「POWERS#9」振り返り記事

こんにちは。ポケモンカード自主大会「POWERS」運営です。

本記事では7月23日に開催された「POWERS#9」について、ベスト8以上の構築を掲載しつつ環境考察も交えた振り返りを行っていきます。

また、本題に入る前にまずは「POWERS」のポイント制度について更新します。

1位:楓さん58.8pt
2位:ねりあめさん57.2pt
3位:クサエネさん:39pt
4位:せとさん:37.5pt
5位:レーシャンさん30.6pt
6位:イガ汰つなさん:25pt
7位:すもぐりさん:23.75pt
8位:かがやくタルモゴイフさん19.65pt
8位:えふさん19.65pt
10位:あやとさん:19.5pt
11位:マグロさん:18.75pt
12位:野村さん13.1pt
12位:てんさん13.1pt
12位:にわとりさん13.1pt
15位:はやしさん:13pt
15位:りんたろーさん:13pt
15位:ふりーじあさん:13pt
15位:オイカワさん:13pt
19位:マリオさん:12.5pt
19位:かりめろさん:12.5pt
19位:ミラクルローグさん:12.5pt

(当日の参加人数に応じて傾斜を掛けているので、大会別で比べたときに同じ順位でも異なるポイントになる場合があります)


「POWERS」にて圧倒的なアベレージを誇る予選通過回数累計1位の楓さんと、「Hi-POWERS#1」優勝者でかつ予選通過回数累計2位のねりあめさんがポイントレースでワンツーを奪取する形となりました。

両名とも練習時間という点では他の追随を許さず、自身の軸となる得意なデッキを持ちつつも平行して多くのデッキを試すことで幅広い知識や対応力を身に付けてきた選手です。

予選および決勝トーナメントでも随所に光るプレイングが見受けられ、やはりその卓越した実力にてこのような安定した結果を得ているのだと思うと共に、努力が結果に反映される良環境なのだなと思わされます。

また、「POWERSシーズン2」にて本大会を含めて今まで開かれた3大会の内で楓さんとねりあめさん以外に唯一2大会の決勝トーナメント進出を決めているレーシャンさんもポイントレース第5位にランクインしてきました。

【サーナイトex】登場初期から今まで一貫して同じデッキを使い続けてきたプレイヤーであり、勿論練度はトップクラスです。

このように、「相棒」を決め次第そこにオールインしていく気概も上位のプレイヤーと戦っていく中では重要な要素と言えるでしょう。

では、以下にて環境考察を記していきたいと思います。


・2強、変わらず?

本大会は「ポケモンカード151」後、「黒炎の支配者」前の環境で開催されました。

「ポケモンカード151」で環境に影響を及ぼしたカードの筆頭としては、やはり〈ミュウex〉でしょう。

このカードは「見えないところから相手に与える圧力」が多く、例えば〈かがやくゲッコウガ〉を使用するようなデッキで〈マナフィ〉の着地を促したり、〈ギラティナV〉の安易な進化を抑制したり(安易に進化するとゲノムハックからロストインパクトできぜつしてしまうので)、実際に使用される頻度以上に水面下で大きな影響を及ぼしています。

また、逃げるエネルギーが0なことや特性のリスタートを含めて全体的に非常に使い勝手の良い1枚と言えるでしょう。

唯一HPの低さだけは難点で、技の性質も含めてこのカードを軸としたデッキを作るのは難しいことから特定の構築に1枚~2枚だけ入るような使い方をされるのがメインになるかと思います。

一般的には【サーナイトex】や【ルギアVSTAR】への選択肢として候補に挙がることが多いカードですが、【ロスト軸】に〈ミラージュゲート〉を絡めて起動を狙う構築も見受けられました。

特に【ギラティナVSTAR】は進化を絡めずに高ダメージを出す手段に乏しく、かといって〈ギラティナV〉の着地は大きく隙を見せてしまう……といったシーンで活躍する未来が見えそうです。

他にもへんしんスタートの〈メタモン〉や〈スナッチアーム〉など、「どうにかして上手く使えるのでは?」と思わせてくれるようなカードがそれなりの枚数収録された良い弾だったのではないでしょうか?

……とは言いつつも、結局デッキの軸として新しく環境入りしたものはなく、【ロスト軸】、【サーナイトex】を2トップとして【アルセウスVSTAR】、【ルギアVSTAR】、【パオジアンex】辺りが後を追い掛ける構図は変わっていません。

この辺りについては【ギラティナVSTAR】や【サーナイトex】が

・スターレクイエムがHPインフレの影響を受けない

・ロストマインや後攻1ターン目のおとぼけスピットがexに進化する前の非ルールに強い

・アルカナシャインの〈サーナイト〉がドローをしながら300ダメージ以上を出せるにも関わらず、サイドを1枚しか取れないのがズルい(相手としては無視できないのにサイドを1枚しか取れないので、どうしてもサイドレースが引き離される形となってしまう)

という「デッキとしての強み」を持っており、その強みが「新弾などに影響されない、ルールとして既に強い長所」であることから新興勢力がこれら2トップの牙城を崩せないのだろうなと感じています。

いつの時代も環境に左右されない、ルールとしての強さを持つポケモンは強力です。
(ドローをしたり、サポート相当の効果を使ったりする強みを持っている構築は環境に依らない、ルールとしての強さを持っているデッキであることが多いです)

逆に、新たに何か強いデッキを探す際は「環境的に強いだけなのか、ルール的に強いことが約束されているのか」の視点で考えてみると良い発見があるかもしれません。


・当日の環境について

さて、「POWERS#9」当日の環境は以下のようになりました。


【デッキ分布】:合計数63

圧倒的なキュワワー率

【ロストザマゼンタ】9
【ギラティナVSTAR】7
【ロストカイリュー】4
【ロストヌメルゴン】3
【ロストリザードン】2

ロストの中では鋼軸が人気のようです

【白ルギア】5
【一撃ルギア】4

【サーナイトex】7

【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】3
【アルセウスVSTAR+ジュララルドンVMAX+ブラッキーVMAX】2
【アルセウスVSTAR+レジドラゴVSTAR】1

【パオジアンex】5

【ミュウVMAX】3

【ミライドンex】3

【ヒスイゾロアークVSTAR】2

【ドダイトス】1

【だんけつのつばさ】1

【インテレオンVMAX+連撃ウーラオスVMAX】1


やはり【ロスト軸】の隆盛は留まるところを知りません。

今大会も39.7%と圧倒的な数字を残しています。

しかし、中身まで同じかと言われたら、意外とそうでもないようです。

元々の【ロスト軸】は【サーナイトex】に対する〈頂への雪道〉を絡めたスターレクイエムという明確なゴールがある【ギラティナVSTAR】が一般的でした。

勿論そのタイプのデッキが【サーナイトex】と戦いやすいということ自体は正しいのですが、【ロスト軸】のミラーとなってしまったときにそこまで有利かと言われると微妙なところになります。

〈アクロマの実験〉からアビスシークに繋ぎ早期にロストを進めつつ、返しのターンに〈ウッウ〉に小突かれた〈ギラティナV〉は〈入れ替えカート〉で回復、最後は〈ツツジ〉+ロストマインでゲームエンド……と繋がれば【ギラティナVSTAR】でも【ロスト軸】ミラーで強く立ち回れるのですが、そう簡単に事が上手く運ぶならポケカプレイヤーの苦労なんてものは無いわけです。

実際はミラーでそこまで刺さるわけでもない〈頂への雪道〉が手札に嵩張り、アビスシークを撃った〈ギラティナV〉は〈穴抜けの紐〉で退かされ、そうこうしている内に相手の方が早期にロストマインに突入、頼みの綱の〈ツツジ〉も相手にきっちりケアされ、どうしようもなくなったところでようやくサイド3以下に突入され、〈ツツジ〉を撃てはするものの盤面だけで既にゲームエンド……なんて展開になってしまうことも大いに有り得ます。

さて、プレイヤー達は考えました。

どうにかして【ロスト軸】と【サーナイトex】の両方に有利を取れないか、と。

雪道レクイエムも強いけどマイン連打も強い

そして、気付きました。

ロストマインに早期到達可能な【ロスト軸】なら、【ロスト軸】ミラーも【サーナイトex】も、どちらも有利なのでは?と。

こうして〈ロストスイーパー〉などを多投した【ロスト軸】が徐々にシェア率を高めていったのが今大会の分布となります。

〈カイオーガ〉のアクアストームが強いという環境とも一概には言えないので(勿論強い対面もありますが)、〈ザマゼンタ〉のみに寄せた【ロストザマゼンタ】か〈カイリューV〉+〈ライコウV〉を軸にした【ロストカイリュー】が多く、今回は【ロストザマゼンタ】の方が人気でしたが【ロストカイリュー】も「VSTARパワーを無駄なく使える」という非常に大きなメリットがあるためどちらを選ぶかは難しい問題と言えそうです。

そんな中で上位入賞したデッキが以下の8デッキとなります。


・上位構築雑感

【ロスト軸】3


【サーナイトex】2

【一撃ルギア】1

【ミライドンex】1

【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】1


やはり【ロスト軸】では〈ロストスイーパー〉を入れたタイプのデッキが勝ち上がってきています。

〈ヒスイヌメルゴンVSTAR〉で最悪ベンチを絞ってロストマインのケアをしながら戦えるタイプ、〈勇気のお守り〉でHPラインを上げることでミラーにおいて全体的に優位に立ち回っていくタイプ、〈カイオーガ〉で不利状況からでも逆転する可能性を最後まで残すタイプ、三者三様で面白いですね。

また、それら【ロスト軸】の隆盛を読み切った【ミライドンex】および【アルセウスVSTAR+ギラティナVSTAR】がどちらもベスト4を取ってきています。

【サーナイトex】については現在こそ55枚くらいがほぼテンプレートとして固まりつつありますが、〈月明かりの丘〉の登場以降構築がガラッと変わりそうなので今後どうなるか期待が高まりますね。
アルカナシャインの〈サーナイト〉の枚数は1枚くらい増えるか、或いは〈すごいつりざお〉が1枚増える可能性はあるかもしれません。

・終わりに

この記事が出る頃には既に「黒炎の支配者」が発売されているわけですが、〈リザードンex〉、凄まじいパワーです。

次の「POWERS#10」は再来週の開催と比較的短いスパンとなりますが、環境の激変は必至です。

果たしてどのような構築が勝ち上がるのか、非常に楽しみですね。

それでは次回、「POWERS#10」の振り返り記事にてまたお会いしましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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