉を伝えれる大人になる」ということです。私は高校生のころから放送部で声や映像を使って「伝える」ということをしていました。その活動が楽しかったため、現在では「朗読ボランティア」をしています。その活動の中で「戦争体験」についての朗読をさせて頂いたことがありました。朗読の内容は中国残留孤児についてです。このお話しを読んだ時に、私は思わず涙してしまいました。来て下さった多くの方々も涙を流され「朗読してくれてありがとう。この問題について君達も忘れないでいてね。」とコメントを下さる方もいらっしゃいました。今日では、戦争体験者の方々の人数が減り、戦争の悲惨さを語り伝えることが難しくなっています。けれども、この経験から「私は戦争を体験していないけど、朗読することで伝えることができるんだ」ということに感動を覚えました。そして、私はずっと「朗読」を続けていこうと決心しました。将来は声を使って、もっと多くの方々に大切なメッセージや情報を発信できるような職業に就きたいと思っております。

 三つめは、母のような大人になりたいと思っています。
私が間違ったことをしたときに全力で叱ってくれた母。反抗をしたこともありましたが、そのおかげで今の自分があります。厳しく叱ってもらったことを今あらためて感謝しています。また、悩んでいたら一番に相談に乗ってくれて解決策を見つけてくれるのも、母でした。この母の優しさにも深く感謝しています。
私も将来、結婚し、子どもが出来たら、子供の事を大事に思い、厳しさと優しさを兼ね備えた母のような人になりたいと願っています。
さて、私自身の目標や感想を述べさせていただきましたが、ここにいる新成人の皆さんもそれぞれが目標や感謝の思いをもって、今ここに集っておられることでしょう。皆さんと共に新たな一歩を力強く踏み出していきたいと思います。
 とはいえ、本日成人式を迎えたばかりの私たちはまだまだ未熟です。人生の諸先輩方、これからも変わらずご指導のほど、よろしくお願いいたします。
 最後になりましたが、本日ご臨席賜りましたご来賓の皆様、私たちを支えて見守って下さっている家族、また、このような華やかな成人式を催してくださいました関係者の皆様、すべての方々に深く感謝を申し上げお礼の言葉とさせていただきます。


<あとがき>
阿部さんが
「書けば、書いた先に行ける」という
言葉をおっしゃっていたことを思い出した。
先に進めますようにと祈りを込めて。

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