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ライオンのまつげ

二〇一七年八月十九日土曜日

曇り 太陽もどんがらがっしゃーーんも

先頭車両。立つひとはチラホラ。座るひとの足下にはおおきな荷物がどんといる。こどもはのんさんのみ。ひとり分座る席は空いていたけれど向かい合わせのボックスシート。膝に乗っけると向かいの方に足蹴りが飛びそうと思いのんさんを座らせるけれど、眠たさもあり「こっこー (抱っこ)」となったりぐにょらぐにょらする。

おかあさんもどうぞ、と席を譲られることはない。車両をぽーっと見渡す。のんさんを降ろす。後ろの席の本を読んでいたお姉さんをじっと見つめ、ほほ笑み返してもらう。「かわいいですね」すかっと彼女は伝えてくれた。それからのんさんはお姉さんをひょっこり見つめほほ笑み返してもらい、反対方向にいるおばさま (ちょっとさっき笑いかけてくれた)を覗くというのをくり返す。お姉さんの連れ合いの方もにっこりする。電車に乗るひとりひとりには、いくつもの表情と感情がある。そりゃそうだということを電車にいると忘れそうになるんだなと彼のほほ笑みをみて思う。

のんさんの隣が空いて座ると、笑いかけてくれていたおばさまが「おかあさんが座れてよかったわね」と話しかけてくれる。「懐かしいわあ」「このかわいいちいさい手」「何才?指でできるかな?」と喋りかけ遊んでくれた。おかあさんをしていた方はそれぞれのあそびかたをもっていておもしろい。なにか用意しておくお絵かきなどよりも、だれかひとりお喋りしてくれるだけで移動の時間は軽やかになる。その相手をじぶんでみつけ、遊びをつくり愉しい時間をつくる彼女は生きる力がある。

無事に駅に着く。すーさんとあいこちゃんと待ち合わせ。のんさんはすーさんに会えてぴょこぴょこする。すーさんはご機嫌ななめのころでぷぷんぷぷん。のんさんはひたすらにうれしくてそれだけでわらって、手を繋ぐのを拒否されても、すこしするとわらって声を出してわらうとすーさんもわらった。北風と太陽のえほんを読んでもらったようで、見習いたいなあと感心する。

夜ごはんは、沖縄料理屋さんにて。

滑車の音に大泣きするためさささっとたべる。メニューも変わり店員さんも見慣れないひと。あれあれと思っているなかで見つけたいつものあの店員さんがいたときの安心感よ。

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