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「君が心に棲みついた」感想(覚書)

(2020.6月 ふせったーより)

※ネタバレ等含みます


「私は、星名さんのお母さんじゃありません」は私が言いたかった言葉だったなぁって。や、言ったんだっけ。あなたの傷を一生を背負っても良いと思った、でも無理だったんだ。

https://realsound.jp/movie/2018/03/post-173733.html

人に流される、人に合わせる。
でもそれは、人の心が理解出来るからで。
「凪のお暇」でも思ったんだけど。そればっかりが悪い事じゃないんじゃないかなぁと。

考えを読まれる、気持ちを感じ取られるって時に残酷だ。でも仕方ないんだ。こっちだってどうしたら良いか分からない。辛い、苦しい記憶が流れ込んできて、少しでも癒せたらと思った。思ったんだよ。

ぽつりぽつりと星名が言う。見せる。
過去は消せない、忘れられない。
だから、自分が欲しかった言葉をかけて、自分を肯定してくれる駒を増やす。自分を絶対に裏切れない人を増やす。そして呪いをかける。見ていて、ああ、上手な人だと思った。呪いをかけ慣れている人。依存関係に慣れている人。

人に呪いをかけても、本当に自分が報われる訳ではないのに。それをきっと心のどこかでは星名も分かってるんだろう。それでも、不安が、不安で、押し潰れそうなんでしょう。過去からの虐待で。自己否定で。だから、この一瞬を逃げる為に他人が絶対に肯定するように仕向ける。【俺は間違ってない】って思いたいから。

他者を利用するのが、悪だと言うけど。
その人自身もまた、被害者で。
誰が悪いなんて言い出したらキリがない。
自分が一瞬でも救われる為にかけた呪いを、関係の無い赤の他人の誰が責められるんだろうねえ?

「私は、星名さんのお母さんじゃありません」
呪いをかけるのが、本当の救いじゃないと伝える。それは、呪いをかけられた側から発信する事でしか意味が無い。でも、他人の人生を背負って生きるなんて無理なんだ。だから、やっぱり、この言葉なんだと思った。

愛されたい。でも愛されたくない。
与えるのが上手で。受け取るのが下手くそで。
自分が傷付いている事に鈍感で。
他人に傷つけられる事に敏感で。
死ぬほど人間を恨んで。
でも他人に希望と温もりを求めたくて。
愛されたくて、繋がりを持ちたくて堪らないのに、そんなものはいらないと言って。

それを【子供】という一言にまとめるのは、
酷く簡単で、とても難しいなぁって。

だって、
愛されている実感が欲しかっただけでしょう?
それをその時に得られなかったから。
それを求めているだけでしょう?
その行為を誰が否定出来るんだろう。

星名が言ってくる傷付ける言葉は、
きっと自傷行為でもあって。
それで傷ついてくれる事によって、
自分は間違ってないと確認して。

異常じゃないけど、異常でいたい。特別でいたい。特別じゃなきゃ愛されなかったから。必要ないと言われたくないから。



これを忘れられない私も、どこか捕らわれてるんだろうねぇ。愛されたいって泣く子供がいたから、つい撫でたくなってしまったんだよ。抱き締めてしまった。だって私も愛されたかったから。

後悔はしてない。
でも、他人の為に生きるなんて決心は捨てた。
自分の為に生きないと、私は死んでしまう。
もっと自己中に生きていく。
ただ、ふと色んな拍子に思い出すんだ。

好きだとか嫌いだとか、そんな感情はない。
だって、誰でも好きしかないから。
好意が来たら同じ好意で返すだけ。
でも、恋愛だなと感じるとやっぱり恐怖だ。
【私を好き】って信じられない。
そのくせ愛されたくて堪らない。

めんどくさいなぁと。
だから、いっそ一人で生きてく!と誓いを立てた方が楽なんだ。暗闇に消えていった、星名の事は遠い記憶にもっていきたい。あの人はいた。でも、その痕跡は薄くなっていってほしい。今思うのはそれだけ。

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