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ピンクに彩られたディストピア

女の子は本当にピンクが好きなのか。
読み終わって改めてタイトルを見ると
もう一つの母性のディストピア
そのリアルが此処にあるように感じる。
初版は2016年3月、今から4年前である。
その当時から日本は、女の子をとり巻く環境は
少しは変わったのだろうか、
生きやすくなったのだろうか、
この本はストレートにそう問うてくる。
昨年、2019年に(アグリードールズ」が
映画化されアメリカで公開されたが、
その賛否以前に日本では
然程話題にすらならなかったように記憶している。
その基となる「アグリードール」は2001年に
ニューヨークに住むイラストレーター
デイビッド•ホーヴァスとサンミン・キム夫妻により
生み出された10インチ程の多関節ドールで
2006年にトイ・オブ・ザ・イヤーに選ばれた
アグリー=個性的でユニークなキャラクターで構成されたアメリカで人気のある人形である。
日本の公式サイトでは以下のように紹介している。
「君は君のままでいて。表も裏も君なんだ。
誰にだってある、ひねくれた感じ。アグリバースの世界では、UGLYは個性的ってことなんだ。
もし美しいことが正しいって思うなら、その常識という壁を破って欲しい。
みんな一緒なんてつまらない。
君はそのままでステキなんだ。むしろ、自分の個性をみんなに見せびらかしちゃおう。
君がこの世界に生まれてきたのには意味があるんだ。
本当の自分を隠すのはやめよう。
この世界のルールは、自分の個性を守ることだよ。
ほら、それが君の個性だって、すっきりと認めてあげよう。
君らしさを見せてくれたら、
この世界も君を受け入れてくれるよ。」
ピンクに代表される派手で
如何にもなパステルカラーで彩られず、
スーパーヒーローのスター性も
スーパーモデルの華やかさも無く、
可愛いというよりは地味で醜くもあるドール。
この本を著者が執筆している2015年を最後に
日本の公式サイトは更新されていない。
「Think PINK」と表紙に大きく銘打たれたこの本で
著者堀越英美は、彼女の3歳の長女を前に
その歴史から紐解いていく。
そしてウーマンリブからフェミニズム、ジェンダーへと歩を進める中で
何故日本の女性が肯定感が低く、社会進出がおくれているのか
その日本独自のカルチャーを
人形をはじめとする玩具や
幼少期に目にするアニメ、子供社会から大人社会に至るまで
常にカテゴライズされる女の子らしさ、
といったものを様々に上げ、思考を積み重ねながら
女性の仕事とみなされ'がちな’職業全般を指す
ピンクカラー、
そこに追いやる男性追いやられる女性、
に至るまで
「ピンク」とは何なのかを考察し、我々に、現代社会に問いかける。
女の子は本当にピンクが好きなのか、と。

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