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柵を越えて

二〇一七年九月二十二日金曜日

晴れのち曇りのち雨

帽さんの珈琲豆を買うための旅。最寄駅の高架下にあるそこへ行くだけなのに出発して帰っで来るまでに四時間。不動産の広告ならば往復四十分であろう道のりは、のんさんと歩くと旅になる。まっすぐ歩きながらいくつものうちゅうと出会う。

お地蔵さんにこんにちはと立ち寄り、ばいばいとさようなら。幼稚園の園庭にあそぶ子たちをじっと眺める。そうすると、ひとりのおとこのこが、「こんにちは!」と駆け寄って挨拶しに来てくれた。すこし歩いてまた園庭を眺めていると、年少さんのおんなのこふたりが、挨拶をしてタッチをしてくれる。名前を聞いてくれて、妹、弟の名前を教えてくれた。2人とものんさんと同じくらいの兄弟がいるお姉さんだった。「よかったね、うれしかったね、やさしいね。」と話しかけるとのんさんはなにかが溢れそうなくらいにうれしそうに笑って喜んでいた。
大学のキャンパスのなかも、長い枝を通してさまざまなものと交信する。学生が見向きもしていないだろう作品のタイトルが彫られた石や落ち葉とお喋り。珈琲屋に着くころには眠りそうになっていた。これで休日の朝、帽さんのしょんぼり顔をみることはないだろう。

晩ごはんは、ポテトサラダ、肉じゃが、豆乳味噌スパゲッティー(大蒜、生姜、長ねぎ、茄子、アスパラガス、さつまいも)。

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