見出し画像

「トンネルを抜けると」リリースに寄せて

Have a Nice Day!ブランニューシット「トンネルを抜けると」を5月6日より各サブスクなど配信でリリース。昨年11月のアルバムリリース以降、久しぶりの新曲。3月以降の目まぐるしい変化もあってなかなかまとまった文章を書く気分になれなかったけど、いまは木澤佐登志の本を読んだりNETFLIXでコンテイジョンを観るくらいに気持ちが整理されてきたのでリリースの経緯を振り返りつつ最近のことをまとめてみようかなと思う。
いまひとつ分かってることは、この国において経済を殺そうとしているものの正体はC19ではないよね。断絶はいまこの瞬間はっきりと視覚化されている。ここ何日かジミヘンドリックスやRolling Stonesの60年代終わりのライブ動画を観ながらいろんなことを考えている。ここにきてオレはロックンロールやダンスミュージックの意義を再確認している。それは過去へのノスタルジーでもなく、またいまのSNSを媒介とした世界とも大きくズれた考え方だとも思うがそれがロックンロールやダンスミュージックの核心だろう。

去年11月からスタートしたDYSTOPIA ROMANCE 4.0のリリースツアーが2月27日のリキッドルームワンマンをもって終わった。その前日の時点で状況が急激に緊迫感が増していたので開催の判断は難しい局面だったが、その後やってきた社会の変化を考えるとやっておいて良かったと思っている。あの瞬間はまさに社会が傾いてゆく入口だった。
3月の終わり頃にはライブは当分できないというムードになっていたので、気持ちの重心をライブから楽曲制作に移すことにした。制作チームと打ち合わせをして、5月6日から1週間に1曲のペースで配信で新曲をリリースすることに決めた。制作リズムを作るという目的もあるが、自分にとっては現在の空気感の中で作った曲をいまの空気感の中でリリースをしたいというシンプルな欲求があって、それがいまのオレの中心にあるモチベーションだろう。
東京に緊急事態宣言の出た4月7日、「トンネルを抜けると」のアレンジ作業を開始。一週間ほどでアレンジを終わらせてミックスとマスタリングし、ジャケットを作って入稿を済ませた。ジャケはmorookamanabuに送ってもらった写真を自分でレイアウトした(一応説明すると「愛こそすべて」のMVは彼が撮った写真を使っている)。

「トンネルを抜けると」の楽曲イメージは今年の始め頃に友達と神奈川の丹沢に遊びに行ったとき生まれたもので、C19感染拡大とは一切関係なく作り始めた歌だった。駐車場から車を降りて登山道に向かう途中に200mほどのトンネルがあって、電灯がまったくないのでトンネル全体の半分くらいまで歩くと出口の光が遠ざかっているのか近づいているのか分からなくなる変な錯覚に陥る。
過去である入り口から、未来である出口へと向かう長い暗闇。それは先へ進むために避けて通れないものだろう、という着想から「トンネルを抜けると」という言葉を歌にしようと思ってデモを途中まで作っていたが、4月に入ったときにいまの社会状況を反映させながら未来への希望を含む歌として完成させた。C19のことがなければもっとドライな着地をさせたはずの歌だったろうけど、それに準ずる歌はすでに何曲もハバナイの曲として存在しているので、この曲は現在へのもう少し前向きなメッセージとして機能させたかったからそうしなかった。

ちなみに制作プロセスを説明したくて制作中にインスタライブを回して、その日に作業した音源のUPDATE版をsoundcloudに逐一あげていたが、それが結果的に作業スピードを高めているようだ。4月28日現在「トンネルを抜けると」以外に「GET UP KIDS!!!」、「SPRING BREAKS 2020」がほぼ完成してて、1ヶ月で4曲の制作目標まであともう一曲。まだタイトルも決まっていないけど気持ちはあがってるので作れるだろう。

ライブハウスでライブをやれるのが一体いつのことになるのかが分からないが、いまはこの瞬間の記録として楽曲を残しておきたいなあという思いがある。そういう意味ではリリース以外だとインターネットスカムパークがしばらくの間はハバナイの実践の場所になっていくのかもしれない。インターネットにはフロアという制限がないので、スカムパークでは難しかったフラットなブッキングができるので気持ち的には高揚しているね。いましかできないだろうけどこの期間にスカムパークのあり方をよりオープンマインドなものにできたら良いなと考えている。インターネットスカムパークの次回開催は5/8、オールナイトGIG。詳細は4/30(木)の正午に告知。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?