見出し画像

危険なのはアメリカだ/Pearls and Irritation

By Colin Mackerras
2023.04.16

AUKUSの意味するところは、中国がオーストラリアの安全保障にとって危険であるということである。

中国は支配を企む侵略的な国であるという、オーストラリアの公式政策に近いものだ。

しかし、中国の歴史を見ると、その軍隊は防衛のためのものであり、侵略のためのものではなく、対外的な軍事力を行使したケースは非常に少ないことがわかる。

習近平のもとでは、自己主張が強く、影響力(特に経済)を拡大することに熱心かもしれないが、政治的・軍事的な侵略の兆候はない。

それどころか、

常に対外的な軍事力を行使し、何としてでも支配を維持しようとするのがアメリカ

である。

朝鮮戦争が勃発したのは、1949年10月1日に中華人民共和国が誕生して1年も経たない頃である。

第二次世界大戦後の韓国史は複雑で、ここで追求することはできない。

しかし、1945年に敗戦国日本から独立するやいなや、1948年8月15日に米国が大韓民国(韓国)を、9月9日に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を設立し、分断国家が出現した。

アメリカの支配の下、最初に正式に分割に動いたのは南側であった。

1950年6月、北が南を攻撃したとき、アメリカは自らのリーダーシップで国連に介入させた。

中国が関与するようになったのは、1950年10月、米国が積極的に北上して新興国である中国を侵略すると脅した後である。

しかし、米国の意向で、中国は侵略を非難された。

はっきり言っておくが、この戦争に最初に参加した外国は中国ではなくアメリカである。

1953年の休戦後、1958年までに中国軍は北部から完全に撤退し、アメリカ軍は現在も南部に留まっている。

危険なのは、中国ではなく、神から与えられた世界支配の権利を前提とするアメリカである。今日に至るまで韓国を覆う平和条約は存在しない。

朝鮮戦争以降、中国が国境外の戦争に巻き込まれることはほとんどない。1962年にはインドと短期間の国境戦争を行ったが、その是非については極めて大きな議論を呼んでいる。

欧米のメディアはほとんどインドの言い分を報道したが、故ネヴィル・マックスウェル(1926-2019)やグレゴリー・クラークなどの学者は、中国が完全に立派な事件を起こしていたことを説得力を持って示している。

中国が軍隊を派遣して他国を攻撃したのは、1979年2月と3月、ベトナムのカンボジア侵攻に対応したベトナムが最後である。

この短い戦争の間、中国は首都を奪おうとせず、ベトナム政府を変えようともしなかった。一方的に撤退したのである。

つまり、1949年以降、中国軍が国境を越えて戦う最も長い戦争は、今でも朝鮮戦争なのだ。

戦争に参加した最初の外国から不当に侵略を非難され、その世界的な力によって、米国の見解が何十年も定着してしまった。

朝鮮戦争以来、アメリカはベトナム、イラク、アフガニスタンなど、数多くの戦争に参加し続け、オーストラリアはただボスの後を追うように参加した。

印象的なのは、米国がこれらの戦争に負け、屈辱的な撤退に終わっていることだ。


米国はイデオロギー的な正当性を打ち出そうとしたが、しばしば自国内からの抗議によって攻撃された。また、現在のウクライナ戦争のような大規模な代理戦争にも巻き込まれている。

中国とは対照的に、アメリカは自国の国境外に何百もの軍事基地を持ち、「民主主義」と呼ぶイデオロギーに適合しない政府を外国に多数設置している。

欧米では、習近平のもとで中国は以前はそうでなかったとしても、侵略的な国家になったと思い込んでいる人が多い。

中国が世界情勢においてはるかに自己主張が強いのは事実だ。

しかし、中国が攻撃的になったという兆候は見られない。自国の領土の外で武力を使おうとしている兆候はない。

台湾については、国際社会が台湾を中国の一部と認めていること、そして台湾が国連に単独で議席を持っていないことを忘れてはならない。

米国は中国を煽って暴力で台湾を奪還しようとしているのだろうが、今まで成功していないのである。

中国の政策は今も昔も、台湾を奪還して国を統一したいが、武力行使は最後の手段にとどめ、平和的な統一を望むというものである。

中国は、貿易や投資を通じて影響力を拡大している。

一帯一路構想は、中央アジア、アフリカ、中南米、そして南太平洋にまで、中国の経済的、そしてある程度の政治的影響力を拡大していることはご存じのとおりだ。


中国が米ドルに代わって人民元などの通貨を取引し、基軸通貨とするとの報道が増えるほどだ。

欧米諸国、特に米国は、中国の影響力の増大に警戒感を示し、それを阻止するためにますます厳しい措置をとっている。

しかし、

中国が行っていないのは、軍事基地の設置や現地政権の転覆、さらには貿易相手国へのイデオロギーの浸透

である。

その意味では、アメリカよりはるかに危険度は低い。

習近平が語るのは、支配ではなく、人類共通の共有の未来である。


欧米の解説者は、それは言葉だけで、本当は心の中に欺瞞と征服を隠していると思いがちだ。私はその根拠を見いだせない。

中国が望んでいること、中国の利益になると思われることは、2つある。

ひとつは、外部からの攻撃から中国を守ること。

もうひとつは、中国が重要な極のひとつとなる多極化した世界。


中国が支配する一極集中の世界を望んだり、目指したりしているわけではない。

確かに、米国が中国(やその他の国)に対して相対的に衰退しているのと同時に、中東や平和プロセスにかつてないほど関与するようになっている。

個人的には、そうであってはならない理由が見当たらない。偉大な文明国として、広範囲な影響力を持つ権利がある。影響力は支配とはまったく異なるものだ。

米国は現在、自分がナンバー1であると思い込んでいる。その地位を維持することが最大の目的である。


そのために、中国を抑えるための政策をとっている。

米国が心配しているのは、中国の成功である。これほどまでに貧しく、後進的な国が、アメリカよりも長い平均寿命を享受できるほど繁栄しているのはなぜだろうか❓

(2020年の世界銀行のデータでは、中国が78、米国が77となっている)

オーストラリアが、この危険で信頼できない国、アメリカに服従している姿は、恥ずべきものだ。

自分たちに関係ない戦争に同盟国を盲従させてきた実績は、独立国としてあるべき姿、目指すべき姿にそぐわないものである。

(了)

引用元

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?