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2022年MLBドラフト ヤンキース4、5巡目指名選手(Anthony Hall、Eric Reyzelman)

こんにちは。D-Betです。
今回はドラフト4、5巡目指名選手のAnthiny HallEric Reyzelmanについて。


Anthony Hall

 ポジション:外野手
 投/打:左/左
 身長/体重:188cm/90kg
 生年月日:2001年2月9日生まれ

オレゴン大学時代のAnthony Hall

☆略歴

 カリフォルニア州サンディエゴに生まれ、幼少期には12Uアメリカ代表にも選ばれました。高校は同サンディエゴにあるポイント・ロマ高校に進学。同高校ではサンディエゴ有数の選手として活躍するも、最終学年である2019年のMLBドラフトにおいて上位指名を受ける程大きく目立つことはなく、2019年のMLBドラフトでアトランタ・ブレーブスから35巡目指名を受けたものの、この時は契約せずオレゴン大学に進学。

 フレッシュマンである2020年はご存知の通り、COVID-19によりシーズンが短縮され、僅か14試合の出場にとどまり、打撃成績自体も打率.250、出塁率.346(四球率9.6%)、OPS.778、1HRと可もなく不可もない成績に。(チーム内で打撃成績3位ですが。)

 2021年シーズンは開幕カードこそレフトとして起用されたものの、その後は主にセンターとして起用され、レギュラーとして活躍。しかし打撃成績自体は50試合で打率.286(三振率21.7%)、出塁率.342(四球率7. 0%)、OPS.813、6HRと同程度の平均的な成績に終始。昨季とドラフトイヤーの2022年はホームランと打点でチームトップを記録。

 とまあここまではとてもドラフト4巡目で指名されるレベルの選手のトラックレコードではないですが、2021年のカレッジシーズン終了後に参加したケープ・コッドリーグにおいて打席でのアプローチが向上し、四球をよく選べるように。また34試合で打率.283(三振率16.6%)、出塁率.382(四球率12.1%)、OPS.863、4HRとまずまずの成績を記録したことで少し注目される存在になりました。

 2022年シーズンは開幕からライトのレギュラーとして起用され、シーズン序盤こそ不調気味だったものの、3月中旬頃から打ち始め、その後もコンスタントに打ち続け、最終的に60試合で打率.333、出塁率.402、OPS1.042、HR14、4盗塁とキャリアハイの好成績を記録。ホームランと打点はチームトップ。また長打率.640は同大学の学校記録でした。これによりドラフト選手としての評価も上昇しました。


☆選手としての特徴


・打撃
 
 打撃フォームは始動前に手の予備動作はあるものの、シンプルかつスムーズ。また小さめですがレッグキックを取り入れてます。2022年に60試合で14HRを放ったように、ゲームパワーは少なくとも平均〜平均以上と評されており、生来のパワー自体は今ドラフトで有数と評する声も。実際に打球初速度は111マイルを計測していますまあドラフト前に行われたドラフトコンバインでは目立ったバットスピードは残せていませんが。広角に長打を打つことができるのも魅力ですが、特に引っ張った時の打球は目を見張るものがあります。先述のように2021年のケープコッド・リーグ参加以降、打席でのアプローチが大きく変わり、2022年シーズンにおいても選球眼&四球率が大きく向上。また三振率も21.7%(2021年)→16.6%(2022年)と大きく改善させており、コンタクト力も成長。
 
 ただ速球に対しては殆ど空振りしないファストボールに強い打者である一方で、変化球に対しては空振りが多く、変化球の対応には不安があります。また実質的に好成績を残したのは2022年だけと大学でのトラックレコードにも欠けており、リスクもないわけではありません。まあドラフトイヤーに見せた選球眼&コンタクトの成長が本物であれば、少なくともマイナー下層では打撃で躓くことなく昇格が期待できそう。というわけで割とマイ・フェイバリットです。

・守備、走塁

 2021年シーズンにはセンターを守っていましたが、生来のスピード自体は30ヤード走3.80秒、20〜80スケールでも50レベルと評されており平均程度。センター守備もアマチュアでは無難にこなしていましたが、特筆して反応が優れているなど守備力が高いわけではなく、本来は両翼がベスト。実際に2020年とドラフトイヤーの2022年は主にコーナー外野手として起用されていました。肩の強さも平均的のようです。


Eric Reyzelman

 ポジション:投手
 投/打:右/右
 身長/体重:188cm/85kg
 生年月日:2001年6月27日生まれ

ルイジアナ州立大学時代のEric Reyzelman

☆略歴

 両親は2人とも旧ソビエト連邦から移住してきたユダヤ系の移民で、共にアメリカに移住。当初は生計を立てるのに苦労しましたが、英語を勉強し、母はカイロプラクター、父は足治療師としてキャリアを築きました。そんななかでEricはカリフォルニア州サン・ラモンに生まれ育ちました。因みに弟Davidは3つのスポーツにおいて優れたアスリートで、フットボールでフレズノ州立大学へのコミットがあります。

 高校はデラサール高校に進学し、そこの野球部に所属していましたが、3年になるまでコーチに命じられていたウェイトをせず、それにより伸び悩んだことで、2年生と3年生の時に野球部から退部させられました。しかし4年になって再びコーチからトレーニングを命じられトレーニングに励むと高校最終学年の時点で速球の球速は93マイルを計測するようになり、最終学年は全て救援ながら50.2イニングで74奪三振、ERA0.55、被安打率.140と圧倒的な成績を残し、高校卒業後はウェスト・コースト・カンファレンスに属するサンフランシスコ大学に進学。

 2020年は短縮シーズンのなか、5試合に登板(3試合先発)、15.1イニングでERA4.70、奪三振率10.0、四球率3.5、WHIP1.24とまずまずの投球。しかし2020年の5月にトミージョン手術を受け、長期リハビリを強いられることに。

 そこから僅か10ヶ月で復帰し(通常は1年以上かかると思われますが)、2021年シーズンに臨みましたが、16登板(10先発)、35.0イニングでERA6.17、奪三振率10.0、四球率7.7、WHIP1.71と奪三振率以外は悲惨な成績に終わり、シーズン終了後に転校ポータルに。そこで
2022年シーズン前にディビジョン1、サウス・イースト・カンファレンスの強豪であるルイジアナ州立大学に転向。

 2022年は完全に救援に専念し、(トミージョン手術経過後2年目ということも多分にあると思いますが)才能が開花。シーズン終盤の強豪校との連戦で失点を喫する場面が増えたものの、複数イニングを何度もこなすなど29試合に登板し、42.1イニングでERA4.04、奪三振率14.0、四球率3.8、WHIP1.18を記録。その投球を見たヤンキースが5巡目で指名。


☆選手としての特徴

 スリークォーターのフォームからやや力の入った投球フォームで投球時のテークバックもかなり大きめ。1番の武器は間違いなく速球で投球の8〜9割を占めており、高い奪三振率の源でもあります。速球は先発として93〜97マイル、救援として94〜99マイル、最速99マイル(100マイルとも?)を計測。速球は非常に伸びがあり、鉛直変化12.2はMLBの豪速球投手Hunter Greeneとほぼ同じで、NCAA所属選手の中でもトップ5に入るレベルでした。変化球はカッター、チェンジアップ、カーブ、スライダーがありますが、現時点ではいずれも評価が高くありません。しかし80マイル前半のスライダーは回転数2500〜26000ほどで、速球の効果もあり空振りを奪えており、プラス級とまではいかなくても平均以上にはなりうる球種。またチェンジアップも時折良い変化を見せており、(今後も投げ続けると仮定して)将来的には平均レベルにはなりうるかと。

 先発の時から最速98マイル、コンスタントに90マイル後半を計測していましたが、時々90マイル前半を計測するなど球速が安定しないことが多々ありました。
また制球力については、かなりアバウトかつコマンドが悪く、2021年には四球率7.7、カレッジ通算でも5.2を記録するなど制球力はお世辞にも良いとは言えないレベルで、コマンドの悪さ&ハイファストボールを好んで投げることもあり(そもそも速球に頼りすぎなのもあり)、100マイル近い速球を投じる割に被本塁打率も高め。
上記の課題もあってほぼ間違いなく救援向きで、球質自体はハイレベルということもあり、速やかにマイナーを駆け上がりそう。まあ荒削りなパワーリリーバーなのでマイ・フェイバリットです。

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