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『1日30分であなたも現代の魔術師になれる! 混沌魔術入門』を読んで

 僕は怠惰で欲の深い人間です。この夏も、自室で寝そべっていたら金と名声が自動で運ばれてこないかなぁと、いつも頭の片隅で思いながら暮らしてるのですから。そんな僕にピッタリな本がこの課題図書でした。

 巷に溢れるスピリチュアル商法への批判から始まる本書は、混沌魔術なる魔法をを身につけ、それを用いればたちまち現実を改変し、己の願望を叶えられると声高に書き表していました。曰く、混沌魔術をマスターすれば過去を変えることも未来を知ることもできる。ダイエットに成功できれば嫌いな人間を呪殺できる。


 クトゥルフの神々や初音ミクを召喚することもお手の物だと主張しています。これはすごいぞ、大興奮した僕はさっそく読み進め、魔術を己の者にしようと挑戦し、そして序盤でいきなり挫折してしまいました。混沌魔術を使うための訓練がものすごく面倒くさそうだったからです。

 まず素人が最初に行う魔術の基礎修行からして、不動法といって、同じ姿勢のまままばたきもせず20分以上も静止し続けなければならないのですから、初めから敷居が高すぎます。

 また、この不動法を筆者は修行開始から半年で身についたと語っています。1日30分とは聞いてましたが、こんなに長い期間同じ行動を続けろなんて聞いてません。その後も、不動法を行いながらよく分からない呼吸法をしたり、不動法と呼吸法を行いながら思考を止めたり、一点集中したり、明らかに僕が苦手なそうな技能を習得しなければ混沌魔術のスタートラインにも立てないそうです。もっと楽な習得法がないのかと文句を垂れましたが、そうした類のものは役に立たないと筆者に一蹴されてしまいました。

 僕は痛感しました。結局のところ、忍苦を伴わずして何か特別な技能を身につける方法など存在しないのだと。この夏を超えたらもっと真面目で、計画性のある人間になりたいと思います。


ご覧の読書感想文はこちらの企画に参加させていただいたものです

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