『メッツのお勉強』 Francisco Alvarez 〜メッツNo.1捕手プロスペクト〜
こんにちは、D-Betです。
私は一応メッツファンでもありますので、メッツのプロスペクトについても勉強していこうかと。
今回はメッツだけでなく、マイナー全体でも有数の捕手プロスペクトであるFrancisco Alvarezについて。(もちろん捕手No.1プロスペクトである Adley Rutschmanには敵いませんが。)
Francisco Alvarez
基本情報(投/打、身長・体重、生年月日)
右/右、180cm・105kg、2001年11月19日生
☆経歴
2018年のインターナショナルFAにおいてメッツと270万ドルの契約金で契約。この契約金は球団史上最高額でした。また当時の2018年のインターナショナルFA選手のランキングにおいても、MLB公式からは全体13位、ベースボール・アメリカからは9位に位置付けられるなど高い期待が伺えました。
2019年はまずガルフ・コースト・リーグに配属され、7試合で打率.462、出塁率.582、OPS1.395、2HRと完璧に打ちこなし、すぐにアパラチアン・リーグのキングスポート・メッツ(同じルーキーリーグですが、ガルフコースト・リーグよりはレベルが高め)に昇格。
昇格後も打率.282、出塁率.378、OPS.820、5HRと「17歳かつ捕手」とは思えないような打力を披露し、打てる捕手としてプロ入り後に更に評価が上昇しました。一方でプロ入り前から打撃と比較して評価の低かった捕手守備においては、強肩を生かしての盗塁阻止率は28%とまずまずだったものの、目を見張るほどではなく、また僅か27試合で15個のパスボールを記録するなどブロッキング・レシービングには課題を残していました。
翌2020年は、COVID–19によりマイナーシーズンが休止となりましたが、Alvarez自身はMLBのオルタネイト・サイト(当時、マイナーのシーズンがなかった為に急遽作られたロスター入れ替わり選手の待機枠で、その枠内の選手はロスター入れ替えに備えて、チーム内で実戦をこなし待機していましたが、マイナー低階級所属でも球団内で評価が高い選手は実戦経験を積ませるために、たとえそのシーズン中のMLB昇格の可能性が低くてもオルタネイト・サイトに招待をされていました)に招待され、自分よりも年上の投手相手に打席経験を積みました。
2021年はA級のセントルーシー・メッツに配属されましたが、19歳ながらも15試合で打率.417、出塁率.567、OPS1.213、2HRと完璧に打ちこなし、5月下旬にはA+級のブルクッリン・サイクロンズに昇格。昇格後は初のフルシーズンかつ対戦レベルの向上によりややコンタクトに苦しみ、84試合で打率は.247と低下しましたが、出塁率.351、OPS.889、22HRと当時19歳にもかかわらず、選球眼・長打力は階級が上がっても健在で、打力に関しては問題がありませんでした。またプロスペクトのオールスターであるフューチャーズ・ゲームにも選出され、その試合でHRも放っています。一方で課題であった守備面ではパスボールの頻度は大きく減少したものの、ボールを身体で止めにいかない悪癖やフレーミングの拙さ、スローイングの悪さにより評価は低く、試合数の半分ほどはDHとして起用されました。それでも弱冠20歳ながら強打の捕手としての活躍を見せたことで今ではマイナー全体でもトップ10に入るレベルのプロスペクトになりました。
☆選手としての特徴
・打撃
180cmと上背は低いですが、天性の捕手と言わんばかりの頑強な体格をしており、そのためかスイングスピード&生来のパワーは年齢離れしており、Statcastのデータが閲覧可能なA級においては、20歳ながら平均打球初速度94.7マイル、最高打球初速度108.7マイルを計測(A+級昇格後には112.8マイルの打球を放ったとか放ってないとか)。わずか15試合のみのデータでありますが、平均打球初速度94.7マイルはデータを計測しているA級のサウスイーストリーグにおいてトップ、また試合数・レベルが違うのは承知の上ですが、2021年のMLBにおいてこの値はAaron Judge、Giancarlo Stanton、Vladimir Guerreo Jr.に次ぐ記録です。まあパワーに関しては捕手抜きにしても間違いなく優秀な部類に入るでしょうね。また引っ張りだけでなく広角に長打を打つことができるのもGood。
選球眼はパワー同様、いやパワー以上に年齢離れしており、プロ入り後は毎年少なくとも10%以上の四球率を記録。慎重に投球を見極めており、ボール球スイング率も上々。コンタクト能力も悪くないですが、A級では77.2%だったコンタクト率がA+級では68.6%に低下しており、やや不安を残す結果に。とはいえ年齢も年齢ですし、今後ある程度は改善されるのでは(と楽観的に見ています。)
・守備、走塁
捕手を務めている選手は大体そうですが、スピードは平均未満の鈍足で、2021年は2階級合わせて8盗塁(失敗5)を決めてはいますが、今後年齢を経るにつれて更にスピードは落ちるでしょうし、脚での貢献は期待しないほうがいいでしょうね。
さて、彼のバリューを大きく決定する捕手としての守備力ですが、現在1番評価されているのはスローイング。生来の肩の強さは平均以上ですが、スローイング精度に関してはイマイチで先述のように盗塁阻止に関しては十分に素質を生かしきれていない現状。レシービングやブロッキングにおいては、片膝キャッチングを取り入れるなどして、プロ入り当初に比べると大きな成長が見られたものの依然として課題は多く、特にフレーミングとボールブロッキング能力は向上の余地が多くあるようです。まあフレーミングに関しては将来的にロボアンパイアが導入されれば不要となる部分ですが、今後1、2年でMLBの戦力にするつもりなのであれば、間違いなく改善が必要ですね。
・その他
メイクアップ&リーダーシップに対する評価が高く、先述の守備に対する低評価もこのメイクアップの良さもあって楽観視されている節はあります。
・Gary Sanchezとの比較
彼を語る上ではどうしても同じ強肩・強打かつ捕手守備に課題のあるタイプであるGary Sanchezとの比較は避けて通れないと思います。
ヤンキースファンからあれこれ言われながらも、Gary SanchezはMLBでAaron JudgeやGiancarlo Stantonに匹敵する打球初速度120マイル以上を記録しており、パワーに関してはMLBでも5本の指に入るレベルであるため、いかなるパワーヒッターの有望株でもSanchezレベルに達するのは難しいことでしょう。Alvarezも現時点で110マイル以上の打球を放っておりポテンシャルはありますがが、Sanchezと比較してフィジカル面では劣り、既に体格の伸び代も限られているように感じます。というわけでパワーに関してはSanchez>Alvarezと思われます。一方で選球眼に関しては同年齢時のSanchezも高く評価されていましたが、Alvarezの選球眼は年齢離れしており、この点に関してはAlvarez>Sanchezでしょうね。
守備力に関して、同年齢時のSanchezは強肩こそ評価されていたものの、約2試合に1回の割合でパスボールを記録するなどレシービング、ブロッキングに課題があり、出場試合のうち3分の1ほどはDHで出場していました。しかしそこから年々守備力を向上させ、上手いわけではないもののオフェンス面も加味して少なくとも捕手にとどまることに関しては疑問を持たれなくなっていました(まあMLB昇格後はヤンキースファンから守備面でボロクソに叩かれてましたけど)。
一方のAlvarezも同年齢時のSanchez同様に強肩ではあるもののレシービング&ブロッキングには課題があり、また弱冠20歳にして既にDHでの起用が多くなりはじめている点も共通しています。あくまで現時点での話ですけど今のところ同年齢時の守備力は同じくらいかと。ただ若い頃は怠慢なプレーやメイクアップ、素行に疑問を呈されていたSanchezに対して、Alvarezはメイクアップの評価が優れたおり、Sanchez以上の成長曲線を見せる可能性はありますね。
・雑感
現在A+級まで昇格していますが、MLBレベルには2024年まで約$32Mの契約を残すJames McCannと、同じく2024年まで保有権があるTomas Nidoがおり、2024年シーズンまでは捕手に困っていないように見えます。ですがMcCannは昨季OPS+77、wRC+80と打撃で苦戦し、守備成績も微妙、Nidoも守備(特にフレーミング)はともかく打撃面では物足りず、2人とも今季のような成績が続けば(そしてAlvarezがこのまま順調に成長を続ければ)、2023年にはMLBでチャンスをもらえるのではと思っています。まあでもオーナーが代わり、積極補強が目立っていることもあり、別の捕手を補強して他ポジション転向&トレードチップになる可能性はありますけどね。
まあ、個人的には守備面で楽観的な意見が多いのは気になってます。メイクアップの評価が高いのはわかりますが、割と早いうちに他のポジションにコンバートされるのではと思ってます。打つ方は大丈夫でしょうけど。スプリング・トレーニングでHR打ってますし。
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