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ヴァンガード・トリガーの確率

 僕はドライブチェック系のデッキが好きで、六角やアコードなどを最近好んで使っているんですけど、そういうプレイングをしていたら地元のショップ常連の◎◎さんに悪口を言われていたらしく(今は和解済みです)、悔しいのでヴァンガードの確率を色々考えて、僕の行動がどれだけ確率的に妥当だったかを検証してみたいと思います。

 今回本当に書きなぐってるだけなんで、文章ぐっちゃぐちゃですけど許してください。


A.単品の確率

 以下では単品の確率(シングルドライブやツインドライブなど)を見ていきます。

0.基本確率

・山札の枚数は40枚くらい?

 まず、ライドデッキ4枚、マリガン前の手札5枚は調整ができます。さらに「山札から探す」系の効果がありますので、デッキによって大きく差がありますが、まあPスタンも嗜む身からすれば、デッキの内訳は「40枚中16枚がトリガー」と言ってよさそうです。圧縮の多いデッキなら、「35枚~32枚中16枚がトリガー」まで言ってもいいかもしれません。

・後1クリティカル

 40枚中8枚がクリティカルトリガーですので、20%の確率で発生します。
 これをケアしないのは甘えだよなぁ、そうに決まってる(ヒカマニ)
 よって僕が後手1クリ引くのは別にそこまで珍しい事象ではありません。OK

ざっくり計算作るとこんな感じです

1.2枚貫通の条件付き確率

 トリガーを2枚チェックする際の単純な確率は以下の通りです

 ここで真剣に考えたいのが、2枚貫通の攻め方と守り方です。

・守る側は積事象、攻撃側は条件付き確率

 守る側は、「少なくとも1回トリガーを引く64.6%」には備えつつも「ダブトリの15.4%」はまあ無いだろうと考えて、2枚貫通を貼ります。2枚貫通を抜かれる確率は、守る側から見れば15.4%です。
 この15.4%は「積事象」と呼ばれる確率です。

 攻める側の2枚貫通の貫通成功率は、実は15.4%ではありません。なぜなら、「1枚目にトリガーが出たとき」にはじめて、「2枚貫通を狙うかどうか」の判断が発生するからです。
 これは「条件付き確率」と呼ばれます。

 「1枚目にトリガーが出たとき、2枚貫通を狙って成功する確率」は、シンプルに「2枚目がトリガーかどうか」だけを考えます。1枚目はもう忘れて良いのです。
 このとき、2枚目がトリガーとなる確率は、非常に単純に言ってしまえば16/40 = 40%程度です。

・勝率40%の勝負

 40%って結構良い数字だと思いませんか?
 特に1枚目にクリティカルが出ている場合、2枚貫通が成功した際のメリットは非常に大きいです。

 ヴァンガードは確率ゲーですから、ギリギリの状態でも逆転の可能性が残っている場合は少なくありません。
 しかしながら、ギリギリの勝負になる前、例えば先3の2枚貫通など、もっと勝算の大きい確率勝負でさっさと勝っておいた方が良いのは言うまでもありません。
 横にトリガーを振ってもどうせ守られるのなら、Vに全振りして貫通狙いのほうが勝率が高くなる場面はあるはず。

 よって、僕が先3の2枚貫通でクリドロー(先にクリが出た)を当てて相手を粉砕したのは確率的には割と妥当な判断だったと言えます。OK

2.6点目ヒール

 確率としては、シンプルな確率では10%(40枚中4枚ヒールトリガーがあるので)です。
 とはいえ6点目ヒールを狙うかどうかというタイミングなら具体的に確率を考えることができるはずです。

・6治狙いは非スポーツマンシップ行為か?

  リアガードは大体焼かれているものとする。
 ① 手札を全部消費すれば、相手の攻撃はすべて守れる。
 ② 6点目ヒールを受けることで、手札を4枚残すことができる。

 上記のような場合、どうするのが正解でしょうか?
 本当は細かく状況がわかれますが、個人的には②の方が結果的な勝率は高いと思います。
 リアガードもほとんど残っていないのなら、ターン開始時の1ドローを起点にまともに動ける可能性は極めて低い。なぜなら、ヴァンガードに展開系の能力が無い限り、最初の1ドローが次の1ドローを呼ばないとまともに攻撃が通る可能性は低いからです。
 特に相手手札に守護者があることが確定している時などは、変に生き延びたところで勝率は限りなく低い。それよりは10%の確率で発生する6治に賭けたほうがマシな場合が多そうです。

 なので4/22(18%)の確率で6治狙いダメージを受けた僕の判断は、確率的判断に基づいた論理的な行動だったと言えます。OK

B.ファイト全体の確率

 ここからは、「ファイト全体の中でその事象が起こるかどうか?」を考えます。

・ファイト中のトリガーチェック数は?

 当然、まず考えなければならないところはここです。

 ドライブ増加等がない基本的なドライブ数は、先3で3枚で、そこから後3、先4、後4…となるごとに1枚ずつ増加します。
 現状、キルターンは大抵先4~先5くらいになることが多い印象です。平均して後4でフィニッシュとして、ドライブチェックは6枚です。

 そこにダメージチェックも加算します。
 後述しますが、ヒールトリガーをファイト中に1~2枚当てるので、その中で1回が有効ヒールだったとざっくり仮定すると、ダメージは6点分まで貰えることになります。

 以上より、標準的なファイト中のトリガーチェック数は、ドライブのみで6枚、ダメージ込みなら12枚ということになります。

・ドライブチェックが得意なデッキ

 ドライブチェックが得意なデッキだと、トリガーチェック数はもっと増えます。

 例えば、おそらくスタンで最多ドライブのムシキングは、先3から5ドライブするため、後4時点で計12ドライブを狙えます。先5なら16ドライブ
 安定して多いところだと、新フォルティアなどは3ターン目以降おそらく安定して4ドライブを維持できそうです。後4で10ドライブ、先5なら13ドライブですね。

 ダメージチェックと合わせれば、山札の20枚近くをトリガーチェックすることになります。

・トップ操作

 トップ操作は探索数だけならドライブチェックよりはるかに稼げますね。
 例えば六角は、友人と試しに2,3回遊んでみたところ、トップを20枚くらい見てました。そのうち何枚かは上に固定しますが、ドライブやダメージと合わせると実に30枚近くをトリガーチェックのために探索できることになります。

3.ヒールトリガーの期待値

 上記の議論を踏まえて、期待値を計算してみます。
 計算式がヘボいため非常にざっくりとした計算しかできていませんが、概ねこんな感じです。

ドライブ6+ダメージ6の場合
ドライブ15+ダメージ6の場合

 ドライブ数が多いことで、ヒールトリガーによるゴリ押しで1ターン凌げる可能性が遥かに高まることがわかりました。
 だから僕がメディエールで山を操作しまくってヒールばかり引きにいって勝ったのは偶然ではありません。OK

4.オーバートリガー

・有効オーバーの概念

 「今引いてもな~!」となる場合を除外しなければなりません。
 今回は、2ターン目までのドライブチェック、ダメージチェックでのオーバーと、3ターン目以降、初手ダメではない受けオーバー、、計4~6チェックを「非有効オーバー」として除外します。
 他のチェックではすべて有効オーバーと見なします。

ドライブ6、ダメージ6、非有効オーバーチェック4回
ドライブ15、ダメージ6、非有効オーバーチェック6回

・デッキ選択の重要性

 当然ですが、ドライブチェックの数が大きく変わってきますので、オーバー率も大きく変わってきます。
 ドライブチェックが得意なデッキだと、1/3以上の確率で有効オーバーによる運勝ちの可能性があります。大型大会に出れば1~2回はオーバーに救われる計算です。
 オーバー率はデッキ選択に大いに影響を及ぼしうることがお分かり頂けると思います。

 また、「引いたときに高確率で勝てる」ということも重要です。具体的には、エルドブレアスだけ強さがマジで頭3つ分くらい飛び抜けてますので、オーバーによる運勝ちを考えるならアーヴァガルダあたりの白国家のドライブデッキやエバ・英勇などの圧縮デッキを使うのがおすすめです。


 ちなみにトップ操作系だと山札の3/4くらいを探索できるため、単純に「オーバーを引けるかどうか?」の勝負になった場合、75%くらいの確率で引けます。
 だから僕が六角でヴァルナート勝ちしたのは妥当。OK

確率判断を邪魔する様々なバイアス

 ここからは、論理的な行動判断を妨げるような種々のバイアスについて見ていきます。

・ プロスペクト理論

 行動経済学の有名なアレです。
 簡単に言えば、「人はリスクを取るよりも確実な成果が得られる方を選びたがる」というものです。

 例えば6点目ヒールについて言えば、「変に可能性に賭けるくらいなら、とりあえず生き延びてから考えよう」というわけですね。
 2枚貫通の場面についても、「とりあえず横にトリガー効果を振っておこう」ということです。

 まあ、結局いずれの場合についても、その後の相手の行動がどうなるかによって、それが結果的に正解のときもありますし、結果的に間違っているときもあるでしょうが、ともかく確率判断をしていないのは勿体ないので、そこは冷静にやっていきたいところです。

・2枚貫通、オーバートリガー - 正常化バイアス

 「2枚貫通ぶち抜かれて負けた」「相手の受け超で計画が狂った」といったふうに、「本来こんなはずじゃないんだけどなぁ」といったぼやき方をしている方が見受けられます。
 こういった思考を「正常化バイアス」と言います。「確率の低い事象は、起こらないものとしておく」考え方です。

 確率が低いのはもちろん事実ですが、ヴァンガードという確率ゲーにおいては、確率を把握し、それに対する対策行動を取ることもゲームの一環です(対策できるとは言っていない)。
 確率が低いからと言って絶対に起こらないわけではなく、例えば上記のようにオーバーが試合に絡むのは少なくとも20%近くあるわけですから、オーバー運勝ちは起こりうるシナリオとして想定しておかなければなりません。
 2枚貫通についても、適切な確率判断のもとなら、狙ったほうが美味しいと考えられるタイミングはいくらでもありますので、守る側はそこも加味した上で、思考停止で2枚貫通を張るのではなく、状況を見て対応していきたいところです。

まとめ

 ヴァンガードが確率ゲーだからこそ、確率を真剣に考えることで、よりファイトが楽しくなると考えています。
 さらに言うなら、運の話を確率の話に落とし込むことで、運負けして妙にイラついてしまうこともある程度はなくなるはずです。

 そういう話を僕は常連の◎◎さんにしました。彼はちょっと引いてたっぽいですが、最後には分かってくれました。分かってくれて何よりです。
 おわり

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