2022年MLBドラフト ヤンキース 2、3巡目指名選手(Drew Thorpe、Trystan Vrieling)
こんにちは。Spencer-Betです。
今回はヤンキース2巡目指名のDrew Thorpeと3巡目指名のTrystan Vrielingについて
Drew Thorpe
ポジション:投手
投/打:右/左
身長/体重:193cm/86kg
生年月日:2000年10月1日生まれ
○略歴
ユタ州セント・ジョージに生まれ育ち、高校は同じユタ州のデザートヒル高校に進学。高校では投手とショートを兼任する二刀流選手として活躍し、最終学年には公式戦で投手としては51.1イニングでERA1.93、67奪三振、野手としては打率.390、12ツーベース、2HRを記録するなど投打で活躍を見せ、チームのユタ州タイトル獲得に貢献。しかし、2019年のMLBドラフトではどこのチームからも指名を受けることなく、ビッグ・ウェスト・カンファレンスに所属するカル・ポリー大学に進学。ちなみに今ドラフトで全体8位で指名されたBrooks Leeはチームメート。
カルポリー大学に進学後は投手、野手のどちらで起用されるのかは未定でしたが、カル・ポリー大学のコートであるLarry Leeが彼のチェンジアップに可能性を見出し、投手として起用されることに。
(カル・ポリー大学が所属するビッグ・ウェスト・カンファレンスがそれほど強豪ではないこともありますが)入学1年目(2020年)の開幕から4番手先発投手として起用され、初登板で強豪ヴァンダービルト大学に対し7回2失点。その後も3試合に登板し、計4先発(28.0イニング)でERA3.21、奪三振率10.0、四球率2.3を記録したものの、COVID–19によりシーズン短縮。またサマーリーグにも参加せず、トラックレコードが少ない状態に。
翌2021年は金曜日の先発(エース投手)として起用され、序盤は制球を乱し、3月20日までの5先発(24.2イニング)でERA4.37、四球率5.83とイマイチな投球。それもあってか?3月22日には救援として登板しました。その後は巻き返しシーズントータルでは16登板(15先発)90.1イニングでERA3.79、奪三振率10.4(104)、四球率3.8(38)と堅実な成績に収束。104三振はカンファレンス3位、90.1イニングはカンファレンス2位でした。またこの年の大学アメリカ代表にも選出されました。(まあ投球結果は微妙でしたが‥‥。)
ドラフトイヤーである2022年も昨季同様にエース投手として起用され、6回を投げ切れなかったのは開幕戦の1試合だけで、それ以降は全14先発6イニング以上、15先発のうち2桁奪三振を記録したのが9試合と支配力も備えた投球を披露し、104.2イニングでERA2.67、奪三振率12.8(149)、四球率2.1(25)を記録。
所謂強豪カンファレンスに所属していない為、よりレベルがあかった際にどういった投球になるのか未知数な部分もありますが、カレッジでの3年間で堅実な成績を記録しており、楽しみな存在。
○選手としての特徴
193cm/86kgと体格は先発投手としてしっかりしており、カレッジでの3年間も2020年にコロナによるシーズン短縮があったとはいえ、離脱なく健康を保てており、耐久性は👍。身長を考えるともう少し増量の余地はあると思われます。
球種は4シーム、スライダー、チェンジアップの3種類。4シームはよく沈む動きではあるものの、平均90マイル前後と速くなく、球威は現時点では平均未満。とはいえ先述のようにまだ増量の余地はあり、球速が上がる余地がないわけではありません。またアマチュア・スカウト部長のDamon Oppenheimer曰く96マイルを計測したのを見たとも。ただ気になるのは2021年に体重を5kgほど増量させたものの、やや制球を乱したこともあり、今季は逆に体重を落とし、好投を見せています。今後はどうしていくのか注目ですね。
先に書いたようにチェンジアップは大学のコーチがひと目見て惚れ込んだこともあり、平均以上のクオリティーで、80マイル前半のスピードで左打者の外側によく落ち、プラス・プラス評価をつける人もいるほど。
Drew Thorpeのチェンジアップ(https://twitter.com/yankeemetrics/status/1548876980484972545?s=21&t=SjYHNl4jrCm7qn5jPPUf8g)
スライダーはチェンジアップ同様に80マイル前半で、こちらは精度が良くないものの、今季に入り改良がなされたと言われており、Baseball Americaでは20–80スケールで55評価をつけています。とはいえ一般的には平均〜平均未満の評価かな。
2021年の序盤に若干制球を乱す場面が見受けられたものの、カレッジ3年間で四球率2.8を記録するなどコントロールの評価も高く、間違いなく平均以上のクオリティー。球威の割に被本塁打も比較的少ないですがコマンドの良さも関係していると思われます。
Trystan Vrieling
ポジション:投手
投/打:右/右
身長/体重:193cm/90kg
生年月日:2000年10月2日生まれ
○略歴
アイダホ州ルイストンで生まれのワシントン州ケネウィック出身で、Vrieling自身は地元にあるシアトル・マリナーズファンではなく、サンフランシスコ・ジャイアンツファンでした。まあ彼が子供の頃はマリナーズは強くなかったですし、仕方ないですね。高校は同ワシントン州にあるカミアキン高校に進学。高校では外野手兼投手として活躍。またバスケットボールもプレイしていたようです。2019年のMLBドラフトでは指名されませんでしたが、高校卒業後はディビジョン1の大学であるゴンザガ大学に進学。バスケットボールではそこそこ名前を聞きますが、野球ではそれほど名前を聞かない大学です。ちなみに同期のGabriel Hughesは2022年MLBドラフトで全体10位指名を受けました。
カレッジ1年目の2020年は全て救援で5試合に登板し、まずまずの投球を見せたものの、特に目を見張るものではありませんでした。ご存知のようにこの年はCOVID-19によりシーズン短縮となったのですが、この自粛期間中に筋力トレーニングによる肉体改造に着手し、その結果89〜92マイルだった球速が94〜97マイルまで成長。それによりこの年参加したサマーリーグでも9登板(3先発)、23.1イニングでERA2.31、奪三振率12.7と好成績を記録。
またカレッジシーズン2年目の2021年も、全て救援として登板し、48.2イニングで66三振、奪三振率が12.2と急激に良化し、試合終盤の大事な場面を任される存在となりました。またシーズン終了後に参加したケープコッドリーグにおいて17.1イニングでERA1.04、奪三振率10.7、WHIP 0.80と好投を見せ、名前を売りました。
2年目までは主に速球とカーブばかりを投げていましたが、3年目のシーズン前に、レパートリーにスライダー&チェンジアップを追加。(まあ元々投げられることは投げられたみたいですけど。)投球の幅が広がったこともあって2022年シーズンは頭から先発として起用され、初登板こそ強豪オレゴン州立大学相手に5回途中8失点と大炎上したものの、その後6先発は40イニングでERA1.12、57奪三振、17四球と(四球は若干多いものの)快投を披露。同僚である1巡目指名選手のGabriel Hughesに次ぐ2番手投手として活躍し、スカウトの目に留まる存在に。しかしその後の8先発では36.2イニングでERA7.60、45奪三振、四球25と(奪三振率以外は)大荒れの投球。シーズントータルでは15試合に登板し、ERA4.91、奪三振率11.9(107)、四球率5.1(46)と良し悪しの分かれたピッチングを披露。元々制球に難のあるタイプではあったものの、ドラフトイヤーに好不調の激しさ、制球の悪さをさらに露呈する形になりました。
○選手としての特徴
ゴンザガ大学入学時点では細身の体格でしたが、COVID-19によるシーズン短縮があった2020年に筋力トレーニングに励んだこともあり、193cm/90kgと投手としてしっかりとした体格に。
球種は4シーム、スライダー、カーブ、チェンジアップの4球種。フレッシュマンの時には速球の球速が89〜92マイルほどだったのが、先述のトレーニングもあり、球速が94〜97マイルと高速化。今季もコンスタントに95〜96マイルを計測しており、平均よりは上の球威。変化球のなかで最も評価が高いのが80マイル前後のカーブで、落差が大きく空振りを奪える球種。80マイル前半のスライダーはカッターと識別されることもあるなど、縦変化は大きくないもののスピンレートの高さもありよく滑る。チェンジアップは投球割合はさほど多くはないものの、変化自体はよく平均より上と評する声もあります。(MLB公式は実際に55評価をつけています。)
制球力の悪さが最大の弱点で、カレッジ通算の四球率は4.8。スムーズかつ再現性のありそうな投球フォームですが、ストライクを投げるのに苦労しており、この点が改善されない限りは先発としては厳しそう。
とはいえ投げているボール自体は優秀で、荒削りではあるものの伸び代もあり、近年投手育成に長けているヤンキースによって化ける可能性も秘めているので個人的にかなり楽しみな存在。
p.s.この2人、誕生日一日違いなんかい!!!!
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