12日目:論文読み雑記

朝からヘビーな?論文を読む
遺伝子工学の知識に乏しいため、教科書等と見比べながら読む必要あり。
今までずっと同じフォーマットで続けていたが少し物足りない気がするのでTAMMICで論文を要約してみる。
ちなみにTAMMICは
Tiele, Author, Motivation, Method, Insight, Contribution summaryの頭文字


Tiele


Genetic and molecular determinants of polymicrobial interactions in Fusobacterium nucleatum

Author


Chenggang WuHung Ton-That

Motivation


どんな課題や問題点を解決しようとしたのか?


Fnは口腔内だけでなく、口腔外の様々な環境(e.g. プラセンタ、羊水など)で毒性をもつ。Fnのコアグリゲーションが毒性に影響するかどうかはいまだに明らかにされていない。


既存の研究で足りないところはどこだったのか?


Fnの遺伝子を操作するための堅牢な手法がなかった。そのためこの研究ではtransposon mutagenesisシステムを利用し、コアグリゲーションしない株をスクリーニング、トランスポゾンがradDに挿入されていることがわかった。



Method


どんな実験をしたか?なぜその実験設計でよいと仮定したか?

Tn5 transposon mutagenesisを使用した。
1.プラスミドの作成
2.複製プラスミドの部位特異的突然変異
3.Fnの遺伝子ノックアウト
4.コアグリゲーション能欠損株のハイスループットスクリーニング
5.コアグリゲーションアッセイ
6.RNA-seq
7.RT-qPCR
8.ルシフェラーゼアッセイ
9.LC/MSでリジン

10.ウェスタンブロット
11.マウスへのFn投与

実験しすぎ

Insight


(この辺はdiscussionをまとめれば良さそう)

どんな結果が得られたのか?どんな条件だと上手くいって,どんな場合は上手くいかなかったのか?

1.ゲノムワイドトランスポゾン突然変異スクリーニング
2.FnのコアグリゲイションにおけるTCS CarRSとRadDアドへジンの相補的役割の発見
3.CarRにより制御される大きなレギュロンをRNAseqにより発見
4.CarRS TCSはFnのクリティカルな毒性因子を構築する

以上の結果が発見された。

ゲノムカバレッジの3倍のTn5 transposon mutant libraryを作成し、Sgと共凝集しない変異株をスクリーニングした。続くシークエンスにおいてよく知られているRadDだけでなく、報告のない9つの遺伝子の関与を発見した。
radDの他に二つの外膜遺伝子が見つかったが、radDは40回挿入されたのに対し、他の二つは1回であった。これはradDのクリティカルな役割を示すものだと思われる。
もっと重要なのはCarSRの特にCarRで、CarRの欠失によりradDは大きく発現を促進される。(CarSの欠失でradDは低下)
(TCSにはSとRがあるがSはsensor、Rはrepressor)
CarRはまた、LMPの酵素を抑制する。リジンはFnの共凝集をブロックする。
RadD 及びLMP(lysine metabolic pathway)の欠失株で最も重要なのは共凝集にとどまらず、その毒性にも関与することだ。
要は以下の図を参照にすれば良いであろう。

何がCarSを反応させるかはわかっていないということであろうか。
CarRがRadDやLMPをrepressionしていることが一番大事なこと。


新しくわかった知見はなにか?他のアプリケーションやシステムでも使えそうな知見は何か?

CasSRシステムによりコアグリゲーション及びビルレンスが制御されていることがわかった。今回のTn5 transposon mutagenesisシステムは非常に大変だが遺伝子改変の難しい本菌には有効な研究手段であると思われる。

Contribution summary


「[Author]は[Motivation]という課題のため,[Method]を行い,[Insight]がわかった.」”[Author] did [Method] to solve [Motivation] and found [Insight].

Chenggang WuはFnのコアグリゲーションによるヒトへの毒性の評価のため、Tn5 transposon mutagenesisによるランダムノックアウトを行い、CasSRというTCSがRadD及びLAMPを制御し、早期出産へ影響を与えるということがわかった。



菌体外のリジンはRadDに結合してコアグリゲーションを弱める。(RadDは小アグリゲーションのインヒビター)TCSであるCasSRはリジンをを利用するための遺伝子(KamAなど)やコアグリゲーションファクターであるRadDを制御している。KamAやCasRの変異株では菌体外のリジン存在量が増加し、コアグリゲーションがブロックされる。そしてRadDがupregulateされて、早期出産への毒性が弱まる。一方でRadDやCasSの変異株ではRadDがdownregulateされて毒性が強まる。

Fnのearly colonizerとのコアグリゲーションはL-arginine、late colonizerとはD-galactoseにより阻害される。これにより特異的なレセプター及びリガンドがあることが示唆される。(Fap2はD-galactoseを阻害することによりPgとのコアグリゲーションを制御する)
グラム陽性菌とFnのコアグリゲーション阻害はアルギニンで生じる一方で、グラム陰性菌との阻害はリジンにより生じる。現在までどのようにリジンがコアグリゲーションを阻害しているかは明らかにされていないが、その大きな障壁として、この細菌には堅牢な遺伝子操作手法がないということがある。


編集後記:
このレベルの論文は実験が多すぎて、まとめるのが難しい。
やはりinsightを把握するにはdiscussionをあたるのがいいように思える。
詳しい実験方法は本当に知りたいところだけを読むのがようであろう。まとめる際に重要なのはそこではなく、何をすることで何が知りたかったのかを書くこと。
今回はかなり雑なまとめだが許していただきたい。

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