見出し画像

新浦島太郎

序章

血液型の傾向でB型は何かと身勝手なマイナスイメージがあり、その事で他の血液型に倦厭されることが多々あります。

ある日、インテリ半グレの浦島太郎が海岸を歩いているとスマホを持った子供たちにB型というだけで暴言を吐かれてイジメめられている中年の男性を見かけました。

太郎はすかさず子供たちに法律用語を屈指し子供たちから中年男性を助けてあげました

すると助けられた中年男性がこう言いました 「助けていただきありがとうございました。私は亀田亀吉といいます、是非お礼をさせてください」

聞くと亀田亀吉はキャバクラ店のマネージャーをやっており、その店に飲みに行きましょうと言うのです

第1章:浦島太郎と乙姫の初対面

浦島太郎は、その日が来るまで、興奮で眠れなかった。キャバクラ「竜宮城」でNo1のキャバ嬢、乙姫に会えるというのだから。だが、彼は人間のクズ、貧乏で、高級なスーツすら持っていない。そこで太郎は、古着屋を渡り歩き、やっとの思いでそれらしきスーツを手に入れた。スーツは少し古く、サイズも完璧ではなかったが、太郎にはこれが精一杯だった。

夜、竜宮城の扉を開けると、華やかな内装と美しい女性たちが目に飛び込んできた。そこで彼は亀田亀吉に案内され、豪華な個室に通された。部屋に入ると、そこには思い描いていた以上の美しさを持つ乙姫がいた。A型の彼女は、一目で太郎の心の内を読み取ったようだった。彼女の目は鋭く、知性に満ちており、太郎は緊張で言葉を失った。

「太郎さん、初めまして。私は乙姫です。今夜は私のお話し相手になってくれるんですね。」

乙姫の声は穏やかで、しかし彼女の眼差しは太郎を見透かしているようだった。太郎は、この上ない幸運に感謝しつつも、どうにかしてもう一度彼女に会いたいという思いが頭を支配していた。けれども、彼の貧しい境遇では、それは容易なことではなかった。太郎は、今夜を最後に彼女に会うためのあらゆる手段を講じることを心に決めた。

夜は更けていき、乙姫との会話は思いのほか心地よかった。彼女の教養の深さ、洞察力、そして時折見せる優しさに、太郎はますます魅了されていった。しかし、時が経つのはあまりにも早く、別れの時間が迫っていた。太郎は、何とかして再びこの場所に戻ってくる方法を見つけなければならないと、強く思ったのだった。

第2章:浦島太郎の芋修行開始

浦島太郎は乙姫に再び会うため、必死に金を作ろうとしていたが、容易な方法は思い浮かばず、リスクの高い案ばかりが頭をよぎっていた。そんなある日、高級キャバクラ「竜宮城」の前で途方に暮れていると、マネージャーの亀田亀吉が通りかかった。亀吉は太郎の悩みを聞き、彼に意外な提案をする。

「太郎くん、君は起業してみてはどうだ?」

亀吉の提案は、ジャガイモとサツマイモを蒸して焼く芋専門店を屋台から始めることだった。太郎は乙姫に会うためならと、そのアイデアに飛びついた。

屋台は最初は上手くいかず、挫折しそうになるが、太郎はあることに気づく。彼の作る焼き芋には独特の風味があり、少しずつだが固定客が増え始めていたのだ。しかし、太郎はすぐに気づいた。小さい自己資金では限界があると。

銀行からの資金調達を試みるも、信用も実績もない太郎には貸してもらえなかった。そんな時、亀吉が鹿児島の芋農園の社長を紹介してくれた。農園の社長は太郎の情熱を認め、彼に芋作りの修行をさせることになった。

太郎は芋農園に行くため、小さな屋台を閉じることを決意する。彼は、この修行を通して、芋作りの真髄を学び、より良い焼き芋を作ることを夢見ていた。そして、何より、乙姫に再び会うための大きな一歩を踏み出したのだった。

第3章:浦島太郎、成功への道

3年の月日が流れ、太郎は芋農園での修行を経て、芋の知識を深め、また少なからずの自己資金も貯めていた。彼は竜宮城がある地に戻り、屋台を再開する決意をした。しかし、彼のビジョンは以前とは大きく変わっていた。彼は確信していた。芋は所詮芋、炭水化物であると。そして彼は、芋はメインではなく、付け合わせであるということに気づいた。メインは肉だ。肉には芋が合う。これが太郎の新しい結論だった。

そこで彼は、「串肉芋屋」という新たなコンセプトで店を開業した。ボリューム満点の串肉と芋の組み合わせは、異国情緒あふれる新しい味わいを提供し、食べ応えも抜群だった。このユニークな組み合わせは、インスタグラムで大きな話題を呼び、すぐに連日行列ができる人気店になった。

太郎の店はその成功を受けて全国展開を果たし、彼はついに念願の竜宮城に戻ることができた。久しぶりに足を踏み入れた竜宮城は、以前と変わらぬ華やかさを放っていた。太郎は心臓が高鳴るのを感じながら、乙姫に再会する準備をした。

乙姫は太郎の変貌ぶりに驚き、同時に喜んだ。彼女は太郎の成功を祝福し、彼が築き上げた事業について興味深く話を聞いた。太郎は、乙姫の前で自信を持って話すことができた。彼はもはや、かつての貧乏で自信のない男ではなかった。

この夜、太郎と乙姫は長い時間を共に過ごし、様々な話で盛り上がった。太郎は、乙姫に対する想いを新たにし、乙姫も太郎の成長に深い印象を受けていた。太郎の旅は、彼を変え、成功へと導いた。そして、彼は乙姫との再会を通じて、新たな人生の節を開く準備ができていたのだった。

第4章:乙姫、深海魚の誕生

本名竹下景子、後の乙姫は、幼少期からその非凡な知性で周囲とは一線を画していた。IQ180を超える彼女は、同年代の子どもたちや親ともなかなか話が合わず、いつも教室の影や図書館で本を読んでいた。孤独だが穏やかな日々を送っていた彼女に転機が訪れたのは、高校二年生の夏だった。

両親の知人から、地元の漁協で海人のPRバイトの話が舞い込む。当初は断った景子だったが、両親の知人の熱心な誘いに折れ、この仕事を引き受けることになった。仕事内容は海人の格好をして立つだけの簡単なものだったが、彼女の存在は一躍注目の的となった。女子高生が海人の姿をしているのは珍しく、景子は初めて人々の注目を浴びる喜びを知った。

この経験をきっかけに、彼女はドラマ「海人さん」に友情出演することになる。そのドラマのディレクターが、後に竜宮城のマネージャーとなる亀山亀吉だったのだ。ドラマ出演を通じて、景子は自分の中に眠る新たな魅力を発見し、人々を惹きつける能力を自覚し始める。

その後、景子は東京大学法学部に入学し、弁護士を目指す。しかし、彼女の心の奥底には、人々を魅了することへの喜びが静かに燃え続けていた。その独特の魅力は、後に「深海魚」というあだ名で知られるようになる。

大学時代、彼女は自分の知性と魅力を活かし、さまざまな活動に挑戦する。そして、やがて竜宮城で働くことになり、そこで「乙姫」としての新たな人生が始まったのだった。大学での勉強とキャバクラでの仕事、二つの世界で彼女は自分を磨き続け、人々を魅了し続けた。そして、ある日、彼女の前に現れたのが、芋屋台を成功させた浦島太郎だった。二人の運命は、再び交差し始めるのだった。

第5章:変わりゆく運命、玉手箱の変容

20年の月日が流れ、乙姫と浦島太郎の関係は続いた。乙姫はキャバクラを辞め、自分の店「玉手箱」を開いた。一方で、浦島太郎の串肉芋屋は、一時の繁盛を経て、流行の終焉とともに業績が下がり続けた。最終的には、彼のビジネスは元の屋台に戻ることとなった。屋台は今でもそこそこに人気があり、かつてのような贅沢はできないものの、普通に生活するには十分だった。

乙姫の玉手箱も、最初は順調にスタートした。しかし、世界を襲ったパンデミックや経済不況の影響で、彼女の店も資金繰りに苦しみ始めた。経済的な圧力に抗しきれず、乙姫は重い決断を下す。玉手箱を、お持ち帰り専門の闇風俗店に変えたのだ。これは、生き残りをかけた苦渋の選択であった。

太郎は、乙姫の決断に驚き、心を痛めた。彼は、かつての彼女が持っていた純粋な輝きを思い出し、今の彼女の苦悩を察した。太郎自身もかつての栄光を失い、ただの屋台の主となっていた。しかし、彼は乙姫を支え続けることを決意する。

この章では、2人の人生が大きく変わり、それぞれが新たな挑戦と苦悩に直面する。乙姫の店の変容は、彼女の内面の変化を象徴している。一方で、太郎は過去の成功を背負いつつ、現実と向き合いながらも、乙姫への変わらぬ愛情を持ち続ける。

彼らの関係は、時間の流れとともに変わりゆく世界の中で、互いを支え合いながら続いていく。20年の歳月が彼らにもたらしたのは、成功と挫折、そして生き抜くための知恵と愛情だった。玉手箱の変容は、2人の関係の新たな章の始まりを告げていた。

第6章:亀田亀吉、着実な一歩へ

亀田亀吉は、自らの性質を深く理解していた。彼は失敗を恐れ、そのために大きなリスクを避けてきた。ドラマのディレクターやキャバクラのマネージャーとして、彼は大きな成功こそなかったものの、着実に成果を出してきた。しかし、その姿勢は経営者や上司からは評価されず、彼はしばしば非難された。

そんな中で、亀吉は重要な決断を下す。自分の店を持つことだ。彼は「俺の串肉芋屋」という店を開業した。浦島太郎の店と似たコンセプトではあるが、亀吉は独自のディップやソースを用意し、徐々に固定客を獲得していった。店は着実に売り上げを伸ばし、特にパンデミック時には「玉手箱」というテイクアウト企画で大きな人気を博した。

亀吉の店には、ある日意外な訪問者が現れた。それは、かつて海岸で亀吉を馬鹿にしていた少年たちだった。彼らは成長し、自分たちがいじめていたのが亀吉だと気づいて、彼の店に謝罪に来たのだ。亀吉は彼らの謝罪を受け入れ、後に彼らと仲良くなり、彼らを店の従業員として迎え入れた。

最終章:旅の終わり、新たな始まり

時は流れ、浦島太郎、乙姫、亀田亀吉はそれぞれの道を歩んできた。彼らは偶然にも、ある晴れた日に再会を果たす。彼らが集まったのは、かつての繁栄を誇った竜宮城の跡地だった。そこには、昔の面影は少なく、新たな建物が立ち並んでいたが、彼らの記憶に刻まれた場所は変わらぬままだった。

彼らは、過ぎ去った時を振り返り、共に過ごした日々を懐かしんだ。若かった頃の夢と野望、挑戦と失敗、そしてそれを乗り越えた成長。彼らの人生は、まさに「浦島太郎」という物語の中の「玉手箱」のようだった。開けてしまえば、無数の思い出と経験が溢れ出る、そんな宝物箱だった。

浦島太郎は、屋台から始まり、一時の成功とその後の挑戦を経て、再び屋台へと戻ってきた。乙姫は、深海魚のように謎めいた存在から、自分自身の道を切り拓く強さを持つ女性へと成長した。亀田亀吉は、着実な歩みで自分なりの成功を見つけ、過去の誤解を解き明かし、新たな関係を築いた。

彼らは、自分たちの旅が未来へと続いていくことを実感していた。過去から学び、現在を生き、未来に目を向ける。それぞれの道を歩みながらも、彼らの絆は時間を超えて続いていく。彼らの物語は、人生の不思議と多様性、そして成長の美しさを象徴していた。

夕日が沈む中、彼らは静かに誓った。どんな未来が待っていようとも、それぞれの道を歩み続けることを。そしていつか、再びこの場所で笑い合う日を夢見て。それが、彼らの物語「浦島太郎」の真の「玉手箱」であることを心に刻みながら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?