メモ/教育と学習 学習モデル

人はフォーマルな教育プログラム以外=現場でも無意識のうちに学んでいる。日常の中で考え方が変化していくことが学習であるというのが、状況論アプローチだ。つまり学習は組織や個人の主体的な活動であり、教育とはそれを効果的に実現するための意図的な支援活動とみなされる。

効果的な教育(支援)とは日常的、複合的、継続的な学習がどのように進行していくのかプロセスを理解したうえで、どの部分をどのように支援するかを明確にすることが必要だ。

加えて教育者と被教育者の間で学習と教育の認識を揃え(混同しがち)、目指すべき学習活動や教育活動のあり方についても学習モデルを用いて全体像を示し、共通認識を持つことが肝要だ。

学習転移モデル

基礎→応用へとステップアップしていくベーシックなもの。知識創造→伝達→修得→応用と発展する。

•教育において応用の段階が見えないことで、被教育者がストレスを感じることもある。

•また応用について現場任せになることもあるため、教育者は現場と共通の理解を持ち続ける努力が必要である。

•このモデルは知識が普遍的なもの=理論体系が整備されたものに向いているが、万能ではない。

経験学習モデル

混沌とした状況下で走りながら経験知を生み出し、省察していくスタイル。学習を知識の獲得と応用ではなく、自らの経験からマイセオリーを紡ぎ出すことだと捉える。実践→経験→省察→概念化のサイクルを繰り返すことで『学び方を学ぶ』モデルとも言える。

•教育においては、省察と概念化のステージに支援を行うことがキーファクター。省察では、一歩抜けた視点から問いかけるファシリテーターが役立つ。概念化では、アカデミックな理論を腹落ちさせる(覚えるのではなく経験の鏡とする)ことができる。

•このモデルのねらいは学び方を学ぶこと。紡ぎ出された知見がすぐに成果にならない、あるいは役立つ場面に直面しない場合もあるため、短期成果だけでなくその実践スタイルを関係者に理解してもらうことが必要。

批判的学習モデル

上記2つのモデルは知識、スキルの修得を学習と捉えているが、このモデルはそもそも何が望ましいことなのかあるべき姿を問い直すもの。

どのレベルまで問い直すかによって3つに分かれる。

手段探求モード 目的は所与。手段は効果的かを批判的に省察する。

目的合意モード 活動の目的は他者の視点からも納得できる合理性があるかを批判的に省察。

背景批判モード 活動の背景まで立ち返り、設定された目的や手段を受け入れてしまった自身の考え方を批判的に省察。

•より深い問題意識を育むには背景批判モードが有効であり、これは他の学習モデルでは生まれにくいもの。

•支援するには学習者がおかれた状況を外部から見つめ、気づきを得るための他者の存在が必要。ディスカッションやファシリテーターなど。また、人材育成担当自身がこの思考を持つことが重要。

正統的周辺参加モデル

学びを現場で発揮させる学習転移について、正統的周辺参加モデルは学校的な教育システムがなく、学習vs仕事という概念がない=仕事のなかの学びこそ学び という立場をとる。

この場合、教育においてはわかりやすい処方箋がない。人材育成者を介さない学習と仕事の境界線を越えた試みとして、クロスファンクショナルな事例もみられるが、こうしたら取り組みはプロジェクトの実現のほかに組織横断的な考えを身につけるといった育成効果もある。そこで人材育成者は社内ビジネスインキュベーターとして横断的な折衝を行ったり、部署ごとの問題解決を研修等でファシリテートする問題解決のプロセスコンサルタントとなる必要がある。




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