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リーグ戦を圧倒した "DRX"の十八番  パールを徹底分析!!!

初めまして、Phamと申します。
今回はVCT Pacificのリーグ戦において
圧倒的な強さを見せていたDRXのパールを分析していきます。

"DRX"のパールを分析する理由

なぜパールを分析するかについてですが
DRXは全9マッチの取得数 8勝1敗(勝率88%)
マップ数だと全20マップをプレイしており、
マップ取得数が16勝4敗(勝率80%)となっています。
その16勝のうち5勝(約31%)をパールが占めています。

全20試合マップ別勝敗数

対戦相手別のラウンド取得数

vs ZETA 13-5 攻めスタート
vs TLN 13-10 守りスタート
vs GEN 13-4 守りスタート
vs RRQ 13-2 攻めスタート
vs T1 13-9 守りスタート
OTになった試合はなく、大差で勝ちを収めています。
パールというマップがDRXにとって大きな柱になっているのは間違いないと思います。

構成

まずは構成から見ていきます。
リーグのWeek1,3(前半)とWeek5,6+SuperWeek4(※以下後半)で使用する構成が変わっています。
Playoffでは後半の構成が採用されていたので
現時点でのDRXなりの答えだと思います。
なので今回は後半の構成に着目していきます。

リーグ戦後半で使用していた構成

※プレイオフでも同じ構成でしたが
メンバー変更+チーム内でのロール変更がされていました。
プレイオフに関しましては今回は割愛させていただきます。

大前提として紹介したいポイント

この後はDRXの攻め方、守り方を分析しているのですが、大前提としてDRXというチームの強みを先に3つ紹介します。

①自分達のペースに相手を引きずり込む戦術。
➁味方との体の距離が近く、素早いカバー意識。
③柔軟な対応力と個人技の圧倒的なパワー。

上記3つがDRXの強みだと僕は感じています。
プラントとリテイクの成功率や個人技の高さから出るクラッチ力。
そして比較的新しく加入した、Foxy9という攻撃的プレイヤーの存在は、今回のPacificリーグにおいてDRXをさらに高みへ引き延ばしているように見えました。

ここからはDRXのパールの戦術を分析していきます。

①攻め-HGラウンド-

攻めは3パターンの戦い方があったので紹介します。

パターン①:Aサイト攻め(GENG戦で使用)

パターン①

初動はAメインをカスケード+ガイディングライト+ジェットで
Aメインを取る動きを行います。
このAメインを取る動きが後の試合にも響いていました。
ヴァイパーはB側でポイズンクラウドを使用しアクションを起こす。
起こした後はBの詰め待ちを行います。
キルジョイはMIDにタレット起き詰め待ちです。
広いエリアでアクションを起こしていたため、相手も簡単には寄る判断ができず、そのままAサイトに比較的早い段階でエントリー→プラントを仕掛けることができる。

Aプラント後の動き

プラント後はジェットのみがサイト内で時間を稼ぐ
ハーバー、スカイ、キルジョイはメインからの解除阻止(グレとスモーク抜き)を主に行っている。
ヴァイパーはゆっくりとアートを進行し、裏を取る動きを行っている。

パターン➁:Bラッシュ(T1戦で使用)

Bサイト手前まで取るセット

Bサイト手前までをカスケードとガイディングライトを使用。T1戦では相手の詰めていたジェットにガイディングライトが反応したので、追加でトレイルブレイザーを使っていました。
カスケードの手前まで取れたら、↓のセットを開始。

パターン②

DRXがよく使うBセットになります。
やはり重要になってくるのはコーヴの置く位置でしょうか、スパイク設置範囲のギリギリに端をいれることで敵がコーヴに入りづらくなります。
ジェットは耐え、残りはBロングに下がり、ヴァイパーやキルジョイの空爆を利用しひたすら解除阻止を行っています。

パターン③:AフェイクB(RRQ戦で使用)

初動の動き

パターン①で使用したAメイン取りを行い、すぐにB側へローテートする動き。相手のMID詰めをひたすら警戒し、B側のヴァイパーと合流していきます。
合流したタイミングで上の図のキルジョイの位置まで相手の詰めがあったため、そのままBサイトへセットは開始せずに一度MIDの情報を2枚で取り返し、MIDのアクションのタイミングでBサイトへのセットを開始(↓参照)

パターン③

プラント後はMIDアクションの二人がBロングに合流
スカイ、ハーバーは柱周りで耐えながら撃ち合う。
Bサイトの解除阻止にはヴァイパー、キルジョイが定点を使用していた。

攻めのHGラウンドの共通点

  • MIDへの(DDやアート)進行が一切ない

  • セット前に誰も削られない徹底した攻めの組み立て

  • メインをホールドからの緩急をつけた攻めがとても強力

  • プラント後全員がメインに下がるため、メインにモクをたかれた段階で解除阻止を行うのがやや難点であるように感じた。実際3試合中2試合はガチ解除を通されている。

②守り-HGラウンド-

守りの初動の配置は2パターンあったので1つずつ紹介したいと思います。

①Aは前目でBはリテイク前提配置

守りパターン①

Aメインをハーバー、スカイ、ジェットで取りに行く動き
Aメイン取得後をジェットのみをAメインに残し、残りの二人はアクションのあるエリアに寄っていく動き。この際ジェットはプラント音がなるまでひたすらAメインをホールドしています。
DDへの進行はヴァイパーのワンウェイスモークにて対応し、苦しくなった場合はBサイトへBリンクから下がることができる。
BサイトのキルジョイはタレットがBヘブンにあるため引きで情報を取りつつ、リテイク前提でCT、ヘブンをキープする動き行っています。

GENG戦では全員CTからリテイクがスタート

Bサイトリテイク

Bリンク、ロングの射線はハーバーのハイタイドで切り、
ホールにはスカイのガイディングライトで索敵を行いながら、進行する。
一人はホールを潰しに行き、Bリンク側もハイタイドから抜けてこないかしっかりと警戒しつつ正面にしっかり人数をかけてリテイク行っていた。
サイト内の撃ち合いで人数有利を作った後はハーバーのコーヴで楽々とガチ解除を通すことに成功している。

もしAに攻められた場合は?

上記に載せた守りパターン①でAメインを守ろうとしたDRXでしたが、相手の攻めがAアクションだった場合、どうしてもアートの進行を見る必要があるため一人は必ずAリンク側へ行かざる負えない状況でした。
人数不利を作られるよりは、人数イーヴンで守る判断を決めたDRXはサイト裏でリテイク配置に切り替えていきます。

相手がプラントした後の動き
※この時DRXのジェットはモク抜きで落とされてました

4vs5の状況からコネクターでヴァイパーが1ピック返して人数イーブンとなり、ヴァイパーはそのままフラワーへ合流
ここであえてAリンクにはいかず正面の数で当たろうとするのがDRXのチームらしい動きだと強く感じます。
スパイクにコーヴを被せ、4vs4の状況でしたがガチ解除を通してラウンド取得につなげていきました。

➁Bはサイト内でAはリテイク前提配置

守りパターン②

守りパターン①とAとBが入れ替わったような配置になっています。
Aサイトは完全に低いラインで見ていて、基本リテイク配置です。
BサイトはBロングでは当たらずサイト中で撃ち合うのを意識しているような配置でした。
BアクションがあったためハーバーはBサイトへ、DDはキルジョイがカバーに入り、サイト3人で当たれる状況を作っていました。
この後RRQが4人でBサイトへ(一人はDD進行)侵攻を開始しますが
スクリーン裏のジェットを活かし人数有利を常に作っていました。

守りのHGラウンドの共通点

  • 人数不利を感じたら無理に撃ち合いをせず、しっかりリテイクできる状況作り、リソースの温存を行っている。

  • 味方との距離が近いためカバー、トレードの速さがリテイクでも圧倒的に速い。足並みをしっかりそろえている。

HGラウンド全体を見て感じたこと

  • 武器やアビリティの数で差がないHGラウンドにおいて無理な撃ち合いはせず、しっかり人数をかけた戦い方を徹底している。

  • またHGラウンドのコーヴという最強のアビリティを軸にしっかりとした設置、解除のサポートを行っている。

  • 攻めはガチ解除を通されているもののプラント率は100%となっている。守りはリテイク率100%と攻守ともにラウンドを取るためのプランがはっきりとしている。

③攻め-バイラウンド-

次はバイラウンドにおける攻めのパターンを紹介したいと思います。

①Aリンクを挟み込み制圧する動き

Aメインからの人数かけたラッシュは無く、基本的にAは挟み込む形が主流となっています。

A挟みのセットアップ

初動はHGラウンドでも見せていた、Aメインのハーバー、ジェット、スカイの3人でとる動きを行い、残り1分近くまでホールド。
キルジョイ、ヴァイパーも初動はBとMIDの詰めを警戒しながら、残り1分近くで2人でアート側へ進行を開始。
Aサイト内ではハイタイドでサイト中を分断、ジェットはすかさずAリンク側へブリンクしてアート進行の二人と挟み込む形を取っている。
またそのままAにプラント後はヴァイパー、キルジョイはMIDに下がり、そこから空爆を行っていた。

➁相手に両方のメインを確保された時の奇策

片方のメインが相手のウルトなどで進行できないかつ、反対側のメインが情報が取れてないときに使用していたアート攻めを紹介します。

アートを主軸とした進行

DRXとしては珍しいMIDが主軸となる攻め方ですが、恐らくかなり厳しい状況下で使用したものと思われます。実際このパターンを使用したのはこの一度きりで、作戦というよりはぶっつけ本番で使った可能性が高いと思います。
アートから進行する際のコネクター、フラワーの射線をハイタイドで切り、サイト内+ダグアウトはレコニングによる索敵かと思われます。
Aメインに関してはキルジョイ一人なのでアート側4人がメインに対しトレード前提で動いていました。
サイトまで取れた場合はデフォルトプラントからヴァイパーズピットを展開し、ヴァイパーのウルト内で戦う選択をしていました。
強力なウルトが2つあったからこそのアートを主軸とした攻めですが良くも悪くもDRXっぽくない余裕のない攻め方にも見えました。

プラントについて

DRXの攻めラウンド取得数は全27R中18R(約66%)となっていて、そのうちのお互いのバイラウンド10Rに対してプラント率は10R中9R(90%)成功しています。プラントまで行けなかったのは1回、解除されたのは1回、3試合中2回しか攻めのバイラウンドを落としていないことになります。

A攻めを見て感じたこと

  • Aに行くときも行かないときもAメイン取りを取りに行く動きを頻繁に行って、常にAにもBにも行ける選択肢を持っている。

  • Aメインのエリアを高確率で取っているため、緩急のつけた攻めが行いやすい&時間をじっくり使えるためアート側の2人とAメインのジェット主動から機動力を活かしたエリアを広く取れる挟みが使いやすい。

  • A挟みからのプラント出来た場合はMIDからヴァイパー、キルジョイの空爆が使えるため非常に強力な解除阻止が行えている。(相手はAリンクの情報がないため取り返しずらい)

③Bサイトへの強力なセット

Bサイトのセット
レコニングがない場合もほぼ同様

初動はBスロープにヴァイパーのスモークとスカイのフラッシュを使い、敵のBロング詰めを警戒。(ヴァイパースモークはここで回収)
その後カスケードでBサイト、ホールからの射線を切りながらサイトの手前までを確保。
そのままハーバーのレコニングを使用し有利状況を作りつつ、ジェットはホールへエリアを広げる。
相手はリテイク配置を取ることが多いので、プラントは安全にできる。
ジェットはホールでできるだけ耐える動きをし、残りはBロングでひたすら解除阻止を行う。ヴァイパースモークをスパイクに被せて、スネークバイトとナノスワームで最大20秒近く解除阻止が行えている。

B攻めを見て感じたこと

  • 開幕のスロープモクを毎回行っているため、相手視点Aメイン取りをされているものの、Bの可能性も捨てきれない状態。

  • DRX側がハーバーのレコニングを所有しているラウンドは最終Bのセットの可能性が非常に高い。

  • プラント後のBロングの撃ち合いは、解除阻止するためにスキルを構えてるヴァイパーやキルジョイがいるもののしっかりと前線がタンクの動きをしつつ後続のカバーが非常に固いものとなっている。

  • カスケードを使用しサイト手前まで取る動きは強力だがAメインと違い遮蔽物が少ないため、モク抜きが危険、トレードが取りづらい。

  • 設置がスムーズにいかなかった場合、ホールまでエリアを広げるのが少ないため相手に人数をかけられた瞬間Bサイトの構造的にかなりの不利状況となってしまう。

DRXバイラウンドの攻めの特徴

  • Aはメインとリンクの挟みが基本、Bはメインに人数を割くのが基本の攻め方となっている。

  • 基本MIDから強気に仕掛けることはなくAもBもメイン取りの意識が非常に高い。常に主導権を握っているような感覚。

  • 強力なメイン取りがあるものの、セット前をつぶされる可能性もあるが、DRXチームとしての強みのカバー、トレードの速さ、警戒力の高さがセット前の事故を限りなく低い。

  • 人数不利でプラントの状況がほぼなく、プラントさえしてしまえば強力な解除阻止があるため、ほぼ勝ち確定の状況を作り上げている。

  • 総じて相手の守り方に対して柔軟な対応力を見せている。

④守り-バイラウンド-

次は守りのバイラウンドのパターンを見ていきたい思います。

①Aメイン確保、Bのサイト遅延

守りパターン①

DRXの基本的な守り方が片方メインをジェットとスカイのガイディングライトを使い前目で情報を取る、①の場合はAメインを前目で取る。
反対側のサイトは引いて守り基本的に味方の寄る時間を確保するスキル配置
寄り切れている場合は相手の設置タイミングを潰す。
そうでない場合はリテイクへすぐ切り替えている。

➁Bのオペジェット、盤石なA

守りパターン②

①の逆サイトVerの守り方です。オペレーターは積極的にジェットが使用し、このBロングの長いレンジでもワンピック取って帰れるジェットの強みを最大限活かした守り方が強力となっている。前目の守り方で相手がスキルを合わせて取り返しに来た場合は、すぐにサイトまで下がりオペレーターののワンピックを狙う。①同様Aは寄り切れてればサイト内で撃ち合う、もしくはリテイクとなっている。

③MIDへのプレッシャー

守りパターン③

基本的に①②のメインの情報を取る守り方がベースだが、MIDを使う動きも何度か使用していたため紹介します。
この守り方でキーになるのはハーバーで、すぐにMIDへもBサイトへもカバーできる立ち位置にいることです。MIDは非常にリスクが高いですが、プレッシャーをかけることができれば、相手はMIDを取り返すか、早めにサイトを攻めないと行けなくなる苦しい状況に陥ります。
逆にワンピック取られた場合は、人数不利かつアート、DDどちらも相手が使える状況になるので、サイトに人数を割いて守るやり方が厳しくなってしまいます。

守りパターン④

ベースの守り方は変わらないのですが、④の守り方ではDDにヴァイパーのワンウェイスモークを利用した守り方を行っています。
MID進行が多い敵に対して対策するように使用していた印象でした。

リテイクについて

DRXの守りのラウンド取得数は27R中21R(77%)となっています。そのうちのお互いがバイラウンドの時のリテイク率は10回中8回と80%の成功率を誇っているためDRXはリテイクに大きな自信があるように感じます。
この高い成功率を誇っている理由を3つにまとめて紹介していきます。

①リテイク時におけるコーヴのプレッシャー

ハーバー構成の魅力であるコーヴによる解除ですが、DRXはこのコーヴを活かした動きが強力です。DRXの強みともいえるトレードの速さと一人一人のフィジカル、リテイクで人数有利を作った瞬間のコーヴによるガチ解除。
またはコーヴを使って解除フェイクで相手をおびき出し殲滅する動き。

②2コントローラーを最大限に活かす動き

リテイク時はメインの射線を切るためにヴァイパーのカーテン、またはスモークが高確率で存在しています。そこにハーバーのハイタイド、コーヴと相手からするとスモークを抜けるという不利な状況を常に押し付けられます。
また1コントローラーだと必ずリソースが切れる問題がりますが、ヴァイパーもハーバーもシグネチャーアビリティでカーテン、スモークを使用できるため、時間を使えば使うだけリテイクに必要なリソースが回復していきます。

③数の暴力>エリア取り

リテイク配置を取ったDRXは相手を囲い込むというより、正面からの数でリテイクを開始しています。

正面からの数でリテイク

大半のプレイヤーならフラワー,シークレット,Aリンクの3つからのリテイクを仕掛けるのが普通に感じるのですが、DRXはAリンクはあえて使わずにフラワーとシークレットから全員で仕掛けていっています。
DRXのカバー、トレードの速さ故の戦術かもしれません。

おわりに

DRXのパールについて分析していきましたが、試合を通して感じるのは"チームプレイ"を徹底している点です。誰かのワンマンプレイというよりも堅実なプレイで作る土台(攻守の組み立て)と安定したパフォーマンスの高さ。
そして大事な場面での個の爆発力が合わさった極めて隙の少ないチームだと改めて思います。

以上がDRXのパールの分析となります。

ご清聴ありがとうございました。

Pham


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