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かんしゃらの纏が最初に覚える3つの練習法

今日はかんしゃらの元纏長としてのお話。
今年度ようやく後輩に長を引き継げました。
引き続き振付はするのでお楽しみに。
かんしゃらの纏長として5年、纏は7年、
他のチームさんへの振付も何件もさせていただきました。
そして集大成として旗纏だけのチーム、まといんちゅを作り、やいろさんと共演。
鳴子より旗の方が長いよさこい人生になってます。
そんな経験を、これから旗を振り始める方にちょっとでも役立てればと思い、私がやってきた指導法を書きます。
※かんしゃらの旗のサイズは1.6m x 1.2m、昨年度は1.7m x 1.3m、その布に2mのアルミポールを1.8mくらいに少し縮めて使っています。

・かんしゃらの纏、三原則
うちで旗を振る時に、意識して練習してもらうために、最初に3つ伝えていることがあります。
"棒を握らない" "筋肉に頼らない" "旗の面と軸を把握する" の3点です。
それぞれ説明しますね。

まず、"棒を握らない"ことですが、正確には基本的には旗を5本の指全部で握らない、と言うことです。
普通は旗を落とさないようにどうしてもギュッと握ってしまいますよね。
ですがそうすると手首が固まってしまい、可動域が小さくなってしまうことが分かると思います。
そうなると、振付によっては余分に腕を動かしたり、無理に手首を捻ったりすることになります。
それは無駄なエネルギーであり、固い踊りに見える元となってしまうので、真っ先に注意しています。
基本的には親指と人差し指で摘んで持つ、鳴子と同じようなイメージです。そうすれば手首を無理に捻ることなく、可動域を広げることができます。
ではいつ5本の指で握るのか?
それは振りの初速のタイミングです。
一番最初の動きだしで一瞬5本全てで力を入れて旗の方向と力の入れ具合を決めてやり、旗に初速を与えてあげる。その後すぐに親指と人差し指だけに最低限の握力を残して残りの3本は添えるだけ。
そうすると滑らかに旗を返すことができ、上手く緩急がついた振り方が出来るようになる
と思いますよ。

次に"筋肉に頼らない"こと。これはとても大切だと思います。ではどうやって振るのかというと、重力とモーメント、そして骨です。
(もちろん筋肉も最低限必要です。)
まず重力ですが、旗の持ち手のところを支点として考えれば、旗側の方が落ちると思います。つまり、旗を上から下に振る分には何もしなくても基本的には勝手にその振り付けになるということ。
逆に下から上に振るには重力に逆らうため、そこは筋肉のサポートが必要だと言うことです。
纏の基本振りである左右に無限大の形を作って振る、通称"8の字"を例に出すと、下から上に振るときは、一瞬力を入れてあげて振り上げる。あとは勝手に上から下に降りてくるので、持ち手でガイドしてあげて、また下に降りてきたら、上向きの力を加えてあげる。
というようなイメージです。
この8の字もテンポによって力の強さや掛ける時間が変わります。色んなテンポでその時々の最低限の力を見つけてあげるようにするといい練習になりますよ。

モーメントは旗を如何に楽に回転させるか、もしくは楽に早く振るかを考えるのに役立ちます。
まず楽に回転させるにはテコの原理のように、持ち手を支点として固定し、反対の手で、棒の柄の方を逆方向に弾くように押してあげる。通常よりも小さい力で、素早く旗が動くのでキレがあるように見えます。
このやり方が押す力と動く力が逆方向だとすると、同じ方向に動かすともっと早くなります。
正確にいうと、棒の先端の方向に引っ張ると、最も抵抗が少なくなり、速いパッセージにもついていけるようになります。
かんしゃらでは纏振りは極力鳴子振りと合わせることを大切にしているため、稀にとても早い動きを要求する時があります。その時にこれらの考え方を理解できていることがとても役に立ちます。
そして、重力とモーメントを組み合わせて私が最も早く振れると考えているのは無重力状態に引っ張りを入れてあげること。
旗を下から上に振った時、どこかで頂点になり、運動エネルギーが0になるタイミングがあります。その瞬間に引っ張りで新しい運動エネルギーを叩き込む。これが1番早いと思っています。

そしてそれを止めるのに骨を使います。
ここで筋肉を使って止めると、旗に余計な力が逆方向に加わるのでスピードが下がってしまいます。
なので、旗の柄を肩甲骨に当てたり、他の手のひらに当てたりして物理的に無理やり止めてしまう。
そうすればスピードを失うことなく、無駄なエネルギーの消費も抑えられます。

肩甲骨止めのシーン

最後に"旗の面と軸"について。
肌を回転させるとそこには面と軸が出来ます。
まず面は、見ているお客さんに対して最も面積が大きくなるように振ることが基本です。
また旗な形が崩れると面積が小さくなるので、旗の形が崩れないスピードで振るように調整するのが良いでしょう。夜外で練習するときに、外灯に照らされる自分の影を見て練習すると効率が良いです。

次に軸ですが、この軸の角度を他のメンバーと合わせることが、揃って見えるようにするには必須の考え方かなと思っています。
振付を練習しながら、今旗の軸はどっち向きだろう?というのを自分の目で確認しながら練習し、理解することがとても大切です。
旗は自分の手足より大きいですから、ちょっとのズレでも大きなズレになってしまいます。
そのためには今自分の旗はどんな角度の軸で、どんな大きさの面を作っているか。綺麗な面で、正しい軸で振れているな。これらを意識して練習するだけで上達スピードはアップするはずです。

これら3点がかんしゃら纏衆の三原則です。
旗の水平の取り方や、メンバーから曲芸と言われる指テクニック集、あと振り付けの時に何考えてるのか?などお話ししたいことはあるのですが、また次回とさせていただきます。
誰かの役に立てば幸いです。

かんしゃら
代表 みなと


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